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秘境を旅する《プロトポロス》  作者: 海月結城


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4/5

出発の準備

 何度も声を掛けてくるグリゴーラと名乗った男と別れてから、プロトポロスは暗黒大陸に向かうための準備を始めた。


「まずは、あの山を越えないといけないのがネックなんだよね」


 高台にあるカフェに入りテラス席で外を眺め、机に地図を広げて呟いた。

 テラス席から王城が見えるが、その奥に聳える見上げるほど高い山。麓は気温が高く半袖でも過ごせる気候だが、頂上付近は年中通して雪が積もっている。

 左右を見ても地平線まで続くその高い山は畏怖の対象として、崇める人が出てくる程だ。


「あの山を超えるための道具に食料、その山を超えた先で必要になるポーション類。荷物が多すぎてバッグが足りない」


 今になって彼の誘いに乗った方が良かったかなと少し後悔するが、知らない男と行くなら、奴隷を買った方が幾分かましである。

 かと言って、奴隷を買うほどお金がある訳でもない。


「容量無制限のバッグとかあったらどれだけ最高か……」


 叶わない夢を見ながらも必要なものと道筋を考えていく。


 登山口は大きく分けて三つある。北側、東側正面、南側の三つがある。そして、それぞれに特色がある。

 北側は傾斜は傾らかで進みやすさは正面と南側とは比較にならない。しかし、天気の急変が凄まじく、晴れていたと思ったは急に雲が出来て雪から吹雪に変わったり、吹雪から晴れに変わり「行ける」と思ったら吹雪に逆戻りだったり、傾斜は傾らかだが、天気の急変が体を壊しにやってくる。


 正面の東側は、それはもう断崖絶壁。どう足掻いても正面から登るのは不可能に見える。どうにかして道を探すとなると、北側からアタックして、長い時間をかけて東側に登りながら向かうことで何とか登れるかもしれないが、数ヶ月は掛かるだろう。その間雪山に居続けるのは不可能に近い。


 南側は傾斜もそこそこで気候も北側に比べれば安定している。しかし、南側は気温もある程度高く日当たりも良いが、雪が少し溶けていて雪崩が起きやすく常にそれを意識して登らないといけないのは精神が相当やられる。


「この中なら南側が1番登りやすいかな。雪崩が起きないように、注意しながら登るだけなら、体を壊すような気温の変化が起きる北側よりマシかな」


 そうと決まれば、馬車や食料、衣類や登山道具の準備だ。


 まずは出発の日時を決めないといけない。その為、乗合馬車やキャラバンに聞き込みに行く。

 近々南に行く馬車はあるのかどうか、一人と荷物を乗せてもらうことができるのか、お金はどれだけ掛かるのかを聞き、ある程度金額が高くても信用できるものに乗せてもらう。


 聞き込みを終えて乗合馬車とキャラバンそれぞれに候補が1つずつ出来た。

 乗合馬車は3つあったが一つだけ荷物も同伴OKなものがあった。しかし、値段がまぁ高い。馬車を見た感じ、商人や位の低い貴族を乗せる馬車なのだろう。

 それだけの人達が乗るのだから、護衛も付いて安心安全は保証されているだろう。

 だが、金貨2枚はぼったくりすぎる。普通の乗合馬車は銀貨1枚で行けるというのに……。


 続いてキャラバンは、荷物も同伴OKで、2つ3つくらいなら乗せられるという。そして、料金はほぼ無料……というか、キャラバンに乗っている間お手伝いしてくれるのならば給料を出してくれるみたいだ。

 ただ、キャラバンという特性上、真っ直ぐ目的地に向かうという訳ではなく、色々な場所を周りながら最終的に南の町に向かうということで日数が掛かる。

 乗合馬車が2週間というところ、キャラバンは2ヶ月かかると言われた。


 ふたつを比べると、料金はキャラバン、荷物を載せる量はキャラバン、日数は乗合馬車、安心安全は乗合馬車。

 別に急いでいる訳では無いが、流石に2ヶ月はちょっと考える。


「うん、決めた。高いけど、乗合馬車の方にしよう」


 乗合馬車を管理している事務所に向かい、手続きを開始した。


「出発は明後日、日の出と共に出発です。馬車は4連編成になってます。荷物は3連目、席は1連目と4連目を選べますが、どちらに致しますか?」

「それじゃ、1連目で」

「畏まりました。食事は我々の方でご用意いたします。では、金貨2枚のお支払いお願いします」


 懐からお金の入った袋を取り出して、金貨2枚を差し出す。

 受付はそれを確認し、金貨2枚と同重量の重りが乗った天秤に金貨を2枚乗せ釣り合うか確認した。


「はい。大丈夫ですね。では、明後日、日が昇る前にここに来てくださいね」


 受付での支払いを終えて、今日を合わせて2日の猶予ができた。

 食料は馬車の方が用意してくれるみたいだから、買うとしても何かあった時のための保存食程度、サバイバルはできるから一日分の保存食だけを買っていく。

 後は登山のための道具だが、王都で買うか南にある町で買うかどうしようか考えながら道具を買うためのお店に向かう。


 お店に着き、中を見て回るが品揃えは、キャンプだったりピクニックに使うようなものばかりで、本格的な雪山を登るための道具は小さな一角に少しだけで、買い揃えることはできそうになかった。


「すみません、雪山を登るための道具を買いたいんですけど、王都か南の町で買うのどっちがいいですか?」


 分からないことは店員に聞いた方が早い。近くにいた店員に聞いてみると、南の町で山に近いお店の方が品揃えは豊富らしい。

 ここは、なにかに特化した品揃えではなく浅く広く取り揃える感じのお店みたいだ。


 店員に「ありがとう」と感謝を述べてからお店を出た。

 道具は南の町に着いてから買うとして、保存食だったり日用品を買うのに時間は掛からない。明日暇になったし、少しお金を稼ぐ事にした。

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