グリゴーラの仲間たち
ポロの勧誘にことごとく失敗したグリゴーラが肩を落としていると、
「リーダー、フラれました? もしかして、ふられちゃいました?」
そう言ってグリゴーラを揶揄うのは、なんの音も無く現れた17歳くらいの少女だった。
「うるさい、フラれてない、断られただけだ」
「それを〜世間では〜フラれた〜って言うんですよ〜」
その子はグリゴーラのパーティー仲間でありパーティー内では最年少の少女メノスだった。
「メノス、お前、まじ覚えとけよ」
そんな2人の元に、彼らのパーティの仲間である2人の男女が腕を組んで歩いてきた。
「おぉ? なんだぁ、グリゴーラの坊ちゃんはふられちまったのか?」
そう言いながら、グリゴーラの頭を大きな手で鷲掴むように手を広げ乱雑に頭を撫で始めた。
「だから、フラれてねぇ! それに、頭をわしゃわしゃするな! 離れろトラチ」
トラチと呼ばれた男は豪快に笑いながら頭をポンポンと軽く叩いて手を離した。
そんなトラチに続いてふわふわした感じの女性がトラチの後ろから声を掛けた。
「あらあら〜、フラれちゃったんですか。可哀想ね。それじゃ、慰めるために腕によりを掛けて夕飯作りますよ!」
「おい、話を聞けアスモ。あと、いつもご飯ありがとうな」
「うふふ、いいのよ。あなた達はいつも美味しそうにご飯を食べてくれて、ありがとうね」
「ほんと、お前の作るご飯は美味いから今日も楽しみだな」
「ありがとう、あなた」
それを見ていたトラチはアスモの頭を撫でながら「よーし、俺も手伝うぞ!」と僕の目の前でいちゃつき始めた。
「……全く、なんなんだこのバカ夫婦は……」
トラチとアスモはお互い25歳という年齢で結婚している。
結婚したのは二人が21歳の頃で、その時にはグリゴーラは19歳でとメノス15歳だった。
まだ、子供だった二人トラチとアスモがものすごく大人に見えていたが、それから4年間も一緒にいるとイチャイチャを見せられるのもだんだん疲れてくる。
そんな二人に呆れていると、メノスが近づいてきて耳元で囁いてきた。
「それじゃ、私達も夫婦になっちゃう?」
「え、何言ってんの? 俺たちはただの幼馴染だろ」
全く、こいつは何を言っているんだ。子供の頃から一緒にいるのに今更夫婦になるわけないだろう。考えれば分かるだろ。
「二人とも、いちゃこらしてないで行くぞ。これからの行動指針をみんなで考えるぞ」
そう言ってグリゴーラは彼らがいつも話し合いに使う飲食店に向かった。
一人で歩き出したグリゴーラを頬を膨らませて睨みつけるメノスをトラチとアスモは頭を撫でたり抱きしめながら慰めた。
「まー、なんだ、あいつは鈍いだけなんだから、まだ希望はあるさ」
「メノスちゃんが可愛いのはあの子だって理解してる。ただ、幼馴染っていうのが邪魔してるだけなの。これからも押していけば……イケるわ!」
「……うん。二人ともありがとう。でもさ、あのプロトポロスって女! 何よあいつ、グリゴーラの誘いを断っちゃってさ……ほんと許せない!」
「まぁまぁ、あの子にだって考えはあるだろうし、それに知らない男から急に誘われたら断るのが当たり前だ」
「……まぁ、うん、確かに」
「おーい! お前らいつまでそこで話してるんだ! 早く行くぞ」
先を進むグリゴーラが後ろで止まっていた三人に振り向いて声を掛けた。
ちょっと面倒くさそうに声を掛けるグリゴーラに三人はお互い苦笑いを浮かべて駆け足で近づいた。
着いたのは王都西部にある飲食店が立ち並ぶ通り。
左右どこを見ても目を引く料理が提供されている。
「ここに来ると色んなものに目移りしちゃうね、グリ」
「そうだな。話し合いが終わったら何か買って帰るか」
「うん!」
さっきの弄り弄られの関係性はどこへ行ったのやら、グリゴーラとメノスは仲のいい兄妹のように接している。そんな光景を数歩後ろからトラチとアモスは弟と妹が話しているみたいで微笑ましく眺めている。
「俺たちもあんな子供たち欲しいよな」
「えぇ、そうね」
お店に着き、いつもの窓際で端の席に案内され料理を頼んで着席した。
「それでは、始めるよ。まず、俺たちが目指すのは暗黒大陸。そこはみんなも分かっているよな」
その言葉に三人は顔を見合わせて頷きあう。
「よし。それには、あのプロトポロスという女性が必要だと思ったが、如何せん断られてしまったため、俺たち四人で挑むことにする。そして、この国の王も近々暗黒大陸に向かうという情報を得た。その国王に乗っかって向かうか、それとも自分たちだけで向かうかそれは、これから得ることのできる情報で変えようと思っている。みんなはどう思う?」
「私は、この四人で行きたい! 今までも西大陸を私たちだけで冒険してきたから、暗黒大陸も四人で行きたい! って、思う……」
メノスが立ち上がってそう言うと、トラチとアスモはほんの少し驚きながらも小さく頷いた。
それを聞いたグリゴーラは少し考えて答えた。
「メノスも二人も同じ考えみたいだね。俺としてはプロトポロスが必要だと思ったけど、みんなの意見も尊重したい。……うん、分かった。暗黒大陸には三人で向かおう。それじゃ、次は出発の日時と必要なものを考えよう」
そして、グリゴーラパーティーは話を続け、話し合いに三日ほど費やした。




