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メモリーズ(仮)  作者: 御厨 郁葵
第一章 旅立ち編
31/32

26話 崖の上の決闘

皆さん元気ですか?

相変わらずの活動頻度ですが私は元気です。


それでは26話です。どうぞ。

「[スキャン]!!!」「[治癒の光(キュアリリイト)]!!!」


戦場に俺とシアンの叫び声が響く。

眼帯が取れて視界が白に染まるが、それどころではない。

というか、スキャンで吸収したはいいものの、ビームが強すぎて吸収しきれないのが現状だ。

ヤバイ。右手千切れる。

「……やっぱり寝返ったか。疾風(はやて)(ひかり)。」

「悪いが、最初から洗脳なんてかかってねえよ!」

条件反射で強がってしまったが、疾風の星って誰の事だ……?

「まあいい。(くれない)(はな)の魔力は吸った。」

そう言い、仮面男はビームを撃つ手を上げた。

危ねえ、もう少しで右手が爆発するところだった。

「この力があればいくら疾風の星であぁぁぁ!」

仮面男が地面に打ち落とされる。

シアンだ。シアンがかかと落としで仮面男の脳天を貫いた。

……剣で攻撃しろよ。

「シアン!」

「なんとかなりましたよ!」

シアンが俺の元へやってくる。

「後ろの皆は?」

「バリアを展開しました。少なくとも魔方陣が消えるまでは安全です。」

「ナイス!」

超有能じゃん。神かよ。

……実際女神サマなんだろうけどよ。

「ク、クソ。治癒(いやし)守護者(まもりや)、余計なことを……」

仮面男がフラフラと立ち上がる。

「マスター、治癒の守護者って?」

「さあ? 文脈的にはシアンのことじゃね?」

「……相当な中二病ですね。」

「やめろシアン。それは俺にも効く。」

何故か俺までダメージを負うことになった。

……実際は一発も食らうことなく済んだのだが。

「流石だな。だが、これで終わりだ。[詠唱 エンドリパルサー]」

「マスター危ないっ!」

「あがっ!」

そんな事言ってたら喰らってしまったよ。

「耐えるか。だが、これで終わりだ。[詠唱 エンドオブザワールド]」

詠唱が終わると、俺の周囲に白い点線が現れた。

嫌な予感がする。

フックショットを点線の外の地面に撃ち込み、無理やり移動する。

と、次の瞬間、さっきまでおれがいた点線で囲まれた空間が切り刻まれ、空間が闇に葬られた。

……何を言ってるかわからないと思うが、こう言うしかない。

「避けるか。だが、これで終わりだ。」

終わり終わりって、全く終わらないじゃねーか。

……こういう軽い気持ちでいるときって大抵ヤバイんだよな。注意します。

「……というか、後ろの皆は何してるんだ?」

「大将や響さんの回復に専念しているんじゃ?」

「……で、俺たちは何でこう突っ立ってるんだ?」

「……それもそうね。」

シアンが剣に変身する。

「いくぜ!」

『ええっ!』



という感じでシアンを手に取り構えたのはいいのだが

「[詠唱 デモンレイ]」

『左からきます!』

「マジかよっ!」

結局避ける事に専念してる。

正直、目の光のせいであんまり見えないのが現状。

「これいつまでやればいいんだ!」

『少し時間稼げばいいはずです! って、右!』

「ああっと危ねえ! ナイス!」

シアンの言葉で再度攻撃をかわす。

……俺いなくてもよくね?

『あああ、上からきてます!』

「ああ、すまん!」

完全にガイドで介護されてる。

「腕が落ちたようだな。疾風の星よ。」

仮面男にすらこう言われてる。

対して面識人にそんなこと言われる筋合いはないと思うけど。

「これで終わりだ。[詠唱 エンドリパ「させねえっ![詠唱 散弾波(レットアロー)]!」

その一撃により仮面男がぶっ飛ぶ。

「そこっ! [詠唱 ジーククロー]!」

さらに追撃をうけた仮面男の体は数メートル先の地面に落ちた。

「魔王サマ!?」

「お兄! 間に合った!?」

「お陰さまで!」

魔王サマが合流して難を逃れた。

ってあれ? 今、お兄ってがあっ!

『マスター!』「お兄!」



[何やってるんですか……]

「なんか変なとこに引っ掛かったせいで集中力が途切れた。」

今となっては何に引っ掛かったのかわからないけど。

[はい。ポータル用意しました。最終決戦行って下さい]

「ありがと。」



戻ってきた。が、誰もいなかった。

いや、正確には少し遠くで戦闘していた。

「あっ、ハルトー!」

と、秋葉が駆け寄ってきた。

「っと、ちょっと眩しいね。」

……そこはなんかすまぬ。

「秋葉じゃん。大丈夫か?」

「うん。魔力もなんとか回復した。ほら。」

秋葉のマフラーが炎を上げる。

「おお。バッチリだな。」

「……」ピョンピョン

あれ?

「なんでリムがここに?」

「さっきそこで拾った。」

……扱い雑だな。

「ついてきてくれるんだよね?」

「……」ピョンピョン

だそうだ。

まあ、俺よりは戦力になるしな……。



高台。丁度仮面男とシアン達の対決を見下ろせる場所。

俺と秋葉とリムはそこにいた。

……はっきり言って高い。

シアン達が戦っているところもそこそこな高台なのに、更に高台だから。一番下の地面より20mくらい高いんじゃないか?

で、なんでここに登っているかというとだ。

「ここから飛び降りて奇襲するんだよな?」

「そう。流石に一矢報わないとね。」

と、自身の作戦に自信満々な秋葉。

ただ、ちょっと懸念点が。

「俺は落下ダメージはないからいいけど、秋葉はその辺大丈夫か? ここから飛び降りるとなると結構ヤバそうだが。」

「あっ……」

……何も考えてなかったのかよ。

因みに、リムは俺の頭の上に乗っている。

「それに、下のシアンや魔王サマと連携が取れてないんだろ?」

「え、ええ。」

「ワンチャン刺し違える可能性もあるわけだが、そこのところはどうなんだ?」

「……どうしよう。」

……無計画にも程がないか?

人のことを言えるかといったらそれは別だけど。

「……ほら、これ貸しておくよ。」

万能ツールの折り畳み傘を展開して秋葉に渡す。

「これ開いたら多少空中に留まれると思うから。」

「あ、ありがとう。」

「さて、後はシアン達とのコンタクトだけど……。」

……これに至ってはどうしようもない。

俺は一応いいとして、秋葉に刺し違えられたらたまったものじゃないのは正直全員思ってることだろう。

実際シアンは秋葉を頼りにしてた部分もあるし。

と、その瞬間、視界が飛んだ。


目の前に仮面男が現れ、黒い塊を持って殴りかかってきた。

それを横から入ってきた剣が弾く。


元の高台から見下ろしている視界に戻った。

「ねえ、ハルトも見えた?」

「ああ、一瞬変な景色が映った。」

どうやら秋葉も同じものが見えたようだ。

……なんか前も同じことがあったような。でも、前はリムの視点だったし、そのリムは俺の頭上だからさっきの景色はありえないし。

と、ふと下にいるシアンと目があった。

ガチ戦闘中というありえないタイミングでシアンがこっちに気づいたってことは今の視点はシアンのか?

まあいい。これでコンタクトは取れた。

「どうする? いつ行く?」

「私に言われても……。」

「秋葉が考えた作戦だから秋葉が指示してくれるとありがたい。」

「……じゃあ行こう。今行こう!」

「了解。行くぞ!」

俺たちは戦場へ足を踏み出した。


……世間から見たらこれって足を踏み外してるんだろうな。



結果的に言うと奇襲は大成功だった。

まず俺は空中で体制を維持できず、真っ逆さまになりそうだったので、フックショットで高台の崖に捕まった。

そのせいでリムが単体で落ちてしまった。

次に秋葉だけど、万能ツールを早く開いてしまったっぽく、ふよふよと落下していった。

そして下にいたシアン。俺たちが落下することを勘づいていて、刺し違えないようにしたのか、攻撃の手を休めて、リムを受け止めた。

魔王サマ。そんなことが起こっていることに気づかず、大剣を切り上げる。

仮面男。その魔王サマの攻撃がクリーンヒットして、上を見る。

その視線の先には秋葉。

目があった秋葉は驚いて、万能ツールを手放してしまった。

……状況的には最悪だが、ここから奇跡的なムーブが。

「ふぁ、[ファイアーバースト]!」

秋葉は落下の影響を減らそうとしたのか、仮面男に攻撃しようとしたのか、真下に巨大な火の弾を撃った。

仮面男はそれを避けようとするが、逆に魔王サマの斬擊に当たり、結果的に秋葉の弾にも当たるという美味しい状況に。

で、秋葉は火の弾の反動を生かし、着地に成功。

一方の俺は、丁度崖が欠けたため、また宙に投げ出された。

その欠片(というより落石)も仮面男に落ちた。

そして落下した俺にいち早く気づいたシアンは、リムを放り投げて剣に変身して、俺の手にやってきた。

放られたリムは魔王サマがキャッチ。

そしてシアンがバランスを取ってくれて、打ちのめされている仮面男を串刺しにした。

そして今に至る。

……凄いスーパープレイ。

「ね。言ったでしょ?」

「一矢どころか百矢くらい報いてそうだけども……まあ、ナイス。」



ということで勝利したわけだが

「どうする? コレ?」

「「うーん……」」

倒れている仮面男を前にして俺たち4人は悩んでいた。

ちなみにリムは近くで一人でピョンピョンしている。

「俺はここで消し去っておくのが最善策だと思う。」

魔王サマからバイオレンスな択が出た。

「その心は?」

「そうでなければろくなことにならないと思う。」

「一理あるね……。」

「そうですね……。」

女性陣もそんな空気になっている。

ぶっちゃけ俺も賛成なんだけど。

「じゃあそれで進めるよ。お兄もそれでいい?」

「ああ……ん? お兄?」

「あっ、まず……」

お兄……

「ん? 響とハルトって兄弟なの?」

「あ、ちょ、秋葉サン!?」

響……兄弟……

「……ヒビ?」

「バレたぁぁぁ!!!!!」

……マジかよ。



衝撃的な事実を目の当たりにしたが

「……と、とにかく、こいつ片付けるよ。」

更に衝撃的なことが展開されようとしていた。

「ちょ、魔王サマ……じゃなくてヒビ! なにするつもりだよ!」

「何って、殺すしかないだろ!」

その言葉を聞いて、咄嗟にヒビに後ろから抱きつく。

「ちょっ、お兄どいて! こいつ殺せない!」

「やめてくれ! いくら血が繋がってはいないとはいえ、弟が人を殺すところなんて見たくない!」

「じゃあどうしろと!」

「わからねえよ!」

しばらく俺らで一悶着起きている間、シアンと秋葉はポカーンとしていた。

ポカーンとしたいのは俺もだよ!

「抹消するのが最善策ってお兄も認めたじゃんか!」

「なこと分かってる! けど! けど!」

ヒビが体をくねらせる。だが、負けじと振り払われまいとしがみつく。

「だからお兄はツメが甘いって! 前もこんなことあっただろ!」

「それとこれとは別だろ!」

「全くその通りだな。疾風の星よ。」

「「!?」」

その声の方を一瞥すると、仮面男が立ち上がっていた。

だが、正直それどころじゃない。

「ちょ、お兄、今それどころじゃない状況に……」

「それどころじゃないことをヒビはしようとしてるんだよ!」

「落ち着いて! お兄! 一回落ち着いて!」

「ヒビこそ落ち着け! 俺は落ち着いてる!」

「どこが!? お兄! 今仮面男どうなってる!」

「え? 立ち上がって……あ……」

……やらかしてしまったっぽい。



「また同士撃ちか。しかし、そのおかげで準備は整った。」

……はい。どうやら大戦犯をやらかしました。

「行け。」

仮面男がキマイラの大群を召喚して……ってあれ? 明後日の方向に進軍させたぞ。

「あっ、そっちは……」

秋葉が声を漏らしたその瞬間、大群は崖下へ落ちていった。

「何やって……あっ……」

崖下を覗けば、さっき魔方陣に囚われていた城待機メンバーに攻撃していた。

「卑怯な!」

「お前に言われる筋合いはないな。疾風の星よ。」

は?

「寝返ってこちらに就いたかとおもえば邪魔され、更には上から刺されるものだからな。」

「……対策してないそっちが悪い。」

「今も対策してないお前達が悪いのでは?」

やべ、完全に論破された。

「さあ、戻らないと仲間さんがヤバいのでは?」

下を見ると城の兵士達がやられてる。

「……どうする?」

ヒビが聞いてきた。

ここの高台の高さは大体5m。降りたら明らかに防戦一方になる。

……こうなった原因は俺にあるんだろうな。

「……俺が「拓生! 今!」

俺の声を遮って秋葉が叫ぶ。

すると、大群の1/5が吹き飛んだ。

「こっちのコンタクトは取っておいたの。」

秋葉が胸を張る。

しかし、残りの軍団が拓生がいる方に向かっていく。

「ゆかり! 防衛!」

それに気づいたシアンがゆかりに指示を出す。

と、

『拓生:こっちは任せろ!』

メッセージが届いた。

……拓生サン、メッセージ打つときに思いっきり吹っ飛ばされてたんですが。

そしてもう一通、

『凜:そっちは大丈夫?』

凜からメッセージ。そういえばいたな。

『そっちの前線の人たち治療できるか?』

『紬:了解! 任せて!』

『凜:そっちもちゃんと終わらせてよ!』

頼もしい。

「大将! 拓生! (いわい)お嬢を頼む!」

「ああ! 任せておけ!」

大将の声を聞いたヒビが俺達の方へ振り向く

「よし! 後ろを気にせずやってやろうぜ!」

「ああ!」「ええ!」「うん!」



茶番を繰り広げている間、仮面男は新たな刺客を召喚していた。

「あの龍……」

前に虎柄ベストのおっさんと戦ったときの龍だ。それも二体。

あれも仮面男の手先だったんだ。

「いけ。」

「ビャァァァァァ!」

咆哮で吹き飛ばされる。

あ……リムが崖下へ飛んでいった。

「やべえ! 来る!」

「[フリーズタイム]!」

ヒビに襲いかかる龍の動きを止める。

「サンキュお兄! [詠唱 居合い斬り]!」

龍は真っ二つになり、煙と化した。

『はぁっ!』

もう一体はシアンが切り裂き、こちらも煙と化した。

「これはどうだ。」

次に仮面男が暗闇から召喚したのは、人の影だ。

今度は三体。それぞれ一斉に襲ってきた。

「こいつらは連携がヤバい! 分担してくれ!」

ヒビがそう叫び、一体を離れたところへ誘導した。

「じゃあ私も! [ウォールオブファイア]!」

秋葉が炎の壁で二体を分けさせる。

「一体お願い!」

「『了解!』」



シアンを握って影の突進に備える。

剣を持った影の突進を受け流した斬りつけるつもりだった。

が、影は間合いに入る直前で跳び、上から黒い弾を連射してきた。

「マジかっ! [創造(クラフト)]!」

咄嗟に壁を作って弾を防ぐ。

しかし、影はそれを読んだのか、手を伸ばしてその壁を横にずらした。

腕の長さヤバすぎだろ!

走って弾の着弾から身をかわす。

影も降りてきて追いかけてきた。

今度こそ受け流そうと振り返り、シアンを構える。

が、

『がっ……』

「うぐっ……」

影の斬擊に耐えられず吹き飛んでしまった。



数十メートルぶっ飛んだ。幸いと言うか、ダメージをくらっていない。

更に幸運。1mくらい先に、さっき秋葉が落とした万能ツールがあった。

それを回収しようと立ち上がろうとしたが

「あ…れ?」

シアンを掴んでいる右手がその空間から動かない。

「シアン、動くか?」

『……何かの力で固定されてる。』

と、影が近づいてきた。

とりたえず左手からフックショットを伸ばしてツールを回収する。

『ねえ、ヤバくない?』

影は5mくらいしたところで止まって何かを溜めていた。

……ヤバいな。

「なあ、どうすればいい?」

『おそらくビームか何かを撃ってきます。それをやり過ごさなければマスターは瀕死に、私も最悪死にそうです。』

……そうだよな。

周りの空気が震えてる。

『私は動けません。マスター、なんとかできません?』

「……最悪なこと言っていい?」

『……なんですか?』

「俺、スキャンは左手では撃てないんよ。」

『……つまり?』

「右手がシアンと固定されてるからスキャンでやり過ごすことできない。」

『じゃあマスターだけでも逃げてください。』

「それは酷だろ! 右手が固定されてるからそれ以前の問題でもあるけど!」

……詰んだな。俺はともかく、シアンがヤバいな。

そう感じていると、下にあった魔方陣が影に向かって飛び出していった。

そして影に体当たり。

そして戻ってきた。

「『……』」

影は一瞬解像度が荒くなって、消滅した。

『あっ、動きます!』

謎の拘束も解けたようだ。

「……何だったんだ?」

『さ、さぁ?』

とりあえず今一番言えることが、魔方陣の大手柄だってこと。

いっつも助けられてるな……。



最初のとこに戻ってきました。

「このっ! [詠唱 風雷擊(サンダーストーム)]!」

「[フレイムバースト]! [スプレッドフレイム]!」

もうドンパチやっちゃってます。

「その程度か。[詠唱 エンドスレッサー]」

……押されてる気がする。

左にいるシアンにアイコンタクトを図る。

「?」

あ、どうやっても伝わらないやつだこれ。

『奇襲しようぜ。』

メッセージを送る。

『シアン:マスターの眼光でバレてます。』

マジかよ。

不便な目だな。

「じゃあ先制攻撃! [スターダストレイン]!」

「ち、ちょっと!」

……やべ。外れた。

「奇襲とは舐めた真似をするな。疾風の星よ。[詠唱 封魔陣(グラビティフィールド)]」

件のヤバい魔方陣が来たので逃げる。

「……気づかれてなかったじゃねーかよ。」

「あ、あれ? というかマスター、加護はどうしたのですか?」

「え?」

シアンがスマホを内カメにして見せてくる。

右目の光は凄く弱い。消えてはないけど消えかけだ。

「いつから?」

「少なくともさっきのレインは加護が切れてました。」

そう略すんだ……。



魔方陣の範囲外まで来た。

「あ、二人とも!」

そして秋葉と合流。

「今どういう状況?」

「響はそのまま魔方陣を突っ走ってる。私は魔方陣から避難してきた。あの魔方陣の上って魔法が使えないから私はにもできないのよ。」

「魔法が打ち消されるとかじゃなくて?」

「そう。外から援護はできるはずだけど……」

秋葉はそこで一拍置いた。そしてヒビの方を見る。

「少し遠いし、かわされるのが目に見えてるから待機中。」

なるほど。

「魔法が命中すれば倒せるところまでは追い詰めたはずなんだけどね。」

……俺達が影と戦ってる間に結構進んでた。

「当たればいけるのか?」

「ええ。ただ、私の魔力的に次が最後の一発ね。」

……これ以上ないご都合展開。

「オッケ。じゃあ秋葉はそれを撃つ準備しておいて。」

「「え?」」

シアンと秋葉が同時に声をあげる。

「マスター、何する気ですか?」

「ここまでお膳立てされたら行くしかないだろ。ヒビと合流して戦う。」

「合流する意味ありますか?」

「多分ない。でも、さっきの失態を償いたい。」

俺がいなかったら今フェーズなしで決着ついてたし。

せめてその償いをしたい。

「……私が次に撃つ魔法って相当範囲広いよ。」

「でもガードされたら駄目だろ? おそらくヒビもガードしないとキツイだろ。」

「ハルトもヤバいよ。」

「大丈夫。俺の体って二発の攻撃で死ぬから。」

「……どこが大丈夫なの?」

「裏を返せば一発なら大丈夫ってこと。よし、行くぞシアン!」

「え、ちょっ! 私も行くんですか!?」

「そりゃそうだろ。じゃなきゃ俺戦えないぞ。」

「私が大丈夫くない状況になりませんか!?」

「一応考えがある。頼む!」

「……仕方ないですね、マスターにそう言われちゃ。」

そう言い、シアンは剣化する。

『私の命、預けましたよ。マスター。』

「ああ!」

そして俺の手元に来た。

「じゃあ今からチャージしておくね。タイミングはどうするの?」

「メッセージ送る。」

「了解! いってらっしゃい!」



魔方陣の中心へと歩みを進める。

『……マスター。』

シアンが話しかけてくる。

「どうした?」

『何だかんだ、マスターはなんとかしてくれると思っています。』

「おう、突然どうした?」

『……信じてますからね。』

「……なあ、死亡フラグにしか聞こえないんだが。」

『……やめましょうか。この話。』

「ああ。」

その方が助かる。

実際、今までなんとかなってるのはシアンのお陰であり、魔方陣のお陰ででもあるから。俺がしてるんじゃない。

そう思い、足元の魔方陣をちらっと見る。

あれ? 魔方陣は?

「なあ、俺の魔方陣どこに行った?」

『秋葉さんの足元ですよ。秋葉さんの魔法をブーストしに行ったかと。』

……急に自信なくなってきた。



仮面男と魔王サマ……ヒビが戦ってる。

一撃を狙って大剣をぶん回すヒビの攻撃はあまり命中せず、その度に仮面男の反撃を受けている。

しかし何発かはクリーンヒットしており、互いに消耗戦というところだ。

で、俺は何をしているかというと

「てりゃぁぁ!」

仮面男の真後ろから思いっきりシアンを叩きつける。

はい。懲りずに奇襲ですよ。

「く……疾風……の……星……」 

「もう一発! ヒビも!」

「ああ!」

前後から斬擊をくらった仮面男の体が宙に舞う。

「[フリーズタイム]!」

その体を縛る。

それを確認して、シアンをヒビに投げ渡す。

「ヒビ、シアン。巻き込まれる前に離れて。」

『えっ!?』

「え? お兄、何を……」

そして予め打っておいた秋葉へのメッセージを送る。

『遠慮はいらない! 撃って!』


次の瞬間


辺りは業火に包まれた。



熱い。

本日二度目の体が焼ける熱さ。

……まさかこんな短いスパンで二度目を受けるとはな。

まあ、何はともあれ第三部完! ってことで


「本当に甘いな。疾風の星。」



!?!?!?

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

今俺は冥界にいる。

さっきまで勝った! 終わった! って思ってたのにこれだよ!

何を言っているかわから(ry

[フラグ回収]

……やっぱりフラグだったんですね。

「一応聞きますけど、戦いは……」

[終わってませんよ]

「デスヨネー」

まーた大戦犯かましたパターンですか。



戻ってきました。

しかし様子が変だ。

ヒビが真っ逆さまに吊るされてる。

……嫌な予感がする。いや、予感どころじゃない。目の前のヒビがそれを具現化してる。

「[詠唱 エンドリパルサー]」

その声に反応して咄嗟に避ける。

しかし

「がぁっ……」

得体の知れないビームはヒビに直撃してしまった。

「ヒビ!」

「お、お兄……俺はいいから……」

……面倒くさいことになった。

逃げたらヒビに当たる。

逃げなきゃ俺が死んで更にヒビに攻撃にいく。

……詰みじゃねえか!

……どうするか。

「[詠唱 エンドリパルサー]」

とりあえずヒビには悪いが攻撃を避ける。

「あぐっ……」

すまんヒビ。今だけ耐えてくれ。

とりあえず状況整理。

まず、例のヤバい魔方陣が消えている。

仮面男……少し遠い安置から攻撃してきてる。今の位置からの反撃は難しい。

ヒビ……魔力の弦みたいなもので逆さ吊りに縛られてる。

……あれ? シアンは?

「無様だな。仲間よりも自分の命とは。疾風の星よ。」

「散々仲間を捨て駒にしてる奴に! 言われる筋合いは!」

……やべえ。思考をまとめる暇がない。

「[詠唱 エンドリパルサー]」

しかも飛んでくる。

打開策……打開策……



「文字通り無様だな。」

捕まりました。

幸いと言っていいか、ダメージは謎にくらってないんだけど。

……ちょっとメッセージ交わしてただけなのにな。

「少し逃した役者もいるが、この時点で私の勝ちは確定したも同然だ。」

「た、たかが俺とお兄を拘束しただけで!」

「まだわからないか。魔王後継者。」

そう仮面男が言うとヒビが開放される。

……え?

「!? え、[詠唱 風雷(サンダースト)「[詠唱 封魔陣(グラビティフィールド)]」

魔方陣が展開され、ヒビの魔法が打ち消される。

「うぐっ……」

「言っただろ? 私の勝ちは確定したと。」

……どうしたものか。

もう一度状況整理。

俺……逆さ吊りではないが、地面より少し高いところに吊るされてる。

ヒビ……消耗しすぎたのかうずくまっている。

仮面男……ピンピンしてる。

ヤバいな。一応増援頼んだはいいけど、ここでシアンと秋葉が合流しても打開できそうな気がしない。

というかこの弦太すぎる。

右手が少しはみだしてるが、身体全体グルグル巻にされてる。

それなのに感触がない。不気味。

「まあ、勝ちが確定してるとはいえ、念には念をだな。」

仮面男が近づいてきた。 

「先に疾風の星から消しておくか。」

……やばくね?

「死んでも復活するなら、死なないように処理するまで、だ。」

俺の周囲に白い点線が現れ、六面体状に囲まれていく。

「消えな。[詠唱 エンドオブザワ「させない!!!」

シアンが仮面男を押し飛ばす。

白い点線は消えていった。

「くっ、治癒の守護者。余計なところで。」

「その守護者が何なのかは知らないけど、マスターはやらせませんよ!」

シアンが俺と仮面男の間に入る。

「ちょっ、シアン!」

「マスター! 勝ち筋は一つです! 信じてますよ!」

その直後、シアンがメッセージを送ってきた。

『シアン:+13』

……ああ。

「魔法も使えないとわかっているのにわざわざ死にに来たか。時間稼ぎにしては面白いな。」

「それはどうもっ!」

かろうじて動かせる右手をスタンバイさせる。

「お望み通り消してやるよ」

仮面男が詠唱を始めた。

そこに

「ええい!」

秋葉が後ろから飛び膝蹴りをかました。

それでよろけた仮面男をシアンが投げ、仮面男の顔が俺の右手の前にきた。

全力で


「[発光(フラッシュ)]!!!!!!!!」


懐中電灯“+13”を最大出力で光らせる。

辺りが一瞬にして閃光に包まれる。

左目を瞑る。

灼ける勢いの閃光は限界を知らないかのよう強くなる。

ヤバイ、これ凄いやつだ。



浮遊感が身体を襲う。

夢心地と言うべきか、ふわふわした思考。まさに夢のよあな感覚。

その思考に反して、身体は動き出す。

右手を突き出し、その手の前に収束している少し大きな光の塊を仮面男の方へ向ける。

「は、、疾風の、、星、、また私を、、消し去ると、消し去るのか、、、」

ビクビクしている仮面男に対し、俺は前に進む。

「よ、、、よせ。前の、、、前のことは、、謝る、から、、、」

仮面男が後退る。

俺の身体は言葉を聞かず、変わらぬ速度で近づく。

「もう一度、、、堕ちるのは、、、、それだけは、、」

仮面男と光の塊の距離が更に近づく。

この身体はもう止まらない。

「やめ、、やめてくれ、、、、」

更に後退る仮面男。

と、身体の動きが止まる。


そして……………


光が放出された。








妙な脱力感を覚えながら意識が半覚醒する。

薄目を開けると、花が見えた。

花畑に寝転んでいるようだ。

ああ、死んでしまったのかな………

「……スタ……………マ…………ー!……………マスター!…………」

声が聞こえる。

この声に応えないと行けない気がする。

そうでなければ、このまま死んでしまうような……

あれ? 死後の世界ってこんな感じじゃないような?

確かにここは世間一般のイメージからすると三途の川のその先なのだろうが、俺の知ってるあの冥界じゃない。

急に意識が覚醒する。

……もっとマシな気づき方が良かった。死後の世界を知ってるから気づいたってなんか嫌だ。

とりあえず身体を起こす。

「マスター! 気が付きましたか!」

「ああ、うん。複雑な目覚めだわ。」

「??」

シアンが首を傾げる。まあ、第一声が意味不明ならそうなるわな。

「ここどこ? さっきまで俺達、荒野にいなかったか?」

「荒野が急に緑を取り戻してこうなった……と、言っても信じられませんよね?」

「……? ちょっと待って、頭がパンクしそう。」

シアンが急にファンタジーな事をそこそこ真面目なトーンで言ってきた。

……言えばこの世界はファンタジーみたいなものだからありえそうではあるな。

そう思っていると

「疾風………の…星…………」

「「!?」」

仮面男……ではなく仮面が力なく浮遊していた。

「このまま……終わら……せる…………訳には………」

浮遊している仮面はどんどん近づいてくる。

そして………

「[フレイムダール]!」

「あ………あ…………」

飛んできた秋葉の焔で灰になった。

……なんかあっけない最期だな。

「二人とも! 大丈夫!?」

秋葉本人も飛んできた。

……随分ボロボロだな。

「大丈……夫……あ…………………れ………………?」

と、急に視界がぼやけだした。


という訳で26話でした。

編集しまして、戦いを終わらせました。

こう、戦闘書くのってどうも上手くできないですね……


次回[おしまい?]

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