25話 全能宣戦
さて、世間はGWでしたがどうでしょうか?
とてもそれどころではない人が多いようですが、私は元気です。
今回、視点がころころ変わっていますのでご了承ください。
それではどうぞ。
王都に……城に着いた俺達をを待っていたのは戦場だった。
仮面を着けた男率いるキマイラの集団が城を攻撃してる。
「フハハ、もっと、もっとだ。壊してしまえ。」
仮面男がめっちゃ棒読みでなんか言ってる。……ゆかりじゃないよな? 声違うけど喋り方が似てる。感情がない感じが。
で、これどうすりゃいいんだ。
「……なんかデジャヴ。」
と、口に出したものの、状況はさっきまでと大きく変わっていた。
襲撃してきた仮面軍を、魔王サマを筆頭とした兵士と魔物達が押し返している。
一方の俺たちはそれを脇目に城の中に入っていく。
ごめんよ魔王サマ。
「ハァ……ハァ……やっと……ついた……」
「……なんとか……なった……」
「おかえり。二人とも。」
[お帰りなさい]
城に入ったところでシアンとゆかりが出迎えてくれた。
……ここ、最早城というより廃城なんだけど。ほとんど原型ないし。
「今……どんな……状況……?」
[今、響さんが相手軍を押し返してます]
「一番戦力になるのは魔王軍ですから、それに頼らざるをえない状況です。」
……? 対立とかしているのか?
「その言い方は誤解を招くかな? 魔王軍の魔物達は基本中立の立場だからそこまで好戦的な魔物がいないんだ。そこを緊急事態ってことで戦ってもらっているだけだよ。」
奥から拓生が来て補足してくれた。
「ハルトに秋葉、お疲れ様。」
「ああ……どうも……。」
「拓生……じゃん……どうしたの……?」
「どうしたのって言われてもな。魔王軍代表としてセレモニーに来たら大変なことになったとしかな。」
「ほんとに。なんでこんなドンパチしてるのかしらね。」
琴さんも来た。
「で、お二人さん。二人にはもう少し働いてもらうわ。」
「休憩を……所望します……。」
「同じく……。」
「……ハァ、大将だって働いてるのにね。まああの人は特殊って言ったら特殊だけど。」
大将の方を見たら回復やら分析やら色々してた。凄いな。
「……とりあえず2人の回復待ちね。」
とりあえず息は回復した。
「さ、もうすぐ働いてもらうわよ。」
「え? 嫌なんですが。」
「同じく。」
「……何しに来たの?」
「「とりあえず。」」
「……駄目ねこれ。」
俺と秋葉は完全にやる気なし。足を伸ばして地面に座り込んでいる。
「……とりあえず、私たちは加勢してくるわ。」
[マスター達をよろしくお願いします]
「いってらっしゃい。」「いってら。」
シアンとゆかりを見送る拓生と琴さん。
「で、問題の2人ね。」
「そんなこと言われても……」
「重労働した辛いんですよ。ほら、秋葉のマフラー見てくださいよ。」
秋葉のマフラーの炎は最早風前の灯と化している。相当ヤバイ。
「あー、これは重症ね。」
「重症と言ったら、ハルトの眼帯はどうしたの?」
「……取ったらヤバいことになりますよ。」
「中二病か?」
「それは元からです。こっちはガチです。」
それにメンタルももうヤバイ。今日だけで死んだ回数が2桁だし。
「……そう言われちゃどうしようもないな。」
「……でも、2人が動けないとなると厳しいわね。」
「そんなに?」
「秋葉はわかるけど俺?」
「ええ。今回の作戦の第一人者よ。」
部外者なのに勝手に第一人者にされてた。
「とりあえず、私は私でなんとかしてみるわ。拓生、2人のことをよろしくね。」
「了解っす。」
琴さんは奥へ入っていった。
で、拓生が目の前に座ってるわけなんだが
「よーしよし。良い子良い子。」
「……」ピョンピョン
「……」ピョンピョン
リムと戯れている。
って、2人いるんだが!
「誰だそいつ!」
「ん? 俺の幻想。ほいっ。」
「……」ピョンッ
片方のリムが拓生とハイタッチしたら、そのリムが霧となって消えた。
「確か言ったろ? 俺って幻術使いだって。」
「……」ピョンピョン
そしてリムはこっち来た。
「拓生は戦ったの?」
「まあな。だが弾切れで帰って来た。今はお姫様の護衛中って訳。」
「……ここ来ていいのか?」
「お嬢の護衛は別の人がやってくれてるからいいんだよ。」
……こんな感じでいいのか?
「それより、二人の調子は回復したか?」
「「全く。」」
完全にハモった。
まあ、正直ここからやんよし戦おうって感じにはならないよな……。
「そうか…秋葉だけでもなんとかならない?」
「……私より拓生の方が強いじゃん。」
「昔の話だろ?」
「多分今も変わらない。」
「……ダウナーモードじゃ何言っても無理か。」
そんな名前なんだ。
「悠斗は? その目はどんな具合?」
「外したら困ることになるぞ。主に皆が。」
「その一点張りだな。痛みとかなのか?」
「俺の右目って黄色ってか金色だったろ?」
「オッドアイだった記憶はある。」
「その目の力かなにかが暴走している。」
「うーん……よくわからんな。」
……そうだろうな。
「どうしようもないな……。諦めて俺が行くか……。」
「それには及びません。」
と、急に大きなローブを羽織った女性が話に割り込んできた。
「ええと、どちらさまで?」
「私はミルキー村上と申します。」
「あ、どうも。魔王軍幹部の拓生と申します。」
……なんか急に名刺交換し始めた。
「お話はお伺いしております。やる気がでないとのことで?」
「あ、そうなんです。この二人に戦ってもらいたいのですが、やる気がないようで。」
「そうですか。私がお手伝いしましょうか?」
「いえ、おそらくこの二人にしかできないことらしいので。お気持ちはありがたいのですが。」
「そうではないです。この二人のポテンシャルを引き出そうかと思いまして。」
……怪しい宗教か何かか? 端から聞いてるとそんな話にしか聞こえないけど。
「そんな事が?」
「ええ。私の能力を使えばそれが可能となります。」
「本当ですか!? 今すぐ頼めますか!?」
「「ストップ!!!」」
また秋葉とハモった。じゃなくて
「絶対に怪しいと思う。」
「そうよ。そんな方法で引き出せるやる気なんてとっくにないわ!」
「けどなぁ……その方法しない代わりに戦ってきてって言ったら?」
「「……」」
って待て。戦うしか選択肢はないのか?
「どうする? 秋葉?」
「私はぶっちゃけ嫌。」
「同感。せめてもっと時間を開けてほしい。」
当の張本人である俺と秋葉は勿論駄目。なのに
「それじゃあお願いします。」
勝手にゴーサインを出された。
その結果……
「……はい。催眠……じゃなくて洗脳……じゃなくて……能力解放完了です。」
勝手になんか暗示か何かをかけられた。
……なんか沸き上がってくるものがあるんだけど。
「どう? 二人とも、戦う気になった?」
「……」コク
「……」コク
秋葉と一緒に頷きあう。
というか何故か言葉が出てこない。
「じゃあ行ってくれる?」
「……」コク
「……」コク
あれ? 体が勝手に……
ーーside 響
「ハァ……ハァ……[詠唱 氷柱斬]!」
魔王です。辛いです。敵が全然減らないです。
軍員達は退いてもらいました。流石に皆、消耗が激しいみたいでした。
「……まだまだ! [詠唱 爆雷撃]!」
次々に飛んでくる奴らはいくら倒しても一向に減ってる様子がありません。ただの消耗戦です。
ここで倒さないと城の方に被害が行くから倒すしかないですけど。
「もう……少し……[詠唱 魔王布陣]!」
流石にお嬢にこれ以上の迷惑をかけるわけにもいかない。
「はぁぁぁ!」
目の前の軍勢を一刀両断。
これでとりあえずは一段落……ってあれ?
「お兄と秋葉さん? なんでここに?」
二人が何故かこっちに来てる。さっき拓生が言ってた増援の二人かな?
とりあえず地面に着地する。
だが、次の瞬間
「[フレイムダール]」「[フリーズタイム]」
攻撃してきた。
不意を突かれて直撃してしまった。
「危なっ! 何!? 何するの!?」
「[スプレッドリーフ]」「[スターダストレイン]」
棒読み呪文だからそこまで威力はないはずだけれど、めっちゃ怖い。
「待って! 二人ともどうしたの!」
「[ダイヤシャール]」「[スターダストレイン]」
ああっ! 声は出せるけど体が動かない! 防具のおかげでそこまで痛くないけど怖い!
「何で! 何で攻撃するの!」
「[ダイムズレイン]」「[スターダストレイン]」
話が通じない! あとお兄の攻撃がワンパターンすぎる。
どうする? せめて体が動かせたら……
一方的に殴られている状況は流石に不味い。
「[ファイアシュート]」「[スターダストレイン]」
「助け……」
ーーside シアン
頭が痛い。
戦闘中ではあるものの、急な頭痛に悩まされている。
[大丈夫ですか?]
「へ……平気平気。それより……敵はどう……?」
[現在響さんが奮闘しているので残り数体倒せば終わります]
「オッケー……。戦おう……。」
剣に変身して迎撃……するつもりで飛んだが、
「ううっ……」
変身できずに地面に落ちてしまった。
[本当に大丈夫ですか?]
「ちょっとごめんね。ゆかり一人で片付けれる?」
[了解しました。戦闘モードに移行]
ゆかりが羽を広げて飛び立っていく。立派に育ったものね。
とはいえ、このまま何もできずに無駄死にするわけにもいかない。
足を伸ばして地面に座り込む。
「副作用が来たのかな……」
ペンダントを見つめて呟く。
剣霊として復活してからというものの、妙に力が出しきれてない感があった。寧ろマスターに握られずにソロで剣霊として戦うときの力に限界を感じていた。
正直この体は私の体であってそうでないもの。女神という本職の力を流用してやっと保てているもの。
「流石に……このままじゃ不味いわよね……」
最近マスターに使ってもらってない。曲がりなりにもマスターなのだから、マスターを離れすぎているという注意換気がこれなのかもしれない。
……まあ、それを引き起こしたのは紛れもなく私自身なのだが。
と、そんな事を考えていると、人影が近づいてきた。
その人影は……
「秋葉と……マスター……?」
城の方から2人が歩いてきた。
珍しくマスターの足下には魔方陣がない。
「増援に来たのかしら……。ありが……」
しかし、二人は座っている私を見ようともせず通りすぎていった。
「あ……」
普段の二人からは想像できなかった。
二人とも、そうでなくともどちらか一人は私に構ってくれるはずだと思っていた。
少なくとも私が知っている二人は座っている人を無視するという行為をする人ではなかった。
捨てられた? 愛想を尽かされた? 失望された?
そんな疑問が過る。そうではないとは解っていてもそう思わざるを得なかった。
私は真相を確認すべく、ふらつく足と頭痛に耐えながら二人の後を辿った。
「う……嘘……。」
二人を辿った先に待っていた光景は、二人によるリンチ現場だった。
「助け……」
響さんはもう虫の息だ。
助けたい。しかし体はその想いに応えることはなかった。
更に頭痛が増す。耐えられずに踞る。
この状況を打開したのは
[[電撃砲]]
ゆかりだった。
ゆかりから放たれたそれは三人をそれぞれ別のの方向へ吹き飛ばす。
[大丈夫ですか?]
ゆかりは響さんのところへ駆け寄っていく。
一方で先に立ち上がったのはマスターだった。
「[フリーズタイム]」
[[時の鎖]]
マスターが撃った鎖とゆかりが反転しながら撃った鎖が空中でぶつかった。
[何のつもりですか?]
「[スターダストレイン]」
[ついに善悪の判断もつかなくなりましたか? [反射板]]
ゆかりが言葉を投げかけるがマスターは何の反応も示さない。
反射板で跳ね返ったマスターの弾はマスターの体を貫いてマスターを粒子へ還元した。
そしてその瞬間、さっきまでの頭痛が嘘みたいに消えた。
しかし次の瞬間、体の中の危険信号が一斉に反応しだした。
冥界で何か起こっている。そう告げている。
「ゆかり! ここは頼んだわ!」
そう告げ、私は冥界へ転移した。
冥界に着いた。着いたのだが、そこの光景は異様なものだった。
[目を覚ましてください!]
そう諭す私の片身のパネルをよそに半狂乱で暴れているマスター。
止めなきゃ。
「マスター。ごめんなさい。」
一応謝ってからマスターを押さえつける。しかし
「…………シアン、マスター権限だ。止まれ。」
マスターから発されたその言葉に逆らうことはできなかった。
ーーside 響
増援のおかげでなんとか地獄から抜け出した。
けれど、ダメージが凄く重い。
「いてて……」
[大丈夫ですか?]
「大丈夫くないな……。回復できない?」
[残念ながら。一回戻って皆を呼んできます]
「お願い。」
ゆかりさんは翼を広げて城へ飛んでいった。
……これでとりあえず落ち着いた。
何が起きてるんだろうか?
話の流れでお嬢のセレモニーを見る羽目になったと思ったら仮面男が急に乱入してきて、それを退けたと思ったら複製魔獣が襲ってくるし、それを退けたらお兄と秋葉さんが襲ってきて……。
「フハハ、苦戦してるようだな」
……出た。今回の元凶。仮面男。
「そろそろくたばったか?」
「何を。お前の刺客は全て倒したぞ。」
立ち上がり、空に浮かんでいる仮面男を見上げる形で睨む。
「その割には結構手負いのようだが。腕が落ちたか? 魔王後継者。」
「……謎に兄さん達に殴られたからな。」
「ほう。この期に及んで仲間割れか?」
「いや、お前の刺客だろ?」
「言ってる意味がわからん。」
それはこっちの台詞です。
……駄目だ。変な棒読みがここにきてイライラする。
その怒りを太剣を持つ手に込める。
「悪いが、身内や仲間とはこれ以上やりあいたくねえんだ。」
剣先を仮面に向ける。
「ここで決着つけるぜ。」
「本当に戦いたいのはお前じゃないんだけど。」
わかってる。けど、ここであの人にこいつを会わせることはできない。
「いく
「[バーンスラップ]」
「うおっとあぶねっ!」
後ろから炎が飛んできて僕の威勢が掻き消された。
「……なにっ!? 紅の華!?」
仮面男が動揺している。じゃあこいつの仕向けたことじゃないのか?
「しょうがない。こっちからやるか![詠唱 魔王布じ
「[フリーズタイム]」
「っとい! 流石に二度目は!」
光る剣を持ったお兄が放つ鎖をかわす。
「疾風の星だと!?」
お兄の方も動揺。
……マジで違うのか?
「しかも治癒の守護者まで!?」
……感情が振れすぎだろ。キャラ崩壊しすぎだろ。
というより、さっきから何を言ってるんだあいつ……。
「まあいい。ある意味好都合だ。」
そしてそう言ってまた空に昇っていった。
「……マジかよ。」
……また逃げなきゃいけないのかよ。
「[フォーメーションアース]」「[スターダストレイン]」
「これ以上は……無理だ……。」
駄目だ。流石に守るだけじゃ限度がある。
どうしよう。攻撃すれば勝てるんだろうけど、お兄に攻撃したくないし……。
「[ファイアネスト]」
向こうの攻撃する手は止まらないし……。
いや、心なしかお兄の攻撃の手が緩んでいる気が……。
「[スフィアオブウォーター]」
……いや、このままじゃ僕が確実にやられる。
と、その時
「響! 大丈夫か!」
「拓生!?」
拓生が急に乱入して二人を突き飛ばした。助かった。
「どういう状況! ゆかりちゃんに言われて飛んできたけど!」
「なんか変なことになってる! マジで!」
……ヤバイ。口が回らない。けど大体伝わるだろ! 拓生なら!
「……なんで秋葉とハルトの二人と戦ってるの?」
「しらない! 拓生知ってない!?」
「俺が知ってる訳……いや、心当たりあるわ。めっちゃ心当たりだわ。むしろ確信。」
「どのくらい? ランクは?」
「9/10。」
「わーお。最高ランク。」
なんか懐かしいな。前にもこんな会話を拓生と僕とでしたっけ。
って、そんなどころじゃない!
「じゃあ全責任拓生にあるんでしょ? じゃあ拓生が片付けてよ。」
「……俺、秋葉を攻撃したくないんだけど。訳有りで。」
「僕だっておに……悠斗を攻撃したくないよ! それこそ訳有りで!」
……訳有りすぎだろ。
「……分担するか?」
「……そうする。おに……悠斗の方頼む。」
「了解。じゃ、秋葉の方頼む。」
こうして二つの本気バトルが始まった。
のはいいのだけど
「[バーニングラッシュ]」
「やべっ! [詠唱 滅斬陣]!」
正直秋葉さんを舐めてた。普通に強い。
本気の魔法の撃ち合いでこれだと結構キツいかも。
「[スプレッドウォーター]」
「うげっ! [詠唱 風雷擊]!」
それに魔法のレパートリーが多い。流石、紅の魔女。
「[バーンスラップ]」
「それはわかる! [詠唱 反射板]!」
流石に一度見た技は対処できる。
……けど、このままじゃ埒があかない。
「[ルナティックフレイムバースト]」
「それはまずいっ! [詠唱 封魔陣]!」
咄嗟に上級魔法を放ち、地面に魔法を封印し、移動を制限させる魔法陣を描く。
「……ァ……」
……最初からこれ使っておけば良かったな。
敵さんが完全に無気力になった。
さて、拓生の方は……あれ? あいつ何を……?
「さて、お膳立てはもういいか。」
仮面男が動きだした。一応気配を殺して尾行してみる。
「本当にまさかだったな。紅の華と疾風の星、更に治癒の守護者までこっちに就くとはな。」
相変わらずの棒読みで聞きづらいけど、なんとなくは聞こえる。
お兄達を洗脳したのはあいつではないのか。
でも、実質仮面側に就いてることは事実。
……どういうことだろうか。
「まあいい。魔王を引きずり出す為にはどんな手も使うべきだ。」
……やっぱりあいつの狙いは爺さんか。
けど、あいつに爺さんの今を知られる訳にはいかない。
「……しかし、余計な役者が多いな。」
ん? そういえば、拓生の方に結構人が……。
って、よく見たら全員集合じゃん。城のメンバー全員あそこにいる。
ちょっと先回りしてみよう。
「[詠唱 疾速走]」
「お、闇の兄ちゃん。大丈夫か?」
大将が真っ先に気づいて声をかけてくれた。
「あ、はい。そっちは?」
「このスライムの坊やが止めをさしてくれてな。一応なんとかなったぜ。」
「……」ピョンピョン
「そうなんですか。」
……拓生が仕留めたんじゃないんだ。
「じゃあ拓生は?」
「ああ。そこで倒れてるぞ。」
……マジか。本当にやられてる。
拓生に近づく。
「響……ハルトって……強かったんだな……。」
「マジかよ。そんなにか?」
「ああ……明らかに……ヤバイ……強さ……。」
拓生はそこまでやわじゃないはず。
……あの時手加減してくれたんだな。
で、完全に城メンバーがこっちに来ていると思ったのが
「あれ? 剣霊さんは?」
「ハルトと共闘。つまり寝返られた。」
拓生が問いに答えてくれた。
って
「え? マジで?」
[彼女はマスターの従者なので、マスターと同義の呪いにかかったものと推測]
……そういえば二度目のお兄、剣を握ってたな。
「あれ? ゆかりちゃんは大丈夫なのか?」
[私はマスターに主従関係を結んでませんので]
「「え? そうなの?」」
拓生とハモる。
てっきり剣霊さんと同じようにマスターと呼んでるからそうだと思っていたのに。
[便宜上そうなってるだけです。私の母体とマスターが主従関係を結んでるだけです]
それは回り回って主従関係じゃ……?
けど、呪われてないし……どうなんだろう?
それにしても、大所帯だ。
ギルド組に研究員、城の人。ざっと30人くらいかな?
うちの軍隊を退かせてもこんな人数いるんだ。
ってあれ? 紬姉はともかく、凜姉までいるんだ。
……自発的に声はかけられないのだけど。
「少年、何してるの?」
「うわっと! って、椎名さんか。」
「うわっとって、そんなお化けに遭った反応しなくても……。」
研究員の琴さんだ。研究会名はふざけているが、結構しっかりした人だ。
「どうしたんですか? こんなところで。」
「あ、無視された。普通に緊急事態だから来てるのよ。」
「というと?」
「……こんなどんちゃん騒ぎで私が出動しない訳がある?」
「……ないですね。」
「よろしい。で、少年。今どんな感じ?」
「どんな感じとは?」
「勝算はあるのかってこと。」
「……悠斗と秋葉さん、剣霊さんが敵な以上キツイと思います。」
「そうよね。事実、あの三人はキーパーソンなのよね。」
「というと?」
「どうもね、あの仮面男と過去で何かあったみたいなのよ。」
過去?
「あれ? 悠斗がこの世界に来たのって十数日前ですよね?」
「そうなのよ。だから尚更謎なのよ。」
……どういうことだ?
「そろそろ終幕といこうか。」
仮面男が上空で覇気の無い声で呟く。
……ここにいる皆絶対には聞こえてないと思う。
「究極魔法で瀕死にさせるか。」
究極魔法……って、それはやべえ!
止めな……あれ? 体が……動かない……
「ん? あそこにいるの誰だ?」
拓生が気づいた。
が、遅かった
「[詠唱 エンドネスギャザー]」
仮面男が超火力のビームをぶちこんできた。
ヤバい、間に合わな
「[吸収]!!!!」
大将の右手がそのビームを吸い込む。
「くっ!!!!」
「「「「「「「大将!?!?」」」」」」」
ビームはだんだん弱まっていく。
「くそ。お前がいたな。大将。」
「……そんなので……やられる程……衰えて……ないわ……がっ…」
大将が膝をつく。
「大将!」
近づいて大将の肩を支えにいく。
「甘いな。[詠唱 エンドリパルサー]」
「がっ……」
直撃してしまった。
「魔王後継者。さっさと魔王を差し出せばこのようなことにはならないぞ。」
「そんなことは……させねえよ……。それに……お前も……消費が……激しいようだが?」
「確かにな。もう一発は撃てないな。しかしな、[詠唱 封魔陣]」
あ、やべ……
真下に魔方陣を描かれた。
「これでお前らはもう抵抗できないだろ?」
仮面男が口を歪ませニヒルに笑う。
「だが……もう魔力……ないんだろ? 魔力が……ないお前は……何も出来ない……だろ?」
……こう言うしかない。ここで弱気になってはいけない。
「ふん。威勢だけはいいな。だが、こいつで終わりだな。」
そう言うと仮面男が下に降りて、いつのまにか真下にいた秋葉さんの手首を掴んで再度上昇した。
「紅の華の魔力を奪えばもう一度撃つことができる。」
……やばくね?
大将は手負いだし、そうでなくとも魔法封じられているし、更に動きまで封じられてる。
「命乞いなら今のうちだぞ。」
「誰が……するわけ……」
「残念だったな。[詠唱 エンドネスギャザー]」
その瞬間、辺りが閃光に包まれた。
「[スキャン]!!!」「[治癒の光]!!!」
という訳で25話でした。
終わり(始まり)へどんどん近づいてます。
今回大量の伏線を張ったのですが、回収できる日は来るのだろうか……
次回[最低のタイミングで……]




