21話 トラブルトラベラトラベスト
憂鬱な日々を送りつつも私は元気です。
それでは憂鬱とは無関係な世界のお話をどうぞ。
腹ごしらえも終えて先に進む俺たち。
「いやー、結構食べたね。」
「秋葉の料理ってなんでそんなに美味しいの?」
「さぁ?」
「[「なんでその反応なの!?」]」
全員の声が綺麗にハモる。
「実際私もメカニズムわからないし……。」
……これ大丈夫か?
「食あたりの可能性は?」
「なきにしもあらず。」
「大問題じゃねーか!」
「だ、大丈夫。フクシマさんの料理よりかは確率低いから……」
「確率100%と比較されても……」
シアンですら呆れてしまった。
「ゆかり、秋葉の料理で食あたりになる確率は?」
[95%です]
「駄目じゃねえか!」
5%を祈るしかないのか……
幸いなことに全員調子が良い。
「なんか料理でバフかかる……みたいなことってないのか?」
それこそゲームみたいな。
[微々たるものですがあります]
「というと?」
でました。本日のパネルタイム。
[食べた料理というよりかは調理方法と量によって効果が変わります]
パネル上に羅列している料理の画像と計算式を次々切り替えながら説明するゆかり。
[腹持ち度合いやバフは個人差があります]
今度は計算表。申し訳ないがあまりよく分からない。
[まぁ、普通の料理はあまり気にしなくてもいいですね]
「気にしないといけない料理は?」
[それこそフクシマさんの料理みたいなものです]
あ、そこはそうなんだ。
[若葉さん、この前のラーメンもどきのせいで相当な数のデバフがかかってしまいましたし]
「というと?」
[昏睡、衰弱、神経麻痺、死神、亡骸、末期傷害、無限幻覚、その他44種類のデバフが一度に若葉さんに襲いかかってます。]
……字面だけでもヤバそう。
「ええと、それは大丈夫なの?」
[明日には復活していると推測]
「ならいいのだけど。」
いや、絶対に後遺症ヤバそうなんだが……
なんやかんやで頂上付近の広場まで来ました。
ログハウスや集会所があるようなキャンプ場みたいな広場だ。
と、そこにはなにやら人だかりが。
「あれ? 悠斗じゃん。」
その人だかりの中には紬もいた。
[知り合いですか? マスター?]
「ああ、前世での大親友。」
あそっか、ゆかり達とは初対面か。
「私は紬。緒方紬よ。よろしくね。」
「私はシアン。剣霊よ。」
「私は秋葉。炎術使いよ。」
あ、そうだったんだ。
[私はゆかりです。マスターに名付けてもらいました]
「マスターって悠斗のこと?」
[はい]
「ふーん。ねえ、ちょっとちょっと……」
紬が少し離れて手招きしてきた。
近づくと
「女の子3人はべらすとはいい身分だね。」
と耳打ちしてきた。
「バカ、んな器じゃないこと知ってるだろ?」
「まーね。伊達に親友やってる訳じゃないからね。」
凛と紬とは家が近所ってこともあり小学校から一緒だ。だからかれこれ10年来の付き合いってことになるのかな?
「で、何しにここに来たの?」
皆に向き合って質問し直した。
「そう言うお前こそ。」
「私? 大将から集まってくれって連絡が来たからここにいる訳だけど……」
「「「大将が?」」」
またハモった。
「私達は依頼の通り道な訳だけど……ねえ。」
「うん、これ見て。」
秋葉が依頼のパネルを紬に見せる。
「あ、ほんとだ。どういうことだろ?」
「おお、兄ちゃん達。良いところに。」
ここで大将がやってきた。
「大将、この集まりは何ですか?」
「ああ、ちょっと訳があってな。あ、そうだ。」
大将が楽器を渡してきた。
それを受けとる……が、重すぎて持てなかった。
「「あれ?」」
大将と俺の間に気まずい空気が流れる。
「……そういえばマスターって防具や重い武器が持てない体でしたね。」
「そうなのか?」
「先輩から渡されたメモに確かそう書かれていました。」
先輩……白髪の女神のことか。
というか楽器って武器なのか?
「兄ちゃんって創造使えたよな。」
「はい。使えますけど。」
「何か音立てて皆集めてくれ。」
……俺が?
「何で俺が?」
「特に訳という訳はないんだ。ちょっと頼むぞ。」
と言って大将は奥に行った。
紬達の方をチラッと見るも、肩をすくめるのみ。
……鍋と棒をクラフトする。
「集合ー!!!」カンカンカン
鍋を叩いて叫ぶ。
するとみんな綺麗に整列した。ピク○ンかよ。
「はい、皆さんに集まってもらったのは他でもありません。」
すかさず大将が切り出した。
さっき奥に行ったのにいつの間に戻ってきたんだ……?
「少し緊急クエストという名目で呼び出したのは、飛龍大量発生の件です。」
「大量発生?」
秋葉が頭上に?を浮かべる。
「昨日秋葉君一行に受けてもらったクエストなんだが、状況が変わった。」
「というと?」
集団の中から声が漏れる。
「……まあ、後ろを見れば分かる。」
皆がこぞって回れ右をする。左の人も3人いるけど。
真後ろは木が林立してるだけだ。
すると
「助けてーーー!!!」
何者かが突っ込んできた。
全員が綺麗によける。ナイス判断。
「いてて、あ、皆さんお揃いで。」
魔王サマだった。リムも一緒だ。
「何があった?」
「あ、大将。じゃなくて大変なんです!」
魔王サマがそう言うと同時に林の中からドスの効いた咆哮が鳴り響いた。
皆一斉にざわつく。
そして大量の龍が現れた。
「まぁ……なんだ。」
大将が口を開く。
「緊急クエスト! [大量飛龍排除作戦]開始!」
それから現場はてんやわんやの大騒ぎ。混沌としていた。
「どうするどうする!?!?」
「とりあえず倒さないと!」
「おい! 攻撃魔法使えるやついねえか?」
「雷は効かないぞ!」
「は? 俺、雷魔法しか使えないんだが!」
「私もだよ! どうすればいいのよ?!」
「あの……、ダイナマイト投げていいですか……?」
「「「「「「バカ! お前だけはやめろ!」」」」」」
コートを羽織っているダイナマイトを持った女の子がめっちゃ責められてる。
『マスター、戦いますよ!』
[対人戦闘プログラム始動]
「ちょっと待って、ピュイを避難だけさせて。」
臨戦態勢に入ったシアンやゆかりを後に大将の元へ向かう。
が、
「ゴオオオオオオ」
龍の咆哮で吹き飛ばされる。
この体軽すぎるだろ。
とりあえず大将の元へ。
「大将、この子見ていてください。」
「おうよ。あと兄ちゃん、これを。」
いつかの小さな箱だ。流星祭の前に倉庫から取ったものだっけ?
開けると光る鎖が入ってた。
「……時の鎖ですか?」
「知ってるのか。なら説明不要だな。」
「俺一応持っているんですが……。」
前に琴さんに貰った。
「……マジか。」
「はい。ほら。」
ピュイに向かって時の鎖を打つ。一応使えるようにと練習しておいた。
琴さん曰く「もうマスターしてるわね。たまに星屑の雨が暴発してるけど。」とのこと。
「……一応持っておいてくれ。俺が持っててもどうしようもないから。」
「大将は使えるんですか?」
「こればっかりは無理だ。大概の魔法には適正あるんだがなぁ……」
意外。大将でも使えないんだ。
と、そこに爆撃が飛んできた……が、大将がそれを素手で跳ね返した。
「長話になったな。前線、頼んだぞ。」
「了解しました!」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「衛生兵! 衛生兵!」
「馬鹿なこと言ってないで避難だ避難! [逃避術]! ほら! あんたも!」
「これでも魔王なんだ! 戦うぞ![詠唱 空間斬]!」
「お前さっき涙目で逃げてきた癖に……っとい! [反射網]!」
「ハァ……やっと一匹ね。これじゃキリがないわ。」
「だからダイナマイト……」
「「「「「「バカ! それだけはやめろ!」」」」」」
……ここに戻るの嫌なんですけど。
「あっ!ちょっ!はっ! 悠斗! 誰か! 助けて!」
そして龍がめっちゃ紬に群がってる。
なにこの地獄。
[頭数が多すぎます!]
『マスター! 帰ってきてるなら早く来て!』
雷の剣を持ったゆかりと剣になったシアンが5体の龍を相手してる。
そんな中上空から1匹の龍がゆかりへ急降下してきた。
[!?]
『ゆかり! 危ない!』
「[時の鎖]!」
ゆかりの頭上で龍がピタッと止まる。ナイスタイミング!
[『マスター!?』]
「お待たせ!」
[タイミング図ってたの見えてましたよ]
「マジかよ。でもナイスタイミングだったろ?」
『そんなことより迎撃しますよ!』
「おうよ!」
右手をつきだす。
その手にシアンが収まった。
「いくぜ!」『いくよ!』
と、そのまま龍に突っ込んだのはいいけど、俺は大した剣技も覚えてないからシアン任せになってる。
……俺いる?
前から来る龍を縦に切り裂いてそのまま回転斬りで追撃する。
「フォォ……」
そして弱ったところを
『そこっ!』
叩き斬る。
『やっと一匹……あと何匹いるの! ゆかり!』
[38匹です]
「増えてない!?」
[20分後に20匹の増援が来る模様]
「ご丁寧にどうも!」
それまでに倒さないとヤバイっぽい。
[マスターは他の支援をすることを推奨]
「役立たずって遠回しに言ってないか?」
[端的に言えばそうです]
マジかよ。まあ分かってはいたけれど。
「フォォォォ!」
そして空気を読まない龍が突っ込んでくる。
「だーもう、[時の鎖]!」
俺の右手から飛び出した鎖が龍を(精神的に)拘束する。はい、かっこいい。
『はあああっ!』
龍が真っ二つに切り裂かれた。それにしてもすごい光景。
[やっぱりここにいて手伝ってください]
「どっちだよ!?」
[その技を使用しているのはマスターだけじゃないですか]
「あ、それで思い出したんだけどぉぉぉっとい!」
大将から貰った時の鎖の話を切りだそうとしたら俺とゆかりの間を龍が通過した。
そしてその龍はとぐろを巻くように
『マスター!』
シアンを拘束した。
「ビャァァァァァ!」
『痛たたた! ちょ、待っ……』
剣に拘束は効くみたいだ。
普通に考えたら龍の胴体が太いからそうだろうけども。
[なにぼーっとしてるんですか! さっきの技を使ってください!]
「連続でバンバン出せたら苦労しねえよ!」
[使えない……]
「は!? そこまで言うんだったらお前が使ってみろよ!」
[私はつかえません]
「だーもう、ほら、これ!」
ゆかりに大将から貰った時の鎖を投げ渡す。
受け取ったゆかりは一瞬動作を停止したが、すぐにスキャンして
「ビャァ?」
『ありがと! それっ!』
龍に時の鎖をぶちこんだ。
龍は細切れになった。
[これでマスターは本当の用無しです。他の所を手伝ってください]
「はいはい。わかりましたよ。」
辛辣すぎんだろ。
ゆかり達から少し離れると
「ひ、酷い目に……あった……」
放心している紬がいた。
「大丈夫か?」
「あ……悠斗じゃん……。どうしたの……?」
「思いっきりこっちの台詞なんだが。」
「いや……ね、大量の龍に絡まれてね。」
ごめん、それ知ってた。
助けれそうになかったから放ってたけど。
「そっちこそどうしたの?」
「俺? ちょっとリストラされてさまよってる。」
間違ってはない。はず。
「そっか。私と戦う?」
「……碌なことおきなそう。」
「ちょ、ちょっと! そういう係は悠斗じゃんか!」
「絶対紬だと思うんだけど。」
「ちーがーうがっ!!」
「お、おい!!」
紬が攻撃をモロにくらって吹き飛ばされる。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫……。」
そう言うと紬はボウガンを構えて
「それっ!!」
龍の脳天に矢を突き刺した。
「いやー、ちょっと、辛いわ。」
「本当に大丈夫か?」
「平気平気。ほら……っとと。」
よろけて地面に横たわる紬。
「悠斗、おぶってくれない?」
「……ごめん、この体じゃ無理だわ。」
「何? また私が重いって言うの?」
「そうじゃないそうじゃなっとい! [時の鎖]!」
また龍の突進だよ。こいつ本当に話の腰を折るよなぁ……。
「俺の体だいぶ貧弱になってぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「きゃぁぁぁ!」
今度は龍ではなく爆風が吹き荒れた。
「あ……やっちゃった……。」
「「「「「「逃げろぉぉぉぉ!!!!」」」」」」
さっきの少女が投げたダイナマイトっぽいな。
爆発をモロにくらって宙に投げ出される俺の体。
心なしか体がいつものダメージ状態よりも薄い気がする。
そして地面に優しく落ちる。軽すぎだろ。
「だ、大丈夫ですか!?」
ダイナマイターの少女が駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫。もう一発くらったら確実に死ぬだろうけど。」
「ご、ごめんなさい!!」
ギャグのつもりで言った一言なのになんかさらに謝られた。
……まあこの子、俺の体について何も知らないだろうから言った俺が全面的に悪いんだろうけど。
「わ、私、マイといいます! 本当に申し訳ないです!」
「ほ、ホントに大丈夫だから……」
「い、いえ。怪我させたのは事実でしょうし。いくら龍が停止しているからってつい……」
あー、さっきフリーズタイムで止めた龍に攻撃しようとしてダイナマイト投げたのか。
そりゃ俺に当たるわ。
「わかったわかった。避けなかった俺、悪い。反省。
投げた君、悪い。反省。それでこの件はおしまい。いいな?」
「で、でも……」
「おしまい。な?」
「は、はい。」
これで一件落着。絶対強引だろうけど。
「だ、大丈夫?」
紬がやってきて声をかけてきた。足を引きずってる。
「そっちこそ大丈夫か?」
「あはは、ちょっとやっちゃったかもね。」
「大問題じゃねーか!」
「悠斗の方が大問題っぽいよ! なんか薄いし!」
「あ、これ実は……」
説明完了。
「随分難儀な体だねぇ……。」
「命がいくつあっても足りないってのはまさにこのことだと思う。」
「わ、私が投げなければ貴重な一回を消費しなくて……」
「どっち道いずれ死ぬから今当たったって一緒だし大丈夫だよ。」
むしろダイナマイトで龍が何匹か倒れた分危険が去ったと言ってもいい。
「わ、私、ダイナマイト投げるしか能がないのでこんなこと結構あるんです……。」
「だから大人(+魔王)達がああ言ってたのか。」
「にしてもあの爆発力は……ね。よく私が何とも無かったよ。」
もう一度爆心地を見てみる。
直径30mくらいのクレーターができてる。
龍に直撃したと考えると5mくらい上空からの爆破。
相当な威力だ。
「け、けどあれでも一番弱いやつなのですよ……。」
マイがコートをチラッと捲るとダイナマイトが数個コートの隙間から見えた。
「魔力が溜まるともったいないからダイナマイトを作ったらこんなに……」
「ちなみに最大威力はどんな感じなの?」
「試したことはないのですが……」
マイが一つダイナマイトを取り出す。
「これはさっきの5倍の魔力を詰め込んだやつです。」
「それを投げたら相当ヤバそうだけど……っと!」
「「フォォォォ!」」
まーた龍だよ。もう新鮮味がないんだけど。
……にしても多くないすか?
「あはは……ちょっとヤバイ状態みたいだね。」
「というと?」
「さっきの爆発でヘイトがこっちに向いたみたい。」
「つまり……」
「「「「フォォォォ!!!!」」」」
「逃げよう!」
「ああ!」
「うん!」
『あ、マスター……ってうぇっ!?』
逃げてる最中にさっきのところに戻ってきた。
『いつもより薄いけど大丈夫!?』
「そっち!?」
『一度貴方の体の管理も私の管轄だから……ってええええ!」
いつもの姿に戻りながらシアンがバグった。
「何があったの!?」
「爆発してヘイトが向いた。」
「話してないで逃げるよ!」
「ああ、すまん!」
「ちょ、どこへ行くの?」
「わかんないわよ! けどこの数相手は難しいわ!」
「あ……、さっき道中にダイナマイト置いてきたから……」
ドカアァン
爆音がなった。
「ゆかり! 今の状況は?」
[大半が戦闘不能状態です]
「わかった! なんとか食い止めて』
[しかし戦闘能力的に勝率0%です]
『よーし、逃げるよ!」
「どっちだよ!?」
剣になったり戻ったり忙しいな!
逃げても逃げてもキリがない。
現在23匹の龍が木々の間から追ってくる。
[マスター、どうするつもりですか?]
「考えがないことはないけど……」
「悠斗に?」
「失礼な! シアン、先頭の龍斬りつけて!」
「了解!』
剣化したシアンが先頭の龍を斬る。
「シアン! 戻ってきて!」
『ええ!』
手中にシアンが戻ってくる。それを
「おりゃぁぁ!」
思いっきり右に投げる。
『え? ちょ!? 何!?』
「一旦そこにいて!」
『え、ええ!』
少し進む。
先頭の龍がシアンの方に曲がったのを確認して
「[時の鎖]!」
その龍を固定する。
「今だ! ダイナマイト投げて!」
「は、はい。えいっ……」
投げられたダイナマイトは止まった龍に当たった。
「ちょ、そこじゃなくて……」
「こ、これ以上は届きません……」
「ああもう! 貸して!」
「は、はい!」
紬がダイナマイトを受けとると
「こうすれば!」
紬が矢にダイナマイトを取り付けてボウガンを打った。
ダイナマイトは止まった龍の奥側に飛んだ。
「よし! これで起爆すれ」
「[フレイムダール]!」
どこからか秋葉の声が響いた。
[あ、今すると……]
ドカアァァァァァン!!!!!
[私が言いたいこと分かります?]
「はい、でしゃばって申し訳ないです。」
冥界。凄いことになった。
[いえ、そうではないのですが……]
「??」
[なんで星魔法が弱点の龍に使わないのか謎で……]
「え? マジ!?」
超活躍できる舞台だったじゃんか。
[ほとんどの魔物は星魔法に耐性無いんですよ?]
「いや、知らないんですけど。」
[言われてすらないでしょうし……]
ってことは今戻って倒しまくったら英雄になれるってことか!
[あ、でも悠斗さん弱いので多分効かないですね]
「おい!」
完全なぬか喜びじゃねーか。
戻ってきた。
現場はクレーターでした。
それも特大の。
山の上半分が抉れるくらいの。
「ま、まさかダイナマイトがあったとは知らなくて……」
「た、確かにわかるはずないですね。」
地面に突っ伏した秋葉とシアンだ。
「悠斗……考えってこれ……?」
「流石にここまでなるとは思ってすらなかったわ。」
幸いにも追ってきた龍は消えてる。
「お……応急処置はなんとかしました。み、皆命に異常はないようです!」
俺死んでるんだけどな。
[龍はほとんど戦闘不能です]
「つまり?」
「依頼完了ってことね。マスター。」
「……なんだかしゃっとしない終わり方だね。」
「い……一回戻りますか?」
「そうだね。大将の元へ帰りましょうか。」
「へっ、お前が最後の残党って訳か。」
道中で龍と魔王サマが戦っていた。
「どうする? 手伝う?」
「いやだって魔王サマだぜ。絶対足手まといだと思う。」
「見守る?」
「うん。」「ええ。」[はい]「そうね。」「そうですね。」
ということで物陰から見ていることに。
「随分ナメられたものだね。」
魔王サマが大剣を取り出すと
「[詠唱 居合い斬り]」
刹那ーー風が吹き
「ヒュォォォ」
龍が力なく地に落ちた。
「こんくらいなら俺でもできるんだよ。」
すげえ。
「か……かっこいい。」
マイが見惚れてる。
「あれ? 皆さんお揃いで。どうしたん?」
「いやね、大将の元へ帰ろうーって。」
「そっか。俺も一緒に行っていい?」
「ああ。一緒に帰ろうぜ。」
「おお、おかえり。どうだった?」
広場で大将が出迎えてくれた。
[多少の犠牲を除けば完全に終わりました]
多少の犠牲(山の地形)ね。
「それはよかった。」
「よくねぇ!」
「「「!?」」」
野太い声が辺りに響く。
全員の一斉に声の方へ向くと
「よくもうちのやつらをやってくれたな!」
虎柄のベストを羽織った野太いおっさんがいた。
ということで21話でした。
戦闘シーンはやっぱり難しいですね。
言っても皆まだまだ弱いので……
次回 [それにしても実力不足ですね]




