16話 まおうのおしごと!
結構遅れましたが16話です。
クオリティの低さには目をつむって読んでもらえると幸いです。
「覚悟ぉぉ!」
「うわっとい!」
戻ってきて早々また殺されかけた。ナイス瞬発力。
10歳前後くらいの少年が俺に向かって飛び蹴りしてきたようで、その少年は壁に足が挟まって抜けないらしくもがいている。
「あ……大丈夫でしたか?」
「少なくとも今は大丈夫な要素はないんですが。」
若葉さんが心配して駆け寄ってくれたが、大衆の注目は少年に向いているらしく、少年の周囲には野次馬が沸いてる。
「あ、依頼の進捗はないです。」
「了解です。処理はこちらで……危ないっ!」
若葉さんに急に手を引かれて抱き止められた。
そしてさっきまで俺がいた位置にまた蹴りが飛んできた。……もう片方の足に板をつけたまま。
「やい! 覚悟しろ!」
少年はヨロヨロと立ち上がって俺に向けて険しい目線を向けてくる。
「ええと、……なんで攻撃してくるんだ? というかお前誰?」
とりあえず尋ねる。
「ええと、その前に放してもらうと助かるんだけど……」
「ああっとごめんなさい!」
若葉さんに抱きつかれたままなの忘れてた。
「僕はヒバナ! お前を倒す!」
「いや意味わからないんだけど。」
名前を名乗られただけでは……。
「お前を倒す! お父さんとお母さんの為にも!」
「俺が何をしたって言うんだ……」
「お前に殺された仲間達のためにも!」
「はぁ?」
周囲の視線の矛先が俺に変わる。
「マジの方で俺が何をしたって言うんだ?」
「うるさーい! くらえ!」
「ちょ、誰か助けて!」
「おはようございまーって、あ、やってるやってる。」
「誰か知らないけど助けて!」
入り口に現れた人影に向かって助けを求める。誰か知らないけど。
「じゃ、俺は退場させてもらうわ。はーさん、依頼貰うよ。」
「その前にあの騒動を止めてもらう方が助かるんですよね……。」
「……ハァ、わかりましたよ。」
何やら話していたが、入ってきた方の人がこっちにやってきた。
「ほら、ガキ。喧嘩は他所でやれ。」
「やめろー! みんなの! みんなの仇だー!」
「だとしても責めるやつを間違えてるぞ。ほらよっと。」
そう言って窓から放り出した。
「うぇーん! パパー! ママー!」
……なんだったんだ?
「あ、なんか、ありがとうございました。」
「礼なんかいいよ。」
絡まれているのを撃退してもらって、こう返されたときどうすればいいんだろ……
「で、はーさん、依頼。」
「はーい。」
そして依頼を聞きに行った。フリーランスの人っぽい。
改めて彼を見る。
背は自分と同じくらいの同い年くらいの男。なんか暗い(物理)。闇のオーラみたいなんを纏ってる。
かくいう俺は右目が光っているから明るい(物理)ってなっていると思う。今その光はだいぶ弱くなっているけど。
「お、闇の兄ちゃんか。どうしたんだ?」
大将がこの人に話しかけた。
「新しいことがないので依頼でもと思って。」
「どうだ? 最近の魔王ってのは。大変か?」
「あれ? 大将に言わなかった? 意外とリフォームした城が快適だって。」
魔王? この人が?
「あ、ちょっといいか? そこの兄ちゃんのことだけど……」
2人で奥に入っていった。
若原さんが紙束を抱えて戻ってきた。
「お待たせしました。依頼の時間でーす。……ってあれ? 響さんは?」
「さっきの魔王の人なら大将と奥へ行った。」
「大将と? 珍しい。悠斗さんは依頼要ります?」
「依頼から帰って来たばっかなんですが……」
「あ、そうだったね。」
と、奥の方から2人が戻ってきた。
「兄ちゃん、依頼だ。」
大将がパネルを見せてくる。
「100分で森の魔物を倒すタイムアタックだ。この闇の兄ちゃんと一緒にやってほしい。」
「一緒に?」
「一緒にって言うと語弊があるな。競争だ。」
「え? やです。」
「「はぁ?」」
勝てるわけねえじゃんか! しかもお相手は魔王サマだろ! ってか俺はそんな戦えるようか人じゃねえよ!
「悠斗さん、行ったらどうですか?」
「結果見えてるじゃないですか……俺何もできないじゃないですか……。」
「まぁまぁ……」
で、何故か俺は森の中に一人でいる。
何があったかというと、
「しょうがない、闇の兄ちゃん、連れていってやってくれ。」
「はいよ。」
「あーれー……」
ってなった。流石魔王。
「で、ここからどうしろと……」
周囲には木。そう。木しかない。
シアンやゆかりがいる訳でもないし、秋葉もいない。スライムもいない。
本当に俺だけだ。足下には魔法陣があるけど。
「どうすればいい?」
魔法陣に問いかける。反応は示すものの、それが何なのかわからない。
「どうするかなぁ……」
かれこれ歩いて70分。
自分の視界に会話ログ的なのと時計が常に見えているって意外と便利な機能だと思う。まぁ、今現在は何の意味も成さないが。
と、草むらから物音がした。思わず身構える。
「……ごめん、行ってくれるか?」
魔方陣にそう伝えると、魔方陣が草むらの方へ進んでいった。
そして……
「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
モンスターがこっちに突っ込んできた。
間一髪でかわした。ナイス瞬発力。
「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
大きな角を持った猪的な何かだ。完全に俺をロックオンしている。
とりあえず逃げようにも、足がすくんで動かない。
落ち着け、今の俺に何ができる?
逃げる? あの速さから? 無理だ。
撃退する? 武器も何もないのに? 無理だ。
死ぬ? 絶対死にたくねえ。二度と生き返れない可能性もあるし。
「ふ゛ぅ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
考えている間に突進してきた。が、魔方陣が俺とモンスターの間に割り込んだ。
ガコン! と音が鳴り、モンスターが後退した。魔方陣は突進された勢いでどこかに飛んでいってしまった。
魔方陣のお陰で助かっ……てはないな。まだ奴はこっちを見ている。
「ふ゛ぅ゛!」
もう一回突進してきた。今度は助けてくれる人は現れず、体がぶっとばされる。
そして、上に乗られた。
もうダメだ。
と、次の瞬間、辺りが光に包まれた。
思わず目をつむる。しかし、その光が収まることはなかった。
右目だ。最近光が弱くなっていた右目がまた光だした。
「む゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
モンスターがまた叫んでいるが、こっちも視覚がそれどころじゃなくなっている。
そんな中、俺の耳はある音を拾った。人の声だった。そして、何か技名を叫んでいた……ような気がした。
自分の視覚が少しマトモになった頃、俺が見ているのは冥界の景色だった。
[偽善]
と書かれたパネルも目の前にあった。
「……なにが起きたんだ?」
パネルに向かって問いかける。すると、
[再発光することで魔王に場所が伝わったんでしょうね]
と文字が浮き上がった。更に続けて
[駆けつけた魔王がブノスを魔法で倒したと同時に貴方も巻き添えを喰らったのかと]
と出てきた。
「字面がえげつないな。」
そんな感想しか出なかった。結構マジの方で命の危機を感じた。実際死んだんだけど。
[光は消えてますね。発光条件とかはどうなんでしょうか?]
「んなこと俺に聞かれても。」
そんなの俺が知りたい。
[あと、折角武器持っているのであれば戦ったらどうですか?]
「武器……あの傘か。」
戦うにしても俺ってそんな戦える人じゃないんですけど。
「どうやって戦うんだ?」
[……この本を読んでください]
ホログラムの本が現れた。
[スキャンしたら多少マシにはなると思います]
スキャンしてみる。内容は特に無いようだけど……。
「何か変わった?」
[あれ? 駄目ですか?]
「無理っぽいけど。」
[……]
なんだこの空気。
[あ、職人に依頼した武器がそろそろ出来上がりそうですが、何か付けたいオプションとかありますか?]
「オプション?」
[ほら、こんな武器が欲しいとかそんな感じです]
「特にないけど……」
[何かしたい事はありますか? それを参考にしますけど]
「うーん……空を飛びたい。」
[了解です]
生き返ると……はい。モンスターの死骸がありました。
そして軽いクレーター。ヤバイ。技の威力がヤバイ。それか、この世界の地盤がヤバイ。
で、このヤバイのを作った張本人であろう方が目の前にいた。大剣を抱えた魔王サマだ。
「生き返りか。大将の言ってた事は本当らしいな。」
「あ、ありがとうございます。」
「いいってことよ。そんじゃ次は……」
そう言いながら大剣を構え直し、斬撃を飛ばしてきた。
モロに喰らって吹っ飛ぶ。何で? 何でこの文脈で斬撃?
俺の疑問に答えるように魔王は付け加えた。
「お前を狩らしてもらうわ。」
今めっちゃ逃げてる。全速で逃げてる。
全速ってもすぐ追い付かれてるけど。
そして斬撃を必死に避けてる。
多分もう一回喰らったら死ぬと思う。
死にたくねえ。
「オラァ! 何処行きやがった!」
めっちゃオラついてる。人変わりすぎだろ。
「ってか何で攻撃するんだよ! さっきまで友好ムードだったじゃねえか!」
「あ? んなことはどうでもいいからつべこべ言わず戦わせろ!」
また飛んで来る斬撃をかわす。我ながらよくかわせるものだ。
「見つけたぁ!」
見つかった。しかも結構開けた場所。隠れられない。
「くらえぇ!」
ガコン! という音がまた鳴った。
俺は死んでなかった。むしろ生きてる。
飛んできた魔方陣を受け止める。めっちゃシュンとしてる。
魔方陣にまた助けられた。
「ありがと……。」
魔方陣を抱き締める。
しかし魔王はヨロヨロと立ち上がって近づいてくる。
「やるじゃねえか……でも、これで終わりだ。」
大剣が変形して長剣になる。そして斬りかかってきた
……のを、傘で受け止める。
「「えっ?」」
無意識に俺の体は動いてそのまま長剣を弾き飛ばして反撃した。
……さっきの本の影響か? なんか知らないけど助かった。
「なんだ、戦えるじゃねえか。」
「……まぐれなんですけど。」
魔王は長剣を拾い直して俺の方を見た。
「じゃ、こっちももう一度行かせてもらうぜ!」
「まぐれって言葉をご存知で!?」
「じゃあ実践してまぐれじゃなくせ! いくぜ!」
「なんで!? どーゆーこと!?」
斬撃が再開した。
「誰か助けてくれー!」
という訳で16話でした。
当初の予定と違う……
魔王の響くんは初期から考えていたのですが書いているときに段々キャラがバグってくる……
そろそろ悠斗くんが成長してほしいですが……
次回[成長痛]




