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メモリーズ(仮)  作者: 御厨 郁葵
第一章 旅立ち編
13/32

10話 深読み注意

お待たせしました。

数回プロットが消えましたが私は元気です。

前回は読んでも読まなくても通じるようにしてます。

(読むこと推奨です)

ありがとね。愚痴に付き合ってくれて。」

「こちらこそ。」

秋葉の身の上話が終わった。苦労してるんだな……。

「何か聞きたいことある? この際だからなんでも答えるよ。」

「じゃあそのマフラーについて。」

秋葉をみた人が100人いるとすると、93人くらいが真っ先に聞きそうな疑問。だって燃えてるんだぜ。残りの7人は知らない。下着の色とか聞くんじゃないか?

「あー、これね。これ、祖父がくれたの。元気が出るようにって。」

「へー。」

「このマフラーは私の希望の象徴……みたいなものだって、励ましてくれたんだ。」

「へー。で、なんで燃えてるの?」

「一度火が着いたときから消えなくてね。私の魔力かもって話もあるけど。触ってみる?」

「あ、じゃあ遠慮なく……っち! 熱っ!」

「あ、やっぱ熱いんだ。」

普通に熱かった。ライターの炎に指を突っ込んだ感覚。

「夏場とかヤバそう。」

「そんなことないよ。強いて言えば熱を吸収してくれると思ってるし……」

「へー。」

なんて便利な。

というかこの世界にも夏の概念があるんだな。

「このマフラーは私の希望の象徴だからね。私が希望を手放す……絶望しない限りはずっと巻いていると思うよ。」

「すごい思い入れだな。」

本人にとってかけがえのないものなんだな……。



「あ、前言撤回。お風呂に入るときだけは外す。」

「台無しだよ!」

折角いい話で終わったのに……



「それじゃあね。私は流星祭まで時間を潰しているからまた会えるかもね。」

と言い残し秋葉は去っていった。去っていったと言ってもラーメン屋の中をうろちょろしているけど。

そして、その直後に大将が話しかけてきた。

「兄ちゃん、また頼んでいいか?」

「やけに俺への依頼が多いですね……」

大将が俺以外に依頼してるのを見たことがない。

といっても俺がこの世界にきてから時間が経ってないのもあるだろうし、俺が大将の方を見るときは必ずと言っていいほど大将が湯切りしているからというのもあるだろう。

「まぁな。本来は依頼の授受は俺の仕事じゃないからな。」

「と、言うと?」

「依頼係……受付嬢の若葉さんや厨房見習いのフクシマくんが流星祭のスタッフの方でね。」

「他の方は?」

「いないぞ。うちはお客さんと探検者とうちら3人、皆が協力して成り立っているギルドだからな。」

「へー。で、その流星祭ってのは?」

「あれ? さっきの嬢ちゃんに聞いてなかったか?」

そう言って大将はこの世界お馴染みのパネルを広げて話しだした。



「流星祭ってのは、この近くにある城の偉いさんが企画したお祭りでな、流星群が降る今日の夜に出店やらパフォーマンスやらで皆で盛り上がろうという企画だ。」

パネルに資料を表示させ、プレゼンテーションをしてる大将。

「このギルドも例外でなくてな、うちからは曲芸を出し物として提供する予定だったはずだ。」

「曲芸……曲芸?」

おいおい、探検者ギルドとラーメン屋の複合施設からの提供がギルド的な何かでも飯店でもなく曲芸って……

「いやな、うちの見習いで雇ってるフクシマくんってのがな、全然料理ができなくて……彼の特技が曲芸だからということで、彼を活躍させたいってことだ。」

「ちなみに彼の料理の腕は?」

「酷評で有名なうちの客が食ったところ、ひと月寝込んだ。」

「わーお。」

この前俺のラーメン食っためっちゃ健康そうで屈強なおっさんが……

ってか、この世界の一日は現実より(体感)長いから相当な重症なんだろうな。

「俺が彼に料理を教えたときに一口味見をしたら一発で舌が麻痺したこともあったな。」

「……それ、相当ヤバくないですか?」

「因みに彼の作ったタピオカドリンクは凄いぞ。」

「……具体的にはどのように?」

「タピオカが孵化した。」

「孵化!?」

予想の斜め上を更に越えてきやがった。

「なんで俺がデンプンから作ったはずのタピオカからオタマジャクシが産まれるのかなぁ……」

「……彼は錬金術師かなんかですか?」

「まあ、秋葉の嬢ちゃんが使うような、草からステーキを作り出す系の技能は存在しないことはないが……な。」

「それもすげえな。」

これが今話題の台所の錬金術師か。

「で、何の話だった?」

「何の話でしたっけ?」

「「……」」



大将が奥から赤い……懐中電灯っぽいものを取り出して戻ってきた。

「これを使ってあるものを取ってきてほしい。」

「何ですかこれ?」

「懐中電灯だ。」

「へー、懐中……って、そのままかい!」

「逆に何があるんだ?」

「……スイッチを入れたら光の刃がでる剣とか、それこそ某猫型ロボットみたいに物が大きくなったり小さくなったりカチコチにしたりするものとか?」

「それの再現できるやつはいな……心当たりがあるけど、今は置いておこう。」

できるのかよ……今度紹介してもらお。

「それで、この普通の懐中電灯で何をすればいいんですか? 流星祭関連ですか?」

「いや、全く関係ない。」

あれ? 流れ的に流星祭関連だと思ったのに。

「倉庫からある箱を取ってきてほしい。」

「箱?」

「ああ。後の兄ちゃんに絶対に役立つものだ。」

「はぁ……」



ということで、ラーメン屋の倉庫に来ました。

今度は一人です。シアンやゆかりを誘おうと思ったけど、何やらお取り込み中だった。

そして、暗い。さっき懐中電灯渡された理由が十中八九これである。ここ電気ねえのかよ。

とりあえず、左手を前に出し、前を照らす。

懐中電灯はさっき間違えてスキャンしてしまい、左手から光が発せられている。

因みにオンオフは考えるだけでできる。あと、さっき気づいたが、考えるだけでスマホが操作できる。だからスマホのライトも左手から発せる。俺の体が案外高性能だった。



それにしても暗いなここ。そして広いなここ。

俺が歩いている道の両脇は棚で、上までぎっしり物がつまっている。

これ絶対に上から物が落ちてきて死ぬ気がする。

こんな暗い中上から物が落ちてきたら対処のしようがない。

という訳で、上を照らしながらあるいている。

棚の上の方には段ボールだったり紙だったり本だったり、色々なものがある。それに気を付けながら歩いていると……



いつのまにか冥界にいた。

[下からくるぞ! 気をつけろ!]

「えっと、なんで俺死んだ?」

[下にあるパンチングマシーンにやられた]

「嘘だろおい」

[ちなみに倉庫は結構しっかり作られていて、相当なことがない限り物が落ちてきませんよ]

「嘘だろ……」

策士策に溺れるとはこのこのか……

[そんな大層なことしてないくせに]

「うぐっ……」



[ハルトさん

懐中電灯 を かして ください ▼]

戻ろうとすると、武器職人が話しかけてきた。

話しかけてきたと言っても、音声はなく、テキストが横切ってきたのだが。

懐中電灯を取り出して、武器職人に渡すと、ドット絵の加治場が出現し、そこに入っていった。

そしてトンカントンカン音が鳴り、武器職人が出てきた。

[できた 強化 成功 した

懐中電灯+13 完成 した ▼]

「結構段階すっとばしたな……」

[光 つよく なった

ちょくせつ みるの 危険

さいあく しつめい する ▼]

「そんな太陽みたいな……まあ、ありがとう。」

[がんばって ください▼]



戻ってきた。

武器職人に強化してもらった懐中電灯……もとい懐中電灯+13をスキャンし、照らしてみると、視界一面がいきなり光に包まれた。

光に目が慣れた頃合を見計らい、目を開けると、左手が、下にしてるのに、倉庫の全面が見えるくらいの光量を発していた。

確かに失明しそうだ。

そして、下を見ると確かにそこにはパンチングマシーンがあった。なんで?



その後、箱が頭上に落ちてきてキャッチし損ねるというハプニングがあったものの、なんとか死なずに帰って来た。

「おう、お帰り。」

大将が湯切りをしながらこっちを向いた。

「ただいまです。この箱はどうすれば?」

「ああ、置いておいてくれ。」

……湯切りをする大将が凄くシュールだ。


ということで10話でした。

次回は流星祭ですね。

因みに私は今年の夏、祭りに一切行けませんでした。


次回[絶対痛そう]

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