ぼくはドラゴン
ぼくは ええとね
どらごんの ぬいぐるみなんだって
だけど
よくわかんないや
ぬいぐるみって なんだろうね
いま ぼくがいるところは おみせ というらしい
そして ニンゲンが ときどき
ぼくたちを きれいきれいするよ
『オキャクサマ』に『オカイアゲ』されるためだって
あるひのおひるにね
おともだちと
せなかのばして きりってしていたら
「まあ、なんてすてきなドラゴンなの!」
しらないニンゲンの こえがして
ぼくのからだは ふわりと ちゅうにうかんだ
「この子を頂くわ。孫への贈り物にしたいの」
『マゴ』って、なんだろう
『オクリモノ』?
そのニンゲンのこえが ほわほわと ぼくのからだを つつむ
「うふふ。すてきな、すてきなドラゴンさん。
あなたの身体は、まるで夜のはじまりの 空みたいに深い青ね。
はるかかなたの宇宙まで手が届きそう。
それに、なんてかっこいい背びれなのかしら!
こんな色の海を旅先で見た事があるわ。
あの時、マリちゃんは何歳だったかしらねえ。
きれい、きれいね~って両手を叩いて喜んでいたから
きっと覚えていることでしょう。
ひたいの角はプラチナ、瞳は黄金。
きりりとした顔立ちは頼もしくも高貴。
肩にちょんって付いた、雪のように真っ白な小さな翼はとってもキュートね。
こんなに素晴らしいドラゴンは見たことないわ!」
ニンゲンは シャボンのあわあわみたいに
うきうき ぽんぽんと おしゃべりする
『オカイアゲ アリガトウゴザイマス』
そして ぼくは
おみせの そとにでた
すると
ぷつりと
なにか──
ぼくを つないでいた
いとのような
なにかが きれた。
なにやら かるくてかるくて
ちょっぴり ふあんになる
ふるりと ふるえたら
あたまの てっぺんを
なにやら あたたかくて
やさしいモノが
コシコシコシコシしてきた
あたまのてっぺん コシコシ
せなかも コシコシ
おなかも コシコシ
うでも
うしろあしも
しっぽも
そしてさいごは おかおをていねいに
コシコシ
コシコシ……
「よいこ、よいこ。ドラゴンさんはよいこね」
おや
なんだか
からだのなかが あたたかいぞ
ふしぎだな
それから ぼくは
『オキャクサマ』
ううん
『おばあちゃん』と おでかけした
ずっと おばあちゃんの おひざのうえにいたんだ
いっぱい いっぱい おはなししてくれたよ
「もうすぐマリちゃん──、
私の孫の一人が、マリという名前の女の子のお誕生日なの。
ねえ。マリちゃんのおともだちになってちょうだいね」
どうやら
『マゴ』は『ニンゲン』で
『マリ』が『マリちゃん』で
『オンナノコ』
それから『オトモダチ』?
あたまのなかに
はてながいっぱい
それでも すこしずつ
おばあちゃんの ことばが
ぼくのなかに しみこんでいく
ぼくはドラゴン
マリちゃんの オトモダチになるんだ




