疑問、とか、①
竜巻の件から数日後、私はまたあの観光案内所に向かっていた。
「そこのお方。」
突然後ろから呼ばれて振り返ると、そこにはエプロンを着けて男性が立っていた。近くの書店の店員さんが同じものを着けていたか。
「ワタクシこういう者でして、本日は『書艦』の利用説明に参りました。」
その時に差し出された名刺には、男性の名前の他、プロエリム書店との記載があった。
「で、この名刺をプロエリム書店で見せれば、魔法書を借りられるって説明を受けたんです。」
「貴方って突然来ますよね…、多分、魔法書の事を見せたりしたからだと思います。私は初めて魔法書を手に入れた後日、『書艦』がやって来て。」
何処から見られているのか、魔法書の色々を見ただけで『書艦』は現れる様だった。
「ところで、魔法書を手に入れたって、『苦痛の魔法書』は借りた訳じゃないんですか?」
「あれは国の外で拾いました。」
「外って…ほとんど何も無いじゃないですか。」
「こういうものが意外と転がってたりするんです。」
そういえば、元々この国はもっと大きかったんだっけ。今は縮小したけど、その時の物が外に残されてたりしてるのか。
「今では、魔法が使われることもないし、知られている感じもしませんけど。」
「知ってる人はいますよ、自分も書艦もそうです。ただ、いちいち魔法書を持って使うのも面倒くさいし、使わなくても良い。そのくらいここは平和で安定しているんです。例のヤツらがいなければ。」
そういえば…。
「例のヤツらって通称とか無いんですか?」
「…聞いたこと無かったですね。あれ、何でだっけかな。」
書艦の店員とかからも言われている通称も無いのか…。
「まぁいいや、自分はヤツらを『吸害』と呼ぶ事にします。」
「じゃあ私もそうします。」
「次の質問、『苦痛の魔法書』って何が書かれているんですか?」
「苦痛の魔法って書かれてますね。それだけで他全部白紙です。」
「それ書物である必要あるんですか?」
「一応ページが多いほど魔力貯蔵量も多いそうで、結局最大で使うことが多いのであんま気にして無いんですけどね。あぁでも再使用に1日かかるのは、他の魔法書でも共通してます。」
「とりあえず最後、何でここは観光案内所なんですか。」
「何でって、昔からここは観光案内所ですよ。理由は知りません。ただ前任者から伝えられた業務を続けているだけです。」
「やれることはやる屋もですか?」
「そうですね。でも、吸害の処理が目的じゃ無いので、視界に入んなきゃ良いんです。」
相手にするのが嫌だからだっけ…。
「けど…。」
けど?
「自分の目の前に現れようもんなら、殺します。」




