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第8話 ディナー・ナイト・フィーバー

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扉絵です

おいサトー

今日は晩飯

食い行くど


俳句調の電報を受け取ったサトーは、

指定された時間に間に合うよう、

純喫茶スワンを目指して進撃する。


カランカラン


「おおサトー、やっと来たか。しかし女待たせるて、お前、何様やねん。」

日本人形のとなりでハナちゃんが生肝をむさぼっている。

「いやいや、待ってないじゃないですか、何皿目ですか、それ?」


ハナちゃん曰く、

純喫茶スワンでは月に一度ディナーナイトフィーバーが開催され、

普段は17時閉店のところ、その日は深夜まで営業するという。


「しかし、あいかわらずほかにお客さん、いませんね。」

「そらしゃあないわ、

なんせシンちゃんの気まぐれで開催するもんやさかい、

完全に不定期やからな。」

口の周りを真っ赤に染めたハナちゃんは、

もはや食事というより、捕食に近い。


「そうなんですねえ。

ところで、生肝以外にどんなメニューがあるんですかね。」

「メニューなんてあるかいな、

食べたいもんがあれば、シンちゃんに言うたら、

なんでもあつらえてくれるがな。」

「えーそうなんですか?そんなシステムなんですか?」

「そやど、シンちゃん、ガチでやばいからな。

ところでサトー、腹は減ってるんか?」

「はい、ペコペコですよ。」

「ほーかほーか、ほいだら、うちのオヌヌメいっとくか?」

「いいですね、お願いします!」

「まかせとけ、

シンちゃーん、

こいつにセクスィーチャーハンよろしゅうに。」

「セクスィーチャーハン?」

「めちゃめちゃ美味いねんど、びびるど。

しかも完全にセクスィーやねん。」

「それは楽しみですねえ、

ところで師匠、今日は師匠にいっぱい聞きたいことがあるんですよ。」


「おお、なんや、どないした?」

青い瞳、

真っ赤に血塗られた口元、

クルクルの金髪、

ハナちゃんは、色で出来ている。


「キバリオンですよ、キバリオン!」

白いカッターシャツに黒いスラックス。

サトーのは、色彩が、ない。


「キバリオン?」

「そうですよ!キバリオン!!」

「なんやねん、それ?」

「はあ?」

「シンちゃんに頼んでみるか?こしらえてくれるかもやど。」

「いやいや、食い物じゃないですよ、

秘儀なんでしょ?

ひぎひぎ!」


「なんやお前、えらい必死のぱっちやな。」

「そりゃそうですよ!

だって、私の人生、変わるんですよ!」

「お前の人生が変わる?なんでや?」

「ちょっと師匠、何言ってるんですか、

師匠は私の人生、変えてくれるんでしょ?」

「だっふんだ。」

「私を救ってくれるんでしょ?」

「あいーん。」

「もー、ししょー、はぐらかさないでくださいよ!

そのためのキバリオンなんでしょ?」


「まあ、ちょっと落ち着けや。

おお、来たど、セクシーチャーハン。」

サトーの前に大きめのプレートが届く。

中央に太めのソーセージ、

その上方にはホワイトソース、

下方にはミートボールと刻み海苔が添えられている。

ソーセージの左右にチャーハンが盛られており、

それぞれの頂上にはミニトマトが配置されている。


「お前は激烈に、何かを勘違いしている。」

何皿目かの生肝を捕食しながら、ハナちゃんがつぶやく。

「え?」

「お前、このチャーハンどう思う?」

「・・・なんと言いますか、たしかに・・・セクシーかも・・・」

「なんでやねん、これ、チャーハンやど。ただのチャーハンや。」

「・・・」


「チャーハンの本質は、何やと思う?」

「・・・本質って、そりゃ、味、ですよね。」

「ちゃうど。」

「え?」

「見た目や。」

「はあ?」

「なんなら芸術性かもしれん。」

「いやいや。」

「あるいはセクスィーさかもしれん。」

「絶対違いますよ、それ。」

「ほな、何や。」

「だから味ですって!」

「食うたんか?」

「・・・まだです・・・」

「食うてもないお前が、本質語るか。」


「・・・はい、すいません・・・」

「食うてみい。」

「・・・」

 やばい。

 おいしー!

「そういうことや。」

「・・・」


ハナちゃんがポシェットから豚足をひっこ抜く。

「お前、すぐレッテル貼るやろ。」

「・・・」

「ハンキュ電車はハイソ界隈、

ナンカイー電車は村人御用達、

ニシナリは危険、

ギャルは阿保ばっかり。」

「・・・」

「あげく自分はゲーハーでブーデーのブサメン。」

「それは・・・」

「違うか?違えへんて。」

「・・・」

「うちはお前の救世主。」

「・・・」

「キバリオンは、秘儀。」

「・・・」


「まあ、レッテル貼りは、楽しいわな。

楽しいやろ?

カタルシスーって、感じやろ。」

「・・・」

「ラクやしな。」

「・・・楽・・・」

「アメリケンは同盟国、ぷーちんは敵、」

金持ちは勝ち組、貧乏は負け組。

それ以上、考えんで済むさかいな。楽やなあ。」

「・・・その発想は、なかったです・・・」

<第9話予告>!

本質とは何か?

チャーハンとは何か?

セクスィーとは何か?

炸裂するハナちゃんメソッドで

サトーの潜在意識が丸裸になる!のか?

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