第6話 セカイのシンジツ
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扉絵です
「あーははー、そうなんですか、そりゃ愉快。
じゃあ、私はゲーハーでブーデーのブサメンじゃないってことですかー!
それって朗報ですねえ!」
自嘲気味にサトーがはしゃぐ。
「そやど、実際、お前はゲーハーでブーデーのブサメンとちゃうねん。
これって完全に福音やと思えへんか?」
ハナちゃんが淡々と答える。
「ちょっとちょっと、何言ってるんですか、
私のことをののしってきたのは、師匠じゃないですか。」
「うちがお前をボロカスに罵倒してたんはな、
現象面でサトーがどういう人間なのかを読者の皆様に説明せなあかんかったからや。
すなわちこれは、うちの義務というか、役割や。」
「はあ?どういうことですか?」
「実を言うとな、うちらがおるこの世界は、
オーパちゃんとか言うふざけたペンネームの死に損ないが、
ネット投稿で一発当てようとして必死に書いとる連載小説型啓蒙記事なんや。
で、うちらはその作品の登場人物やねん。」
「ほー。」
「ちなみにうちが主人公な、お前は、刺身のツマや。」
「大根の千切りってことですね。」
「そやからお前が徹底的にクズなんも、
うちがこうやって電子タバコのかわりに豚足吸うてるのも、
ぜんぶそいつのせいなんや。」
「ふざけてますねえ、訴えましょうか。」
「例えばや、サトー、うちのおっぱい、何カップやと思う?」
「え?いや、それは・・・」
サトーはハナちゃんのカップを推定すべく胸元をガン見する。
しかしそのTシャツからは、達筆で書かれた「生活保護なめんな」
というロゴ以外の現象面を観測できない。
「そ、そうですね、Bカップ寄りのC、ってとこですかね・・・」
「気ぃ遣わんでええど。」
「Aマイナスであります。」
「おー、よう言うた、高枝切りバサミぶち込んだるさかい、肛門出せ。」
「っきゃーごめんなさい、
でもでも、そんなの私のせいじゃないでしょうよ。
師匠のおぱいがど貧乳なのは、私のせいじゃないですよ。」
サトーが必死で言い訳する。
「せやせや、それや、ほな、だれのせいやと思う?」
「えー、だから、そのオーパちゃんとかいう死に損ないのせいって言いたいんですか?
てか、もうすでに言いましたよね。」
「うち、そんなこと言うたか?」
「いやー絶好調ですね、師匠、今日のホラ話、なかなか面白いですよ。
ちなみにその小説?記事?なんてタイトルなんですか?」
「もしもニシナリの底辺ギャルがキバリオンマスターだったら。
長いっちゅうねん、阿保やろ、おもろ。」
「なんすか?キバリオンって?」
「まあそれをシークレットにして、できるだけ引っ張って、
フォロワーを増やそうっちゅう魂胆や。
陳腐やっちゅうねん、
阿保やろ、おもろ。」
「縮めて『もしキバ』とか言っちゃってるんですかね?」
サトーがどや顔で乗ってくる。
「おおー、すごいなサトー、
そのとおりなんやけどな、
今のセリフ、自発的に言うてるつもりか知らんけど、
それ完全に言わされてるからな。」
ハナちゃんがあしらう。
「お前な、自分で思いついたと思てること、
だいたい誰かに植え付けられとるねん。」
「えーそんなことないですよ、
頭の回転の速い私が、ウィット効かせて言ってるんですよ!」
「気持ちはわかるで、
でもな、読者の皆様はうちの言うてることが完全に正しいって、わかってるわけよ、
殿上人みたいな顔して、安全圏からお前のことを笑っておられるわけ。」
「・・・」
「お前、笑われとんねん、今この瞬間もやど。」
「・・・なんか、もし、あくまでも、もしですよ、
もしそれが事実だとしたら、ちょっと怖くなってきました。」
「せやろ、
でも安心せえ、
お前を笑っておられる読者の皆様も、
実は自分らも登場人物やってことに、
気づいてないねん。」
「え、読者の皆様も登場人物?え?」
「そやど。」
ハナちゃんが豚足を灰皿に置く。
「お前も読者の皆様も、気づいてない、という点では、おんなじやねん。」
「・・・」
「わかったつもりでおる、
そのへんも
おんなじやな。」
「・・・」
「ところでサトー、スーパーマリヲブラザーヅって知ってるか?」
「え?はいもちろん、
ファミリコンのゲームですよね。
知ってるもなにも、私が小学生のころ、そりゃもう夢中で遊び倒しましたけど・・・」
サトーは眉間にチェリーの種がめり込んでいることに、気づいていない。
<第7話予告!>
お姫様を助けるべく、世界を駆け抜けるマリヲ。
そこには恐るべきインボーか隠されているのか!?
マリヲのシンジツと、自身の哀愁を知るサトー。
そしてサトーは、石川タクボクのごとく、じっと手を見る。




