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第4話  師弟、爆誕!

https://img1.mitemin.net/lm/ic/kp27avks3285hbn6elgfguf25sth_m68_16o_sg_1r7jr.png


扉絵です

「おおそうか、想定外か、完全に想定外かいな。ほいだら、お前はどんな想定してたんや?」

「え?」

「そやから、お前の想定は、どんなんやったんや?」

「それは・・・」

サトーが言葉に詰まる。


「底辺ギャルなら、ちょろいもんや、それがお前の想定やろ。」

「・・・」

「頭の悪い貧乏ギャルなら、数千円の小遣い与えて、飯食わしたったらマタ開きよる、そう思てたんやろ。」

図星を突かれ、サトーは言葉が出ない。

 

「クズやんけ。」

「・・・」

「お前はクズや。ど腐れじゃ。」

「・・・」

「そこに愛は、あるんか?消費者金融ちゃうど。」

サトーは思う、誰かを手に入れたいと思ったことはある。

でも、誰かを愛したことなんて、あったのだろうか。


「例えばや、お前が女とせえや。」

「・・・」

「みちばたの糞みたいなクズ女ってわけや、まさにお前のストライクゾーンど真ん中やんけ、おもろ。」

「・・・」

「で、そんなクズ女の目の前に、今のお前が現れて、小遣いやるわ、ついでに吉野家で牛丼の並おごったるさかい、ヤラせろ、って言うて来たとするやん。」

「・・・」

「タマゴは有料やからあかんけど、つゆだくは無料サービスやから、じゃぶじゃぶにしていいよーとか、追い打ちかけてきたとするやん。」

「・・・」

「マタ開くか?」

「・・・」

「メスバージョンのお前は、ゆつだくはOKでタマゴはNGな今のお前のことを、なんて素敵なセニョールと思て、マタ開くんかって聞いとんねん。」

「・・・」

「まあ、そういうこっちゃ。」

サトーは床に刺さっている差し歯から視線を動かすことができない。


「ところでサトー、ここは喫茶店やど。」

やがてハナちゃんが口を開く。

「え、あ、そう、そうだよね・・・」

「なんか注文したんか?」

「あ、いや、何も・・・」

「あかんやろ、なんか注文せえや。」

「そ、そうだね、そりゃそうだね。」

「うちはいつものん頼むさかい、お前、早よ決めろ。」

「う、うん、ええっと・・・」慌ててサトーがメニューを探す。

「ここはな、コーヒーとプリンアラモードしかないねん、そやから、二択や。」

「え、そうなの?」

「どっちがええ?まあ、両方頼むって手もあるけどな。」

「え、い、いや、じゃ、じゃあ、コーヒーで。」

帰るという選択肢が存在したことを、サトーはすでに忘れている。


「おおマジか、プリンとちゃうんか?」

「え、あ、ああ、コーヒーで、いいよ。」

「そうなんか、見るからに甘党って感じの、締まりのないツラしとるけどな、まあええわ、で、ホットでええんか?温度は選べるど。」

「え、あ、そうなの?じゃあ、ちょっとのどが渇いちゃったから、アイスにしようかな・・・」

「よしゃわかった、シンちゃーん注文ええか?うちはいつものんな、ほんでこいつにレーコーよろしゅうに。」

「レーコー?」

「レーコーや、冷製コーヒーやんけ。知らんのか?この界隈では標準語やど。ひょっとしてお前、関西人ちゃうんか?」

「え?あ、うん、実は関東出身なんだ。」

「知らんがな、どうでもええわ、興味ないわ。」

「なんだよそれ、聞いてきたのはそっちだろ!」

げらげら

いつの間にか会話そのものを楽しんでることに、サトーは気付いていない。


「合格や。」

「は?」

「お前、合格や。」

「何、合格?何が?」

「せやから、お前は、合格なんや。」

何に合格なのか、サトーはさっぱりわからない。


「お前、反論せえへんかったやろ。」

「・・・」

「言い訳せえへんかったやん。」

「・・・」

「真正面からクズ扱いされても、反論も言い訳も、ブチギレたりもせえへんかったやん。」

「・・・」

「ふつうブチギレて、そこで終わりやど。」

「・・・」

「お前は世界を、つなぎとめたんや。それでええ、ようやった。」

「・・・そんな、大げさな。」

「そやから、お前は、合格や。」

「・・・だから、その合格って、クズ認定試験に合格って、こと?」

「お前、案外おもろいやんけ。」

げらげら


「お前、今日からうちの弟子な。」

「はあ?弟子?」

「まあ、乗りかかった船や。うちがお前を鍛えたる。」

「鍛える?え?」

「カネもらってもマタ開きたくない男から、少なくとも金額次第ではマタ開いてもいいかな、ってところまで、面倒見たる。」

「なんだよ、その中途半端な目標設定は!」

「せやから、今からうちのこと、師匠って呼べよ。」

「はあ?」

「ハナちゃんちゃんとか、馴れ馴れしゅう呼ぶなよ。」

「あんた、さっきから何言ってんの?」

「おいサトー!」

「は、はい!」

「うちのこと、よーう見てみてみい?」

床の差し歯しか見ていないサトーは、言われてハナちゃんを凝視する。

真っ青な瞳。

くるくるの金髪。

アリのようなウエスト・・・


「どや、かわいいやろ、うち。」

「う・・・」

「ばっきばきにかわいいやろ、うち。」

やばい。

かわいい、かもしれない。

「お前の想定のナナメウエやろ、うち。」

やばいーかわいー。

「ナウでヤングなぴちぴちギャルやど。どや、完全にマブいやろ。」

っきゃーやばいーうれしー!

「うちのこと、好きやろ?」

「うん、好き!」

「馴れ馴れしゅうすな言うてるやろ、撲殺するど。」

「すいませんでした師匠、愛していますー!」

「おー、ええがなええがな。ええかサトー、愛されたいなら、まずお前が愛するんやど、与えてほしかったら、まずお前から与えるんやど、わかったか?」

「はい師匠!」

「せやから、ここもお前が払うんやど、それが、愛や。」

「合点承知!!」

「床の差し歯、忘れんとひろて帰れよ。」

「ありがとうございます。師匠も、ご安全に!」

「おいおい、プリンアラモード、まだ食うてないやんけ。それにお前もゆっくりコーヒーしばいて行けや。ああそれと、言うとくけど、ここのコーヒー、びびるほど不味いど。」

げらげら


こうして無事、人生初ニシナリを果たしたサトーに、春が来るかわりに、人生の師匠が爆誕したのである。

そして帰るという選択肢が消え去ったあの瞬間から、サトーの人生が勝手に動き始めていることに、サトーはまだ気付いていないのである。


<第5話予告!>

ハナちゃんに弟子入りしたサトー。

そしてショーゲキ的なこの世のシンジツに触れる。

そしてサトーは、うっかり師匠の禁忌にも触れてしまう。

師匠の逆鱗に触れたサトーに天罰が炸裂!

それは神々の粛清なのか?それとも高枝切りバサミか!

っきゃー!!


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