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この世界の理不尽に耐えられず、心から願ったら異世界の空に放り出されたのだが???  作者: はるのひ


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第5話 始まりのイリス王国

挿絵(By みてみん)



ボルド村を出て約5日


森で小型の魔獣を狩って食糧にしたり。

川で水浴びしながら。

本来は10日かかる道のり、ちょうどイリス王国に向かう商人に荷台に乗せてもらい5日で到着出来た。


森の道はいつしか整備された石畳。

森を抜けると、大きな城壁が姿を現した。


「ありがとうございました。」

商人と別れる。


門には大きく刻まれている。


『イリス』


ここはイリス王国の首都イリス。


旅人、商人、冒険者。


様々な人々が行き交い、村では見たことのない賑わいだった。


「これが……イリス。」


市場からは威勢のいい声。


鍛冶屋からは金属を打つ音。


酒場からは笑い声。


そして広場には、剣や魔法の腕を競う冒険者たち。


コラソンの胸が高鳴る。


「ここから……俺の冒険が始まる。」


「コラソン!!」

「うわーっ!!」


「どうたの?メル」


「急に大きな声出して」


「急じゃないよ!ずっと呼んでたのにコラソン反応しないからー!」


「そっか…ごめん。でどうしたの?」


「あの看板見て!ギルドあっちって書いてある。」


「あっ本当だ」


2人はその方向へと向かう。


その時、一際大きな建物が目に入る。


建物の入口には大きな剣と盾の紋章。


冒険者ギルド――。


アマブレが話していた場所だ。


村とはまるで違う。


活気も、人の多さも、騒がしさも。


少し不安になりながらも、その瞳には期待が宿っていた。


「コラソン、行こっっ」


コラソンは深呼吸をして、冒険者ギルドの扉を押し開ける。


緊張気味に受付に向かって歩くコラソン達を目で追う1人の少女


(……うそ。)


(あの人……。)


「おい、エマ! 何ぼーっとしてる!」


仲間の怒鳴り声に肩を震わせる。


「ご、ごめんなさい……。」


慌てて荷物を持ち直すが、視線だけは少年から離せなかった。


(会いたかった……。)


しかし、エマは声をかける勇気が出ない。


少年はそのまま受付へ向かっていく。


⸻


そして受付。


セリナが受付越しに身を乗り出した瞬間、コラソンの視界いっぱいに豊かな胸元が飛び込んできた。


(ち、近い近い近い!!)


前世で女性とまともに話したことなどほとんどない。


「ど、どうされました?」


「いいにお、い、いえっ! なんでもありますん!」


顔を真っ赤にして目を逸らすコラソンを見て、セリナは小さく笑う。


「ふふっ、かわいい子ね。」「ようこそ、イリス冒険者ギルドへ。私は受付のセリナです。本日はどのようなご用件でしょうか?」


メルが不満そうに


「冒険者登録をお願いします」


「それでは、お名前をお願いします。」


「ココ、コラソンだす。」


セリナの手が止まる。


「だす?」 (聞き間違いかしら?)


「い、いえコラソンですっ!」


「……コラソン?」


何かを思い出すように目を細める。


「もしかして……お父様のお名前は、アマブレさん?」


コラソンは少し驚きながら頷いた。


「はい。」


その瞬間、セリナの表情がぱっと明るくなる。


「やっぱり!」


「あなたがコラソンくんだったのね!」


コラソンは首をかしげる。


「アマ…と、父さんをご存じなんですか?」


セリナは嬉しそうに笑った。


「もちろんよ。私は昔、冒険者だったの。」


「駆け出しの頃、何度もアマブレさんに助けてもらったわ。」


少し懐かしそうに目を細める。


「じゃああなたはメルちゃんね」


メル

「えっ、なんで?」


「数か月前には手紙まで届いたのよ。」


『近いうちに息子コラソンが旅に出る。もしイリスへ行ったら、できる範囲で見守ってやってくれ。後これは多分、いや、おそらく、いやかなりの確率、いや確実だと思うのだが女の子も一緒だ。私の娘のメルだ。子供達をよろしく頼む。』


「そんな内容だったわ。」


コラソン、メルは少し照れくさそうに笑う。


「父さんらしいな……。」


「だから安心して。困ったことがあったら、遠慮なく私を頼って。」


「アマブレさんへの恩返し……というわけじゃないけど、あなた達の力にはなりたいの。」


「コホン、では登録進めますね」


セリナは微笑みを戻し、登録を進めていく。


「では、こちらの水晶に手を置いてください。」


コラソンが手を置くと、水晶が淡い虹色に輝いた。


セリナは驚く

(この水晶こんなすごい機能した事あったかしら?)

(いつもは誰がきてもふわっと光程度なのに…。)


(今、何色に光ったの?見た事ない色だったけど、、、。)


(やっぱりアマブレさんの息子さん只者じゃないのかも)


アマブレがきっとコラソンはきっと世界を変えるぞ!

すごい事になる気がするんだ。と手紙に記していいたのを思い出す。


「登録が完了しました。こちらが冒険者カードです。」


カードを受け取り、説明が続く。


「では、お二人の冒険者ランクは一番下のFランクになります。」

「冒険者にはランクがございます。Fから上がっていってA

その上にSランクの計7ランクございます。」

「今この街の冒険者登録のあるもの中には残念ながらSランク冒険者はおりません…。」


「どの冒険者様も力の差に関係なくFランクからのスタートです。依頼をこなし、実績を積んで昇格を目指してください。」


「私からの説明は以上となります。」


「ありがとうございました。」


セリナは少し考えた後、思い出したように口を開く。


「あ、そうだ。」


「今日はもう宿は決まっているの?」


コラソンは苦笑いを浮かべる。


「いえ、まだです。」


「それなら、私の母が経営している宿がおすすめですよ。」


「『木漏れ日の宿』という名前で、ギルドから歩いて20分ほどです。」


「値段も良心的ですし、ご飯も美味しいですよ。」


するとセリナは身を乗り出した。


「あ、場所なんですけど!」


「ギルドを出て少し戻るとパン屋さんがあるんです。そのパン屋さんを右に曲がると花屋さんが見えてきます。」


「その花屋さんを背にして真っすぐ歩いて、三つ目の角を左です。」


「そこから噴水広場が見えるので、一度右へ曲がってください。」


「そうすると八百屋さんがありますので、その八百屋さんの前を通って……」


(この異世界で八百屋て)

「……」


「…………」


コラソンの頭の中は完全に真っ白だった。


(えっと……パン屋さん?)


(花屋さんを背にして……え? 噴水?)


(いや、もう全然分からない……。)


セリナは満足そうに頷いた。


「以上です!」


コラソンはぎこちない笑顔を浮かべる。


「あ……ありがとうございます。」


その表情を見たセリナは「あっ」と声を漏らした。


「あ、ごめんなさい。」


「これ一応地図、渡しておきますね。」


引き出しから一枚の紙を取り出し、コラソンへ差し出す。


「これ、地図です。」


「気に入るかは分かりませんけど、もし当てがないなら一度覗いてみてください。」


コラソンは地図を受け取り、思わず目を丸くした。


(……めちゃくちゃ分かりやすい。)


一本道に目印まで丁寧に描かれている。


(さっきの説明……。)


(いらなかったよね。)


(というか、これなら五分で着けそうなんだけど……。)


思わず苦笑いがこぼれた。


「ありがとうございます。そこに行ってみます。」


「母にも伝えておきますね。『セリナの紹介です』と言っていただければ大丈夫です。」


「助かります。」


その姿が見えなくなるのを待っていたかのように、一人の少女が受付へ駆け寄る。


「セリナさん……!」


「エマ? どうしたの?」


息を切らしながら、エマは震える声で言った。


「さっきの……あの人の、お名前を教えていただけませんか……?」


セリナは困ったように微笑む。


「ごめんなさい。冒険者の個人情報は簡単には教えられない決まりなの。」


エマは唇を噛みしめる。


今にも涙がこぼれそうなほど真剣な表情だった。


「お願いです……。」


その姿を見たセリナは思わず言葉に詰まる。


(いつも大人しいこの子がこんな顔をするなんて……。)


すると背後から荒々しい声が飛んだ。


「おいエマ! 何やってやがる!」


「役立たずのくせに、また足引っ張る気か!」


「このガキが!せっかくパーティに置いてやってるってのに」


見下した様な汚い表情。


セリナの表情が変わる。


ゆっくりと立ち上がり、鋭い視線を男たちへ向けた。


「……あなたたち。」


元冒険者だった頃を思わせる迫力に、場の空気が一変する。


「ここは冒険者ギルドです。仲間への暴言は慎んでください。」


低く、それでいて有無を言わせない声。


男たちは思わず息をのむ。


「……チッ。冒険者クズれが」


「行くぞ。」


不満そうに舌打ちをしながら、その場を去っていった。


静けさが戻る。


セリナは小さくため息をつき、エマの方を見る。


そして誰にも聞こえないよう、そっと囁いた。


「……あの子の名前は、コラソン。」


エマは目を見開く。


「コラソン……。」


その名前を何度も心の中で繰り返す。


五年間、ずっと会いたかった恩人。


「あとエマ!あなたのパーティの人達、付き合い方考えた方がいいわよ」


「なにかあったら私にいいなさい」


エマ

「……はい。ありがとうございます」


ギルドを後にしたコラソンとメルは、セリナからもらった地図を片手にイリスの街を歩いていた。


石畳の道には露店が並び、焼きたてのパンの香りが風に乗って漂う。


「見て、コラソン!」


メルはコラソンの手を引っ張る。


コラソンは少し照れくさそう。


メルは目を輝かせながら露店を覗き込む。


「この果物、ボルドでは見たことない!」


「ほんとだ。」


鮮やかな紫色の果実。


見たこともない香辛料。


魔道具を売る店。


大道芸人の周りでは子どもたちが歓声を上げている。


「街ってこんなに賑やかなんだね。」


メルは嬉しそうに笑う。


コラソンも自然と笑みがこぼれた。


「なんだか歩いてるだけで楽しいな。」


「うん!」


しばらく街を散策すると、地図に描かれていた建物が見えてきた。


木の温もりを感じる二階建ての宿。


看板には優しい文字でこう書かれている。


『木漏れ日の宿』


「ここだ。」


「街を見ながら歩いてきたのにやっぱり5分ぐらいで着いた、、、」笑


コラソンは扉を開けた。


カラン、と鈴の音が響く。


「いらっしゃい!」


奥から笑顔の女性が現れる。


「旅のお客さんかい?」


「はい。冒険者ギルドのセリナさんに紹介していただいて……。」


その言葉を聞くと、女性はぱっと笑顔になった。


「あらまぁ!」


「セリナから聞いてるよ!」


「アマブレさんの息子さんが来るってね。」


コラソンは驚いた。


「もう伝わってるんですか?」


「うちの娘は仕事が早いからねぇ。」


女性は豪快に笑う。


コラソンは思う。


(あんな説明する人がどうして俺たちより早く??」


「私はこの宿の女将、マリアだよ。」


「よろしくお願いします。」


二人が頭を下げると、マリアは交互に顔を見比べた。


「へぇ……。」


「二人とも仲がいいねぇ。」


そして、あっさりと言った。


「兄弟みたいなもんなんでしょ?」

「だって同じ目をしてるじゃないか」

「なら一部屋でいいよね!」


「「えっ!?」」


コラソンとメルの声がぴったり重なる。


二人とも顔を真っ赤にして慌てる。


「い、いや、その……!」


「わ、私は別に……一緒でも

…。」


しどろもどろになる二人を見て、マリアは声を上げて笑った。


「あははは!」


「若いねぇ!」


「まぁまぁ、まずは腹ごしらえだよ。」


「話はご飯を食べてから!」


食堂へ案内されると、テーブルいっぱいに料理が並んでいた。


香草の香りが広がるスープ。


こんがり焼かれた肉料理。


焼きたてのパン。


色鮮やかな野菜のサラダ。


どれもボルドでは見たことのない食材ばかりだった。


「すごい……。」


メルは思わず目を輝かせる。


「でも……。」


コラソンは一口スープを飲み、優しく微笑んだ。


「どこか懐かしい味だ。」


マリアは嬉しそうに笑う。


「旅人には豪華な料理より、ほっとする家庭の味が一番だからね。」


その言葉に、コラソンはアマブレとエレナの食卓を思い出した。


「……美味しいです。」


食事は自然と笑顔の絶えない時間になった。


食後。


マリアは部屋の鍵を二人へ渡す。


「はい、これ鍵ね。」


「ごゆっくり。」


コラソンとメルは顔を見合わせる。


部屋の扉が静かに閉まる。


ガチャ。


途端に、部屋の中はしんと静まり返った。


さっきまで食堂で笑っていた二人も、今はどこか落ち着かない。


「……。」


「……。」


同じ部屋。


同じ空間。


それだけで、二人とも顔が熱くなる。


メルは荷物を抱えたまま、落ち着かない様子で部屋を見回した。


コラソンも何を話せばいいのか分からず、ぎこちなく立ち尽くす。


重たい沈黙が流れる。


やがてコラソンは、小さく息を吸った。


「……メル。」


「な、なに?」


「その……。」


少し照れくさそうに笑いながら言う。


「付いてきてくれて、ありがとう。」


メルは一瞬、言葉を失った。


「え……。」


「正直、一人だったら不安だった。」


「知らない街だし、初めてのことばっかりでさ。」


「でも、メルがいてくれたから安心できた。」


その笑顔は、ボルド村にいた頃と何も変わらない。


メルは胸がいっぱいになり、思わず俯いた。


「……うん。」


「私も。」


小さく微笑む。


「ありがとう。」


コラソンは首をかしげる。


「え?」


「私を、一緒に連れてきてくれて。」


その言葉に、二人は顔を見合わせる。


そして、どちらからともなく笑い合った。


さっきまで張りつめていた空気は、いつの間にか消えていた。



最後までお読みいただきありがとうございます。


今泣いてます。多分。


ありがとうございます泣泣


ついにギルド出てきましたねー。

アマブレは心配なんでしょうね笑


私もこんな受付行ってみたい泣。


コラソンを見つめる少女は何者?


次の話で明らかになるのでしょうか?


次の話しも読んで欲しすぎてジタバタします。


よろしくお願いします。

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