表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/68

饅頭をください=結婚

「饅頭ってどうやってつくればいいんですか」

「きゅうに、どうした」

 山でとってきた薬草。それからナンタラいう豆とか、栗とか。

 果物、穀物。

 竜の人の暮らす場所には、四季のものすべてが一つところになる、山がある。そのふもとに竜の人たちは暮らしていて、たくさんの実りを加工して、薬やらお酒やら、いろんなものをつくるのだ。

「饅頭、食べたいっていう人がいまして」

 岩穴の中の涼しい保管庫で、栗の皮をむきながら、私はため息をついた。

「料理全般、苦手なんです」

 お手伝いしてこなかったのが悔やまれる。

 でも、家庭で饅頭手作りしてふかしたりって、あんまりしない、よね。

「具は何を入れたらいいのかなあ。ねえ、ジャンミさんおしえてくれますか」

 私の頭上、すごく高いところにある薬棚を調べてたジャンミさん、はしごに後ろ足だけでつかまって、こっちをさかさに見下ろしてる状態。

長い髪がばさーっと水揚げされたワカメみたい。

「作ってやると、約束したのか」

 でこぼこの岩壁を飛び伝いながら降りてきたジャンミさんは、私をじいっと見下ろした。きれいな赤い瞳が、踊ってる。

「口づけは?」

 えっ。

「あっ、あれは別にどうでもいいんです。忘れることにしたんです」

「ワヌ・シンも形無しだな。ずいぶん悔しがっていた。逃げられたって」

「あの人にあげるんじゃありません。その、副隊長さんに」

「へえ」

 ジャンミさん、まばたきをした。

「口づけは王に、饅頭はハナにやるって。はは。フクザツだな」

「なにが、どうフクザツなんですか」

 にやにやしながらジャンミさんは、背中をぐいぐい押してくる。

 ちょっと、なんなんですか。

「唇を許したら、共寝してもよいということ。饅頭を作ってやれば、妻になってもよいということ」

 トモネ。一緒に寝ること。

 っていうのも鳥肌もんだけど。

 饅頭、すなわち結婚。

 ひい。うそ。

 饅頭をください=わたしのために飯をつくってください。

 だって。うそでしょ。

 つまり、結婚してください。なの?

 どど、どうしよう。

 お姉さん。

 私、とんでもないことやらかしました。

 オーケーしちゃいました。


王を愛人にして、腹心の部下を夫にするか。なかなか面白い」

 ジャンミさんは、大声で笑った。

「べつに一人に決めずとも、夫はたくさんでもいいものだよ」

「いやいや!」

「寝てから決めたらいい。気に入ったほうを選べば」

「はあ?」

 何言っちゃってるんですか。

「おまえの好きな二本足だもの。いや、二本足にしては、どちらもいい男だよ。なかなかそそる」

「上半身限定でしょ」

「そうか、おまえさんは下半身が気になるんだったな」

 雷がどっかんどっかん落ちたみたいな大爆笑だ。

 下ネタ。ライトな下ネタ。

 しかもそんなに笑えませんから。

「選べるじゃないか。それでいいんだよ、セナや」

 いや、よくないです。

 てか選んでません。

 キスはその場の勢いですし、お饅頭はあげられるかもしれないけど、お姉さんの貞操は渡せませんよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ