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我らは、捧げ物だ。生け贄なんだ

 おーい。

 すいません。

 だれか。

 もう、ちょこっとくらい説明。あってもいいんじゃないですか。

 ここも、天国ってことでオーケーですか?

 空を見上げると、夕焼け色をしてる。

 お日様は、遠くの山に沈んでいこうとしてる。

 さびしい感じ。

 朝焼けより、夕焼けが好きだけど。

 でも。


 お花咲き乱れる丘の上。

 あっ、私、一人じゃない。

 女の子がいる。

 この子。

 見覚えある。

「うん?」

 その子も、びっくりしたように私を見た。

「なんと、まあ。不思議なこともあるものだ」

 この話し方。

 もしや。お姉さん、ですか。

 ちがう? 妹さん?

 びっくりしたような顔で、私を見てる。

「幽霊の娘ではないか」

 はい、はい。

 両手をにぎって、ぶんぶん振っちゃった。うれしかったんだもん。

 お姉さんは、困ったように笑った。

「しかと見える。ふしぎなことだ」

 なんだか、かわいいなあ。髪の毛、ショートだ。

 ちょっと耳のあたりがはねてる。

 くせっ毛なのかな。

 私もそう。同じだね。なんかうれしい。

 お姉さんって呼ぶのも、なんかヘンかも。

「そなたの声が聞こえる」

 聞こえますか。よかった。

 あ、あの。

 名前思い出したんですよ。

「セナ?」

 お姉さんが、つぶやいたそのときだ。  

 きゅうに強い風が吹いて、花びらを舞わせた。

 すその長い服が、風をはらんでふわっとなびく。

 はだしの足がのぞいた。

「セナ。用心せよ。我らは、捧げ物だ。生け贄なんだ」

 ええ、何ですか?

 聞こえません。

 風は、どんどん強くなってくる。

 立っているのがやっとのことだ。

 聞いたことのない、おっかない鳴き声が聞こえた。

 大きな影が、夕焼けに赤く染まっていた丘全体をたちまち暗くする。

 夜が舞い降りてきたみたいだ。

 お姉さん!

 何かが、お姉さんをがっしりとつかみあげた。

 鋭いかぎ爪と、うろこ逆立つ足だけが見えた。

 は虫類系っ。

 っていうか、私も捕まっちゃった。

 おなかと胸をぎゅうっと締め付けられて、苦しくて息ができない。


 山よりも大きなそいつに。

 私たちはさらわれた。

 

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