スズとスズネア
ここは?
「ひっく、ひっく。」
「誰かいるのですか?何故、泣いているのですか?」
「わ、私、お兄様とお父様の為に頑張ったのに......!私、頑張ればきっと愛してもらえるって思って......!でも.......!」
「私の記憶を見てしまったのですね。残念ながらこれが事実なのです。すみません。こんな形であなたと対面して残酷な事実を伝えてしまって.........。」
「ううん、何となく分かっていたから。無駄だって分かっていたの........。でも、これで諦められる。あなたには感謝してるの。私の気持ちを汲み取って行動してくれてるから。だから、ありがとう。」
「なら、良いのですが.......。良いのですか?私なんかに身体を預けてしまって.......。私はきっといつか手を汚してしまいます。そうなったら、あなたも罪を着せられてしまいます。」
「大丈夫よ。私は今度はあなたの為に生きていくって決めたから。」
「っ、ありがとうございます!ですが、出たい時はちゃんと言ってくださいね。」
「........じゃあ、その時はそうするわね。ありがとう。私を見つけてくれて。じゃあね、〇〇ちゃん!」
っ、どうして、その呼び名を.......!いえ、私の記憶を見たのですから当然ですよね。ヴァルギア様もディケイア様も知らない呼び名。あの方が私の為につけてくれた私の呼び名.........。
♢♢♢
「ん........?ここは?」
「え?お、お姉ちゃん!?」
「お、王女殿下!?」
「す、スズネア〜!」
「ど、どうしたの?っ、あはは、やっちゃったか......。ごめんね?気にしなくて大丈夫だから。」
そうして、私は立ちあがろうとした途端バルツが私を寝かせるようにもたれかかって来た。
「っ、ダメだよ!お姉ちゃん、さっきまでぐったりしてたんだよ!ちゃんと寝てなきゃ!」
「ふふ、バルツは心配性ね。大丈夫よ。ちゃんと寝たから良くなったの。」
「っ、あんな数分間寝ただけで良くなる訳ないだろ!」
「スズネア、ちゃんと寝ないとダメじゃぞ!じゃないと、スズネアが死んでしまうのじゃぞ!」
「.......大丈夫だよ。そんな簡単に人は死なないから。(ボソッそれに、私は死なないみたいだし。」
「...........!?」
「っ、じゃが.........!」
「王女殿下、確かに休んだ方がよろしいかと。殿下は最近根を詰めすぎていますので。」
「だ、大丈夫だから!本当に........!」
や、ヤバい!は、はやく治癒しないと行けないのにみんながいて出来ない。これは本当にヤバいかも。
「本当に大丈夫だから。じゃあ、私はやることがあるから。みんなもちゃんと仕事しなきゃダメだからね!」
そうして逃げるように私は自分の部屋を出た。
っ、ま、マズイ。走って来たせいで悪化したかも。
あはは、情けなさすぎるよ。あれ程ヴァルギアとディケイアに大口叩いてきたのにこのザマなんて.......。
でも、風邪をひいたら絶対にみんなから離れられなくなるから認めちゃダメなの。裏切られた時に立ち直れないから.........。だから、絶対に頼っちゃダメ!自分で何とかしなくちゃ!
「姫さん?そんな所で何してんすか?」
「し、師匠!?」
ま、マズイ。師匠なら気づかれるかも........!
「姫さん、大丈夫っすか?顔が真っ赤っすけど?」
「っ、だ、大丈夫だから。ちょっと、走ったから暑くなっちゃって。」
「じゃあ、なんで壁に寄りかかってるんすか?」
「こ、これは.......!は、走ったから疲れちゃってだから、き、休憩しているの!」
「ふ〜ん、なら良いんすけどね。ってはならないんすよね。」
「え?し、師匠?」
「姫さん、熱ありますよね?」
「ないわ。私は風邪をひいたらひいたって言うもの。」
「それは嘘っすね。今、言ってないっすから。」
「だから、風邪はひいてないから。」
「........姫さん、誰もいなくなりませんよ。」
な、何で私が欲しい言葉をそんなすんなり言うのよ。裏切られた時に割り切れなくなるからそんな事言わないでよ........。
「っ、な、何言ってるの?」
「いえ、ただ言ってみただけっす。」
「っ、ずるい、よ。師匠.......。」
「ひ、姫さん!?っ、やっぱり、熱あるじゃないっすか!」
「はぁはぁ。ご、ごめんなさい。はぁはぁ。」
「大丈夫っすから安静にしといてください。俺はみんなを呼んで来ますから。」
「まっ、て。わ、たしもいく。お、いて、いかない、で。お、ねがい、だから。」
「姫さん.........?わ、分かりましたから落ち着いてください。」
「いっ、しょ、に、いっ、てく、れる?」
「はい、それじゃあ、失礼するっすね。」
「な、んで、だっ、こ?わ、たし、あるけ、るよ?」
「嘘は良いっすから。」
「うそ、じゃな、いのに。がまん、すれ、ば、できる。」
「それじゃあ、余計に歩かせられないっすよ。」
「あ、つい。でも、ししょ、うは、あっ、たかい。おち、つく。」
「ちょ!?ひ、姫さん!?姫さん?大丈夫っすか?マズイな。上がって来てる。姫さん、少し揺れますけど許してくださいね。」
「ん、だいじょ、ぶ。」
そうして、師匠が走り続けて5分くらいにみんなを見つけた。
「っ、スズネア!?ど、どうしたんだ!?」
「あ〜、熱があるみたいっすね。この感じだと一週間くらい我慢してたんじゃないっすか?」
「はぁ!?一週間!?じゃ、じゃあ、僕たちその間ずっと気づかなかったって事?」
「そうなるな........。」
「しかた、ないよ。かいふ、くまほ、うかけて、ごまか、して、たから。」
「っ、何で言ってくださらなかったのですか!?」
「.........ごめん、なさい。」
「っ、私たちは信用できませんか?」
「..........っ、ごめん、なさい。.........ごめん、なさい。ひとを、しんよ、う、できな、くて、ごめん、なさい。」
「........殿下に無礼を働いてしまい申し訳ございません!ですが、無礼を承知で言わせて頂きます。」
近衛私兵を辞めたいとかかな?まぁ、当然だよね。
「もっと、我々を頼ってください。殿下。」
「え?........え?た、よる?」
「はい........。頼ってください。」
「.........ん。わかっ、た。」
「あ〜、こりゃ、聞いてないな。寝ちゃいましたよ。」
「な、何という事だ.......。いや、あんな態度は殿下には忘れて頂ける事に感謝すべきか?」
「........うるさい。」
「し、失礼しました!殿下、先ほどの無礼をこの命をもって.........?殿下は先ほど寝たはず?」
「下ろして。歩けるから。」
「は、はい。」
久しぶりに見たなぁ。リンさんは酔って出て来れないみたいだから私が出て来たけど.........。
「なんか、こう見ると男しかいないわよね。」
「は、はぁ。えっと、王女殿下?」
「王女で良いわ。寄るところが出来たからついて来て。あ、全員着いてきても良いよ?ちゃんと、許可は出たしね。」
「何処に行くの?」
「ん〜?何処だろうね。私は行けって言われただけだから。そういえば、バルツ君だっけ?君、お兄様に会ったんだよね?どんな感じだった?」
「え?ふ、普通だけど........。」
「あ〜、その感じだとやっぱり私の事道具だとか思ってるんだ。良かった。これで割り切れるよ。」
「あんた何なの?」
「私が『本物』のスズネア・フィン・アイスランドだよ。」
「........今なんて言った?」
「やっぱり、聞こえないか.........。気にしなくて良いよ。どうせ、何回言っても聞こえないし。あ、でも、安心して良いよ。私って愛する人の為なら尽くす人みたいなんだよね。だから、スズネアの事は守るよ。」
「........お前に守れるの?」
「君たちよりは信頼されてるよ?あ、ごめんね。気にしてた事言って........。」
「お前.......!」
「スズネア〜、いるか〜?遊びに来たぞ〜!.........は?お前誰?アイツは?」
「........カイラ........。」
「あぁ〜、読めたわ。で、アイツは?何処に行ったの?」
「お前、大丈夫か?なんか、キレてる?」
「ふふ、男の醜い執着は嫌われてしまいますよ?」
「アイツはそんな事で嫌いになんかならねぇよ。」
「否定はしません。.........レイラはどちらに行ったのですか?」
「........レイラなら今厨房にいるはずじゃが.......。」
「なら、まだ安心ですね。彼女は勘が良すぎますから。気づかれてしまいます。」
「お前、本当に何だよ!さっきからごちゃごちゃ、こっちはお姉ちゃんの事で苛立ってるのに........!」
「やはり、お兄様は私の事を........。」
悲しいみたいですね。一回でも愛していた人を見限るのは難しいものですね。
「では、参りましょうか。バイツ君には毒かもしれませんが........。」
「っ、お前まさか!気づいて........!」
「ふふ、さぁ?何の事でしょう?転移。」
「っ、ここは.......?」
「っは?ちょっと待て!スズネ、今転移使った?」
「いえ、転移と言っただけで私は魔法を使っていませんから。」
私は使っていません。間違ってはいません。
「やぁ、みんなで勢揃いだね。まぁ、とにかく、ようこそ神だけが住まう天界へ。」
今回も読んで頂きありがとうございます!
次回も楽しみに!




