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乙女ゲームの世界に転生2

体感が30分くらい経った頃なのにまだ誰とも会っていない。それにしても、この家は宮殿かと疑うほど広い。

「でも、本当に誰もいないな。」

人と会いたくはないが半分情報が欲しいから人に会いたい思いが半分という複雑な感じを抱いていた。


「外でお祭りをやっているから人がいないんじゎないかな?隣の城にはたくさん人がいたし。」

「!?」


頭上から突然返って来ないはずの返事が返って来たから心臓が飛び出るかと思った。慌てて声のした方に振り向くとほんのり光るものがふわふわと空を飛んでいた。

突然の事に驚いて固まってしまった。すると、その光がふわふわと空を飛びながら、

「もしかして、怖がらせちゃった?ごめんね、人がいないのに急に話しかけられたらそりゃあ、怖いもんね。」

誤って来た。この光何だろう?ていうか、何で光から声がするんだろう?

 

「どちら様ですか?」

「ボクの事かい?ボクは精霊だよ。」

光........いや、精霊が答えた。私はその言葉に反応した。

精霊=ファンタジー世界の定番中の定番。その存在がここにあると言う事は確実にこの世界はファンタジー世界だ。さっき、魔法を使えたのだから当然なのだが........。


「君の名前は何て言うの?」

そういえば、まだこの可愛い幼女の名前を知らない。

「.........思い出せない。」

実際に前世の頃の名前と思い出すらも思い出せない。今、私が分かっている事は自分が前世の時の記憶を持って転生したと言うことだけ。


「自分の名前が分からないの?それって記憶喪失なんじゃあ.......。」

精霊さんが心配そうに言った。何で記憶喪失なのにそんなに冷静でいられるのと精霊さんは続けた。


「何も分からないからこうして情報を集めに行っていたの。精霊さんはここが何処なのか分かる?」

「えっと、ボクも人間の国には詳しくなくてね。........ちょっと待っててね。今、調べてくるから。」

調べて来るって言ってたけどどうやって、調べて来るのだろうという疑問を持ちながら待って数分で精霊さんが元気よく「お待たせ!」と言ってふわふわ浮いて帰って来た。


「君の名前とここが何処だが分かったよ。君の名前は-----」


私はこの幼女の名前を聞いて驚愕した。何故、ここでそな名前が出て来るのか。異世界転生をしたら平穏に暮らせると思っていた。だけど、その希望が絶望のどん底に叩き落とされた様な感じがした。


アイスランド帝国。

それがこの国の名前であり私が前世でやり込んでいた乙女ゲームの世界に出て来る大国の名前だ。

神様は酷いわ。この世界に転生したのは嬉しいけれどどうしてよりにもよって彼女に転生してしまったのだろう。アイスランド帝国で、銀髪に富士色の瞳なんて1人しか知らない。でも、納得はした。この姿を見た時に既視感を感じたから。


彼女の名前はスズネア・フィン・アイスランド。

家族の愛を求めたが故に家族に道具として利用されて殺されてしまった悲劇の王女。


彼女の結末は悲しいものだ。彼女の一生は悲しいものだ。ゲームの全てのルートでヒロインを殺したり殺そうとするなどの敵にも関わらず私は彼女に同情した。

私はただの異世界転生ではなく乙女ゲームの世界に転生してしまったようだ。それも、死が確定している悲劇の王女に.......。


とにかく、情報を整理しよう。


この世界は前世で私がやり込んでいた乙女ゲーム『運命の愛〜世界の運命に立ち向かう〜』通称メイアイの世界だと断定した。

この舞台では、魔法や魔術、剣に溢れた陰謀渦巻く大陸だ。ヒロインのリアナ・リードはミシェラン王国に生まれ育った15歳の少女だ。

彼女は第一部なら6人.......第二部なら8人の攻略対象者のいずれかと恋に落ちる。


神々の愛そのものである天からの加護という強力な力と神々からの加護を授かり陰謀に巻き込まれる事になった少女と言ったお話だ。


とにかく、私は死にたない!絶対に平穏な生活を手に入れて平穏に死ぬのが理想。だから、絶対にバッドエンドは阻止する!

悲劇の王女に転生したからには、私のやり方でハッピーエンドを掴み取ってみせる!


「そういえば、精霊さんの名前はなんていうの?」

あの後、私は「思い出したよ。」と言って名乗ったが精霊さんの名前を聞いていなかった事を思い出した。さすがに、精霊さんって呼ぶわけにもいかないからな〜。

「ボクの名前........ボクには名前なんてものはないよ。」

なんだか、悲しそうにそう言った。それを聞いた私はつい無責任な事を言ってしまった。


「なら、私が精霊さんに名前を付けても良い?」

「君が?ボクに?」「.....ダメだった?」

「........いいよ。」

精霊さんは少し間を空けて答えたが許してくれた。

ん〜、精霊か.......。精霊は確か英語でスピリットよね?なら、これで決まりね。


「リットって言うのはどうかな?」

私はほんのりと光る精霊を見上げ、ドキドキしながら提案してみた。


「リット.......。リット......ボクの名前......。」

精霊さんは自分の名前を噛み締める様に自分の名前を繰り返し言っていた。


「ありがとう!ボクの名前はリット!これからはそう呼んでね!」

どうやら、気に入ってくれたみたい。何とも言えない安直かつそのままの意味だったけど良かった。

「じゃあ、よろしくね。リット!」

「ふふ。ボクの.......ボクだけの名前!まさか、名前を呼ばれるのがこんなにも嬉しいなんて思わなかったな。」

それから、リットからいろんな事を教えてもらった。もちろん、この国のアイスランド帝国の事も教えてもらった。ゲーム本編では、語られなかった事も入っていたのでとても興味深かった。


なので、私はこれから何が起こるのかが分かっていると言う事だ。つまり、私はみんながこれから巻き込まれるであろ事件を防止できると言う事。


私は死ぬかもしれない。でも、やっぱり攻略対象者やヒロインたちを救いたい。死なせたくない。だから、私はできる限り私の手が届くところまでみんなを守る。

死ぬかもしれない。けど、みんなを死なせたくないから。私がみんなを守る!

今回も見ていただきありがとうございます。

次回もお楽しみに!

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