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星の瞬き〜光の三極星を極めし者たちが紡ぐ物語〜  作者: 木賀 拓人
第二部 魔界編そして戦争へ至る足音
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第15話 銀色の旅路 魔界編 破①ー2 禁書の部屋

そうして、魔術師と戦士は、楽しそうに螺旋階段をのぼる勇者の背を追った。

 

 2階と3階は、いわゆる図書館だった。

 170cmの背の高さの人間を3人から5人重ねたほど巨大な書棚が、軒を連ねている。

 正直、それは人間界で言うところの普通ではなかった。

 その理解不能さは、限度を超えている。

 魔術師たちは開いた口が塞がらなかった。

 しばらくして、戦士が言った。

「魔界は、空間を歪める技術を持っているとでもいうのか」

「いや、それ自体の原理は分かりますよ」

 魔術師がそう返すと、「え?」と戦士と勇者が魔術師の方を訝しげに見た。

 その反応に小さく笑い、魔術師は人差し指を立てる。

「ほら、あのゲート」

「ああ」

 勇者が相づちを打った。勇者は自分がいの一番に納得したと思ったらしく、

「魔界と人間界を繋ぐゲートか」

 と言って、得意げな顔になっていった。

 それにフォンリードはため息を吐きかけたが、コホンと咳払いを一つして気を取り直し、頷く。

「ええ、そうです」

 ついで、自分の見解を説いた。

「この場合、城内部の空間をゲートの構造のように引き伸ばし、逆に城外部は元の城の大きさに留めているんだと思います」

「だが、なんのためだ? やはり、城に侵入した時やその後の階段の仕掛けのように、侵入者排除のための仕掛けなのだろうか」

「私もそう思ったのですが……」

「煮え切らない返事だな。なにか思うところでもあるのか?」

 その戦士の問いに、魔術師は曖昧ながら頷く。

「はい。ただ、私の推測が正しいかどうかはわからないのですが……」

「申してみよ」

 戦士の促しに後押しされ、魔術師はいった。


「この図書館にある書籍の数は、人間の図書館の貯蔵よりも数が多いと見受けられます。そもそも城内部の空間を捻じ曲げてまで図書館を作るくらいですし、魔界の方が人間界よりも産業革命が進んでいると考えて良いでしょう。と言うことは、その産業革命が進んだある理由がこの図書館のどこかにあるはずだと私は、睨んでいます」


「うーむ」


 戦士が、整った顎に手を添えて唸りながら、考える。

 数分後、手を離して言った。


「正直なところまだ信じられないが、一応探してみよう。なっ、ルクス殿」


「ん?」


 急に話を振られて勇者は、キョトンとした顔をしたがすぐにその表情を正す。

「なんのことだか俺にはよくわからないけど、手伝うよ」

 フォンリードは顔を綻ばせ、最大限の笑顔で感謝を伝えた。

「ありがとう!」

 

 しかし、探し始めて2時間くらい経つが一向に見つからない。

 書籍の数が多すぎる。

 書棚なんて迷路みたいだ。

 覚悟していたとはいえ、ここまで探し物が見つからないと精神的にきつい。社会的背景を紐解くなら、社会関連の書棚だろうと思い、かろうじて、たどり着いたが、その書棚を隅から隅まで確認しても一向に見つからない。

 魔術師は若干焦っていた。


 (ーーーこれも違う、これも違う!

 参ったな……こんなに広くて、書籍がたくさんあるんだから、あると思ったんだけど……)


 見落としているかもと思い、も一度手当たり次第に背表紙を見てみるものの、やはりこれといったものはないようだ。

 そうこうして、魔術師の心が折れかけた時、勇者が手を振りながら走ってきた。

 彼は興奮気味に言った。

「魔術師! 怪しい部屋を見つけたよ!『禁書の部屋』だってさ!」

 ーーー禁書の部屋?

 一瞬疑問に思ったが、これに賭けてみようと魔術師は、覚悟を決めた。

 彼女は勇者に訊いた。

「ユークハルトは?」

「もう、『禁書の部屋』の中にいるよ」

 

 禁書の部屋は、ギミックによって隠されていた。

 だが、ギミックの解除に長けていた魔術師たちにとって、どのようにして解除すれば良いか把握するのは、お手の物である。

 奥の壁に沿う形である書棚に並ぶ書籍群に、隠されたスイッチを押すことで現れるのを瞬時に解し、勇者が実行した。

 すると、書棚に縦に亀裂が入り、両側に開いた。

 瞬間、書棚の上から多量の埃が舞い、視界不良に陥った。

 咳き込み、涙ぐむ魔術師と勇者。

 しばらくして視界が晴れると、目の前にドアが現れた。

 少し目を上にやると、ドアの上に、『禁書の部屋』と銘打たれているのが見て取れる。

 ドアは、血染めされたように真紅の色合いで、不気味だが美しい。

 魔術師はドアノブを回し、奥に開いた。

 と、先に部屋の中にいた戦士が魔術師と勇者にゆっくりと振り返る。手に持った古びた本を見せ、言った。

「フォンリード、お前が言ったことは正しい。あったぞ、この本だ」

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