第15話 銀色の旅路 魔界編 序 城を見据えて
16代目魔王は勇者一行の悔恨、失意の物語を語り始める。
この話は決してハッピーエンドにはならない。
そう、「ごめんね」と断って。
『勇者一行の名前は知っての通り、
魔術師がタナデス・フォンリード
女性戦士がユークハルト・レーマニア
少年勇者がルクス・ゲインツーーーだ。
この登場人物たちがどんな悲劇を辿るか、よく聞いてほしい』
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血臭にまみれた大地。
その大地に点在するように転がっているのは数多の魔物と人間の死骸、不発に終わった大砲の砲弾。
世界は混沌と化している。
それでも、真っ赤な空を見上げれば「死の星」が輝いていた。
死の星はなぜか、魔界と人間界の両方に存在する。
噂に聞いたのだが、死の星が近づいたからこそ魔界と人間界が繋がるゲートが開いたのだという。
その噂が正しいなら、死の星は不幸の兆しでしかない。
人間界に住まう彼女らには、そんな理不尽に対抗する術が非常に少なく、闘うための知識と技術を身につけるしかないのだ。
彼女らに、「極星ギア」からの恩恵「光の三極星」は一画もないのだから。
けれど、勇者一行と崇められ、期待されているのなら、気を張らねば。
魔術師タナデス・フォンリードは、手に持つカシワの木から作られた杖の柄を握りしめた。
覚悟を決めた魔術師に、勇者ルクス・ゲインツは言う。
「死ぬかもしれないと思うと、たまらなく怖い」
「勇者ーーーそんな、みんなの気概を落とすようなこと言わないでください」
「でも……」
言い淀む彼は、見れば震えていた。
彼女は、そんな勇者に微笑みかけた。
「大丈夫ですよ」
後ろを振り向くと、戦士ユークハルトが「うむ」と頷いていた。
そう、大丈夫。
勝てる。知力と技術は十分にあるんだ。任務を果たそう。
そのあとは生きて帰って、またみんなで旅をしよう。
そして、前方遥か遠くにあるのに天高くそびえ立つ魔王の城を見据えた。




