第14話 魔界へ カマルと魔王②
カマルは困惑していた。
この子が魔王?
それに魔術師のことを話す?
人間界と魔界の関係性?
情報量が多すぎて意味がわからない。
「ちょっ、ちょっと待って!」
『どうしたのかな?』
「あなた、魔王なの? そうだとしたらなんでこの場で会話なんてするの? この場で殺したらいいじゃない」
『そんな野蛮なことはしないよ、大事な客人にさ』
「いやいや! だって、魔王直属部隊リーダーのロストが帝国を襲って!」
『それは先代魔王の意志を形にしたものだ。いたく崇拝してるっぽいし。僕の本来の目的とは大きく異なる』
「どういうことーーーそれに私はロストに連れられて……あ! あの装置……カルデアのあの装置を壊せてない!」
落ち着いて、カマル。
そう言って目の前の少年は笑った。
はにかむその笑顔がどうにも人間的で、魔王であるということを恐ろしく勘違いな気がしてくる。
『まずは話を聞いて欲しいな〜 そっからのほうが受け止めやすいでしょ?』
そう言ってパキンと指を鳴らす。
『お茶でも飲みながらさ、長話に付き合ってくれると嬉しいな』
豪奢なティーセットが現れる。
おまけに菓子類まで。
フルーティーな香りが鼻腔をくすぐる。
そう言えば満足に休憩できてなかった、そう思ったらカマルは落ち着きを取り戻していた。
『人間界でいうとアフタヌンティーとかって言うのかな? 』
魔王は子どもらしくいたずらっぽい笑顔を浮かべた。
『あ、ごめん。自己紹介がまだだったね。僕の名前は16代魔王テオドラ・ガネーザ・ロザリウス。ちょっと長いから、テオドラって呼んで?』
「私は……カマル。下の名前しかないけど、ごめんね」
『そのことも分かるかもね』
「えーーー?」
まあまあ、いいから。
テオドラはそう言って笑って話を切り替える。
おどけた感じはなりを潜めて、真剣な顔になった。
空気が変わる。
『さて、勇者一行の話をしよう。
分かりやすくしたいからタイトルはそうだな。
銀色の旅路 魔界編としようかな』
そう題して、少年魔王は話し始めた。
長きに及ぶ魔術師たちの悔恨の歴史を。




