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星の瞬き〜光の三極星を極めし者たちが紡ぐ物語〜  作者: 木賀 拓人
第二部 魔界編そして戦争へ至る足音
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第13話 雨の中の再会 LOST

 雨がポツポツと降っている。

 屋上からかエントランスからか吹き込んできた風にあおられた雫が落ちてくる。

 冷たい。


 ざわめきも少しずつ聞こえてきている。

 教主という精神を操作する怪物を殺すことができたはず。

 だから、精神汚染は解除されたはずだ。


 けれどまだだ。

 カマルは拳を握る。


 まだ、装置を破壊していない。


 そう思った時だ。


 黒い衝撃波のようなものが全体に広がった。


 屋上からだろう。


 嫌な予感がする。


 断続的な黒い輝きを帯びた衝撃波。

 不気味だ。


「まだ終わってない」


 カマルは呟いた。


「待った」


 レイドがカマルの右手首を掴んだ。

 痛くしない配慮。けれどどうにも動かせない。

 関節を決めてるのだ。

 警察の訓練で学んだことなのだろうが今は煩わしかった。


「離して」


 短く、それでも冷たい言葉でカマルは言った。

 レイドが息をのむのが分かる。

 けれどレイドはこう続けた。


「お前はふらふらだ、その体を引きずって何ができる? 休んでろ」


 少しだけムカついた。

 カマルは理屈で殴ることにした。

 時間をかけてられない。

 今まさに戦争が起きるかもしれない、こんな状況で足止めを喰らってられるか。


「水晶と銀鉱石の魔法を操れるのは今や私だけ。光の三極星を持ってても、セルズクリアを放ち続けて広範囲に伝播する精神汚染、操作の装置を破壊できなきゃ意味ないはずだよ。レイドこそ休んでて」


「しかしーーー!」


「ごめん」


 ゼロ距離からの光弾を放つ。

 殺傷能力を極限にまで抑えた、けれどまばゆい光が大研究室内で炸裂し、激しく照らす目潰しだった。


 レイドがたまらず手をはなす。


 カマルは屋上へと急いだ。


 長ったらしい地下通路を風のごとく駆ける。

 そしてエレベーターに乗り込み、屋上のボタンを押す。

 ポン、という機械音とともに上昇し始めた。


 しばらくして到着した。


 降りしきる雨の中、黒く鳴動する禍々しくも神々しい衝撃波を放ち続ける装置『奇跡の一手(ワンダーステップ)』があった。


「あれかーーー教主は死んだはずなのに、まだ駆動をし続けてるなら完全な破壊が必要だね」


 心なしか胸の中がざわめく。


 一歩ごと近づくに連れて、闘争本能を刺激されているのだ。

 魔力に乏しい人なら一瞬で支配されて殺人を犯しているかもしれない。


 だからこそだ。

 だからこそ許してなるものか!


 カマルは痛んだ身体をずるずると引きずりながら前へと進んでいく。


 イシュカーの、スノウの、思いをこのまま果たせずに倒れる訳にはいかない。


 装置を目の前にして倒れこみそうになるのを必死で耐える。


 視界がわずかに暗い。


 疲労がすごい。


 けれど装置は鼻の先にある。掴んでいる銀色に輝く剣を振りかざす。

 その時だった。


「やあ、カマルーーー新たな力に目覚めたんだね」


 帝都を襲った忌まわしき、魔物の声がした。

 脅威と怖気で意識が急速に回復する。

 空を見上げる。


 黒雲のその切れ間に、青年が宙に漂いながら浮かんでいた。


「ロスト……エクラット」


 カマルは憎々しげに、呟いた。


「そんなに憎しみに塗れた顔をしないでおくれよ、カマルーーー今回は、魔王様直々の命令で参った次第だ」


「なに……?」


「君を魔王に会わせる。だから一緒に来い、カマル」


 そう言って、ロストはどこか飄々としながらも柔和に笑いながら言った。

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