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星の瞬き〜光の三極星を極めし者たちが紡ぐ物語〜  作者: 木賀 拓人
第二部 討伐隊編 カルデア
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第9話 破戒②

 言葉通りだった。

 何度、火炎剣で挑もうとしても発動した矢先に消し去られる。

 このままでは魔力だけじゃなく体力も無駄になる。


 くそーーーっ!


 歯噛みする。

 レイドは大きく後退した。

 そして。魔力を全身に行き渡らせる。

 鎧のように纏う。

 身体能力の向上だ。極めれば跳躍からの高速移動も可能にする。

 ケルトは言っていた。帝都に襲撃してきた魔物幹部をオーガルが極めた身体強化で一撃のもとに顔を粉砕して撃退したと。


 正直盛ってるとこともあると思うが、身体強化はこう言う厄介な能力を出してくる輩にこそ有効だ。


 レイドはそう思って笑った。


「何を笑っているのですか?」


 教主が訝しむ。杖の先をレイドに向ける。

 セルズクリアをすぐに放つための態勢だ。

 膨大な魔力を帯びた自然現象の極地だと噂される三極星。

 それを一時凌ぎでも消し去れる魔法。

 厄介だし、この身体能力向上魔法も消し飛ばされるかもしれない。

 当たりどころや対象が自分の体なら霧散するのは意識ごと肉体になることだろう。

 だが、そんなことは死ぬほどどうでもいい。


 なぜならーーー


「ちょっと過去を思い出してただけだ、気にすんな!」


 レイドが跳び上がる。

 そして、一瞬でその姿が掻き消えた。


「な……」


 教主が左右を確認する。けれどいない。


「逃げたようだな、あれだけ生意気にも話していたと言うのに」


 さて、と視線をイシュカーに向ける。


「君も異教徒として始末しなきゃいけない。

 でも安心してくれたまえ。君の魔法は君が一言ーーー『私に譲る』と言うだけで魔法の譲渡が完了するんだ。さあ、君の魔法を渡してくれないかな?」


 さあ、この魔水晶に触れて言え

 そう言って、胸ポケットから取り出した魔水晶を手に持ちながら、少しずつイシュカーに近づいていく。

 けれど、イシュカーは言った。


「どうでもいいけど、頭上に気をつけたらどうですか教主どの。天の雷があなたを潰すようですよ」


 立ち止まる。


「何を言って?」


 教主が天を仰ぐ。

 と、「なーーーに!」はるか頭上20メートルほどの高層ビルのヘリから飛び降りながら、火炎剣を振りかぶるレイドがいた。


「消え失せろ、教主!!」


 その言葉と共に切りかかる。

 判断が遅れる。


 切り裂かれーーー燃える。


 そう思った時だった。


『軌道よ曲がれ(command・left)』


 その言葉が響いた。

 レイドの火炎剣の斬撃が逸れる。

 言葉通り、左に。

 レイドの火炎剣が地面を燃やす。


 教主は着地したレイドの顔を蹴り飛ばした。


 レイドが苦悶の顔をしながら倒れ込む。


「貴様がーーー私を! 愚弄! するな!」


 そのレイドを何度も何度も蹴りつける。


 傷つき、うめき声をあげるレイド。


 イシュカーが水晶魔法で助けようとした時、


『黙って立ってろ(command・stop)』


 その言葉に身体を支配される。

 身体が動かない。


 レイドの身体が痣だらけになる。


「死ね、クソガキが。私の遂行な計画を邪魔してタダで済むと思うなよ!」


 もう一度蹴り飛ばそうと教主の足が動いた時、


「あなたの計画はこれでしょ? 全部割れてるんだよ、観念したらどうかな?」


 階段の方から声がした。

 カマルの声だ。


「ーーーああ?」


 教主の足が止まる。中で、あと少しでレイドを踏みそうなところで。


 カマルは言った。


「足を退けて」


 短い声で。それでもはっきりとした口調だった。

 手には、クレイドル姉妹を計画に使うことが書かれた忌まわしい計画書が握られている。


「今のことも、この計画も、リークすればあなたは終わる。詰みだよ」


「はーーー、何を言っているか分からないな」


 肩を竦めて、乱れた衣服を整える。

 そして、教主は足をどかしてカマルに言った。


「その計画書を寄越せ、今すぐ」


「いやです、重要な手掛かりなので」


「いいから渡せ!!」


 教主が走ってくる。

 狂気の様相を顔に貼り付けながら。

 杖を振りかぶってくる。


 その時だった。


 イシュカーがカマルの目の前に立っていた。


「え、なんでーーーイシュカー」

 驚くカマル。

 笑いかける。イシュカーが水晶魔法で教主の左腕を固めた。

 血が噴き出る。

 筋肉を裂き、神経系をも固めたのだろう。

 断面が痛々しい。


「舐めるなよ、この異教徒ごときがああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


 絶叫が響いた。

 教主からだった。

 憎しみだけの表情を黒く光る眼差しと共にカマルは感じた。


「殺す、殺してくれる!」


 教主が杖の先端についた宝石にようなものを押し込む。すると、中から仕込みナイフが現れる。

 それを無造作につかむとイシュカーの胸に突き刺した。


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