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星の瞬き〜光の三極星を極めし者たちが紡ぐ物語〜  作者: 木賀 拓人
第二部 討伐隊編 カルデア
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第4話「死すべし」

ーーー夕方。


 カマル達はカルデア・ビルから西に10km離れた場所に位置するホテル「スターダスト」に泊まることにした。

 部屋は意外にも広く、ビジネス用にしては高級な雰囲気を思わせる。

 それでも手頃な手払い金ですみ、帰りの荷馬車を借りる分には足りそうだ。

 イシュカーとカマルで一部屋、レイドだけで一部屋の計2部屋でまだお釣りが来そうなお値段だ。


 カマルとイシュカーはそれぞれのベッドに座り、レイドはデスク横の椅子に腰掛けていた。


 どんよりとした空気が漂う。

 それもそのはずだ。

 イシュカーの姉スノウがあそこまで拒否したこと。大研究室が移動していて今は6階にあることが分かっていても結局、場所が変わってしまうのなら意味がないこと。

 加えて地下にある全ての部屋が通路も含めて移動するということ。

 失敗に終わった。


 けれど、カマルはどんよりとした空気を払拭するべく努めて明るく言った。


「潜入作戦は失敗だったけど、いうほどじゃないよ! 収穫はあった!

 第一にイシュカーさんの証言が裏どりができたこと。スノウさんが栄養失調気味になってたことからカルデアが過酷な作業を強いていることが分かった。

 これをリークすれば、かなりの大損になるはずだよ。

 第二に私の新魔法で、絶えず少しずつでも移動する地下の部屋を枠組みから補足することができること。

 この二つだけでも、まずまずの成果だと思わない? 」


 カマルはブイを作って笑顔で話す。


「あとは精神操作魔法とセルズクリアを広範囲に放つために開発されたであろう、装置を見つけて叩き壊すことができれば、私たちの勝利だよ」


「そう簡単にはいきませんよ」


 イシュカーが言う。


「リークするにしても信者がどれだけいると思ってるんですか? 本部だけでも六万を超えています。支部も合わせれば、合計で15万はくだらないでしょうね。

 そんな最大規模のカルデアにどうやって情報戦で勝つと言うのですか?」


「それは……その……」


「それに、カルデア教主は必ず私たちを罠にはめようと画策していることでしょう。

 潜入作戦に失敗した以上、私たちはもう負けてるのも同然なんです」


「誘ったのはてめえだろ?」


「はあ?」


「私はイシュカーさん、あなたから助けてと言われてきました」


「なんですか? 私への糾弾ですか?

 そんなことしてなんになると……」


「助けてって言えよ」


「なに……?」


「助けてください、って言えとそう言ってんだ。

 お高く止まるのをやめろ。スノウ姉さんと私を助けてと、一言言ってくれたらそれで俺たちはもう何もお前に言わねえ。だから、一言でいい。そう言え」


「言いましたよ……? 潜入前に」


「もう一回だ。ここで、もう一度言ったら協力してやるよ。地獄の果てでもな」


「強引ですね」嫌いじゃないけどとイシュカーは笑った。

「わかりましたよ、改めて言わせてください」


「2人ともお願いです。私たち姉妹を助けてください。世界を敵に回しても、守ってください。一緒に……戦ってください」


「ああーーーかまわねえ」


 カマルに目線を送る。


「うん」カマルが頷く。

「三人で、カルデアの陰謀を崩そう」


 そう言って三人で笑い合った。

 拳を合わせて、誓う。

 必ず、カルデアを打ち倒すと。



 ーーーーーその夜だった。


 カマルは急に息苦しさを感じた。

 隣のイシュカーは寝てるはず。

 ギリリッと絞められるような、強く気色の悪さ。


「か、は……ぐ……っ!!」


 麻縄でギリギリと締められる感覚。

 息を求めて吸い込もうとするも、唾液が泡となって次から次に出てきて呼吸ができない。

 頭がビリビリしてきた。


 死


 その言葉が脳裏によぎる。


「カマルを離せ! このくそ信者が!」


 レイドが椅子を振り下ろして信者の脳天をかち割るかのごとくスイングした。

 ガンッという音が響く。

 よろめくと同時に麻縄で首を絞める手がわずかに緩んだ。

 カマルは咳をしながら、それでも両足に力を込めて男の腹を蹴り上げた。

 男は離れた。

 双眸から漏れる眼光が赤い。

 病的だった。

 何かしらの術にかかっているかのように、幽鬼の如きふらつきを隠さない。


「異教徒は死すべし」


 その声をあげながら迫る。

 斧に持ち替えて、狂気を帯びた顔で。


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