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帝都混乱編 39 話 星の瞬き 『流星は光となりて』 覚醒の片鱗

 風魔法をまとい、極限にまで高く密度のある紅く瞬く光弾を放つ。

 流星の如き速さ。風をえぐって金属を削るような音をたてながら、一直線にロストへと迫る。


 ロストは笑った。死の風をまとい、当たる直前で横から殴りつける。

 1度目 弾かれる

 血が吹き出た。

 透明な床を鮮血が赤く濡らす。

 それでもロストは2度目、殴りつける。


 刹那、光弾の威力が死んだ。


 そのまま追撃に転じるロスト。


 死の風を全身に流すようにしてまとい、カマルの首を絞めようとする。


 手が伸びる。


 手が伸びる。


 カマルの首に触れかけーーー、カマルはゾワッと黒く澱んだ怖気を強く感じた。少女は舌打ちして大きく後退した。

 同時に5連の光弾を一斉に放つ。

 走りながら首に触れて確認する。違和感はない。痛みもなければ傷もない。


 良かった。とりあえずは何も喰らってない。

 あの風をもろにくらうのだけは避けないと。


 だが、5連の光弾は瞬時に破壊される。

 死の風をまとった回転をかけた蹴り。薙ぎ払われた衝撃で宙に浮かぶ床が鳴動した。


 ロストの攻撃はまだ終わらなかった。

 ダンっと踏み込むと、身を低くした態勢で迫り来る。


 もう一度首絞め?

 やるならしてこい。ゼロ距離から全力の光弾をお見舞いしてやるよ


 ロストが肉薄する。

 死の風をまとった拳を振りかざす。


「死ね」


 短く、低い言葉。呪いのような殺意がこもる。

 拳が振り下げられる。


 当たる寸前、


「メターオブライト」


 唱え、その輝きを右手に宿したままカマルはロストの拳に合わせて放った。


「こざかしい」


 ロストが、嗤った。

 みにくく、お前の能力など取るに足らないと言うかのように。


 カマルの詠唱ありの光弾がロストにーーーなぜか当たらなかった。


 すり抜ける。


 えーーー? なん、で


 思う間もなく、衝撃と激痛がカマルを襲った。


 痛い


 痛い


 痛い


 その激痛の中で、カマルは見た。恐ろしい光景を。


 人の死


 肉片、臓腑を撒き散らし死ぬ人


 血液だけとなった人


 迫り来る炎にあと一歩として避けること叶わず焼き殺される人。


 絶望、地獄、途絶える命。


 それらが鮮明にカマルの心を抉った。


 やめて


 やめてよ!


 こんなの、酷すぎる


 涙が溢れて止まらない。


 こんなひどい光景を見せられながら私は死ぬのか?


 レイドもケルトも、ルークたちの安否もまだ分からないのに


「ーーーふざけるな」


 その業火にも似た怒りが、激情が

 新たな力を呼び起こす。


「ーーー光化 raise」


 唱えると同時、ドクンと心臓の鼓動がした。


「か、あ……」


 胸の激痛、それと同時、カマルの体は発光した。


 眩く、蒼い光へと。


 カマルの体は変貌する。


「ーーーなんだ、それは。なんなのだ、貴様は!」


 ロストが叫ぶ。


 それをカマルは無視し、自らを弾丸とかしながらもロストの身体に大穴を開けた。


 そして


 透明な床に着地すると、カマルは振り返る

 ロストが穴を開けられたところから致死量の血を、臓腑を撒き散らしながら床にふしていた。

 血を吐きながらも、ロストは言う。

「私はまだ負けていない。必ず貴様の首を掻き切りに出向いてやる。それまでせいぜい怯えながら、日々を過ごすがいい。死に晒せよ、人間が……!」

 呪いのような殺意。それを吐き、ロストは事切れた。


「ーーー勝った」


 みんな、勝ったよ。

 明滅し発光する体を抑え、空を仰ぐ。


 その時だった。


 視界が、暗転する。世界が、変わる。

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