表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/68

帝都混乱編 第34話 ロストエクラットという青年

 ロストの魔法により、コロシアムの上に透明な床が形成される。

 そこに立ち、カマルとロストの両者は睨み合っていた。

 ロストは突然くくく、と笑い出す。


「何を笑っているの?」


「君は感じないのかい?」


「なにが?」


「光の三極星に選ばれたものが全て揃ったんだ。最高じゃないか」


「全然最高じゃない……」


 眼下を見ればわかる。

 人が瓦礫に下敷きになり、焼かれ、そして酷いことに体がバラバラになったりもしている。

 かろうじての救いは下級の魔物が来ていないこと。

 もし来ていたら帝国軍との戦争でより多くの人が死んでいただろう。

 カマルは怒りに震える。

 その激情のままにカマルは叫んだ。


「こんな……人をたくさん、殺しておいて何が最高だ!

 ふざけるな、魔物!」


「ああ〜ああ〜、そんなに怒らないでおくれ」


 両手を目の前にかざしておどけたようにロストが言う。

 気色が悪い。

 目の前の魔物が喋ってる内容が軽薄なのに何故か聞かざるを得ない、そんな感じをもろに感じる。

 ロストが唐突に聞いた。


「カマル、君は私と鏡写しのようなものだということに気づいているかな?」


「そんなわけない」


「あるさ。君の『流星』と無の魔法、私の『紅き星』と死の魔法は、対照的なようで実はすごく似ているんだよ?」


「じゃあ、あなたは光の三極星じゃなくて、死の星じゃないの?」


「同じさ、そもそも極星ギアと死の星こそ兄弟星のようなものなのに」


「な……」


 衝撃だった。極星ギアと死の星が兄弟星?

 つまりは同質のものだと?

 いや、魔物が言うことだ。

 揺さぶりをかけてその隙をつく戦略かもしれない。

 カマルは一度深呼吸してからロストの目を見据えた。


「信じられない」


「あくまでも魔物の言うことは信じられない、と」


「そうだよ。あなた達のような人殺しの言葉に、信じるもくそもない。同質だってのは信じられない」


「まあ、そうだろうね。信じられないのも無理はない。この帝国を襲ってすぐだものね」


「話は終わり? 構えて……すぐにあなたをこの世から抹消してあげるから」


「待った」


「なに? 怖気付いたわけ?」


「違うさーーーああ、ほら……来たよ。光の柱の一つ目だ」


 ロストの言葉と同時、一瞬の無音が襲った。

 風も炎の音すら消え失せる。

 血の匂いだけが充満し、次には爆発的な光の奔流がローグタウンの端から放たれた。

 まっすぐ、天へと昇る光の柱。

 それはまるで光を帯びた竜のごとき壮大さだった。


「な……に、あれ……」


 ーーーいや、それよりもあの方向は


「旅商人達と堕天使ミカエルが向かった方向だね。

 あの爆発的な光の柱は起動したが最後、その奔流が身体を散り散りにさせて、血液のみをそのあとに残す。

 もう生きていないだろう。

 まあ最も、僕らが持っているあと3つの端末の起動で魔法陣が空に描かれ、この帝国は終わるがね」


「とは言っても、帝国軍は利用価値があるから残すけど」とロストは言いながら頬をかいた。


「……」カマルは無言でロストを睨みつけていた。

 眉間に皺が寄っているのが分かる。

 心なしか、内なる激情が魔力となって自らの肉体を覆っているのかのようだった。

 ロストが笑う。


「おやおや。すごい形相じゃないか、顔でも洗ってきたらどうだい?」


 顔でも洗ってこいだと?

 お前が……お前が、帝国中の人を殺し尽くしてあまつさえ、大切な人たちまでも手をかけたのだろうが。

 カマルは歯をぎりりと噛み締めて、怒りを顔に出す。

 そして殺意を表した。

「絶対に殺してやる」と。


 ロストは涼しげな顔をする。

 カマルの放つ殺意など、取るに足らないと言うかのように。


「ああ、来い。『流星』の使い手よ。存分に殺し合おうじゃないか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ