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コロシアム編 28話 闘王リアVSレイド

会場は大盛り上がりだった。

観客席にこれまでの倍の人が詰めかけている。

立ち見している人たちもいた。

それほどまでの対戦カードということなのだろう。

ユーリが2人を紹介すると会場が沸いた。

闘技場の砂煙るフィールドで2人は睨み合う。

レイドが先に口を開いた。


「おいおい、闘王さんよ。片腕はそのままか? 義手くらいつけてくんのかと思ったよ」

「バカ言え、お前如き片腕で十分だ」

闘王リアがせせら笑う。

「御託はいいから全力でかかってこい。全てを薙ぎ払ってやるよ」

「言ってくれるじゃねえかよ、闘王さんよ。俺の攻撃が生半可じゃないことすぐに思い知らせてやるぜ」

「ああ来いよ。その自信ごと薙ぎ払ってやるから」

「はっ……」

レイドと闘王リアは互いに凶暴な笑みを浮かべる。

そしてーーー同時に駆け出した。


地を蹴った瞬間、空気が弾けた。


先に間合いを詰めたのはレイドだった。

警棒に宿した紅炎が一瞬で膨れ上がり、大剣へと変貌する。


「―――Solaris frmma(紅炎よ、来たれ)」


振り下ろされた炎刃は、空気ごと焼き裂きながら闘王リアへ迫る。


だが。


「遅ぇ」


リアは踏み込み一つでその懐に潜り込んだ。

片腕とは思えない速度。

炎の軌道を“見切って”いる。


「ッ!?」


振り抜くよりも早く、剣の柄がレイドの腹部に突き刺さる。


「ぐっ……!」


鈍い衝撃が内臓を揺らし、レイドの身体が浮いた。


そのまま追撃―――


来る。


直感が叫ぶ。


レイドは歯を食いしばり、空中で強引に体勢をひねる。

次の瞬間、リアの蹴りが空間を叩き潰した。


「避けたか。やるじゃねえか」


「……はは、今のは死んだかと思ったぜ」


着地したレイドは口元の血を拭う。

だがその目は、なおも闘志に燃えていた。


「いいねぇ、その目だ。―――全力で来いって言ったろ」


リアが嗤う。


地面が割れる。


踏み込みだけで、闘技場の石畳が砕け散った。


次の瞬間、リアの姿が消える。


「―――っ!」


背後。


振り向きざま、レイドは炎を爆ぜさせる。


轟炎が半円を描き、空間ごと薙ぎ払う。


しかし。


「甘い」


炎の中から、リアが現れた。


焼けていない。


否、焼ける前に通り抜けている。


「なっ……!?」


剣が振り下ろされる。


直撃―――の寸前。


「……させるかよ!」


レイドは炎を一点に収束させ、真正面からぶつけた。


爆発。


轟音。


衝撃波が観客席を揺らす。


煙の中、二人は距離を取っていた。


互いに息を荒げながら、しかし笑っている。


「いいじゃねえか……!」


「お前もやるじゃないか……!」


同時に踏み込む。


今度は互いに退かない。


豪炎を纏いし剣と魔力をただ帯びただけの剣。


力と力。


純粋な破壊の応酬。


「まだだぁ!!」


レイドが叫び、炎をさらに増幅させる。

闘技場全体が赤く染まる。


対するリアは―――


「それで終わりか?」


ただ一言。


その一言だけで、空気が変わる。


圧倒的。覇王のような最強を肌で感じる。


「……っ」


レイドの頬を、冷たい汗が伝う。


だが、それでも。


「―――上等だ」と言って笑った。


その瞬間、炎が収束する。


極限まで研ぎ澄まされた一撃。


闘王リアもまた、剣を構える。


「来いよ」吐き捨てるようにそれでも不敵な笑みを浮かべながら。


「行くぞ!!」


レイドと闘王リアが最後に渾身の一撃を喰らわそうとお互いに駆けだした、ちょうどその時だった。


『やれ』

声が響く。低く、それでもよく聞こえるような声。レイドと闘王リアの足が止まる。

同時、指を鳴らす音がどこからともなく響いた。


そして。ガラスが割れるような音とともにーーー闘技場の天蓋が崩壊した。


ユーリが逃げるように叫ぶ。

だが、間に合わなかった。

天蓋が崩落したことにより、瓦礫となって観客やユーリに次々と襲いかかる。

潰されて蟻のように死ぬ人たちもいた。

ユーリもその1人だった。

血を内臓を吐き散らかしながら死んでいった。

惨い状況。

コロシアム内は大混乱に陥る。

観客たちが逃げ惑う。


その混乱の真ん中に四つの影が降り立ち、蠢いた。


その中の1人がいう。

「砂埃を払え、堕天使ミカエル」

「了解いたしました、我が君」


次の瞬間、荒れ狂う漆黒の暴風が吹き荒れる。

姿があらわになる。


4人ーーー、その中の1人はレイドと闘王リアが見知った顔だった。


「ロストーーー」


柔和に笑う、それでも絶対なる殺意を秘めたその眼光。

それが2人を射抜いていた。


「また会ったね、光の三極星の一画に、闘王」

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