4 小学5年生の麻子 4
朝、いつものように、麻子が元気いっぱいに登校してきた。
「おはよう」
麻子はクラスの女子に声をかける。いつもは「おはよう」とあいさつだけはしていた女子も、今日からは麻子を冷たい目でにらみ無視した。
麻子はびっくりして立ちすくんだ。自分の席につくと少し暗い表情になっていた。
どうしてあんな目でにらむんだろう? 理由がわからない。
とでも考えているような表情に。
真司は何か声をかけようと思ったが、「やきもち」という言葉が浮かび、自分が声をかけると麻子に迷惑がかかると思い、グッとこらえた。
そうしていると、何も知らないみどりとさつきがやってきて、麻子に声をかけた。麻子の表情がまた明るくなった。真司はとりあえず安心した。
みどりやさつき以外の女子たちの麻子に対するいじめは無視という形で始まった。麻子が話しかけても、先生の前以外ではみんな無視するようになった。
そして、女子たちはそれに飽き足らず、みどりとさつきにも、麻子から離れるまで嫌がらせをして、とうとう女子たちから、麻子を孤立させてしまった。
この頃から、麻子の表情は暗くなった。男子たちは相変わらず声をかけてきたが、麻子は次第に男子たちとも話をすることがなくなった。
真司は思った。
麻子の心の支えは、みどりやさつきといった女子たちだったんだ。
強い女子なら、女の友だちなんていなくだって平気でいられるかも知れないが、麻子はそこまで強くない。
二宮は決して、外見だけで男子を引きつけようとするような女子ではない。
と真司は確信した。




