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才能に縛られた世界の『無能』でも、『運』が良ければ成り上がれるはずだ  作者: 飛楽季 【兵器創造 コミカライズ配信!】
2章 少年と不運の少女

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少年と不運の少女 6

 ——青山にある住宅街にある、一つの家。その家には夜叉神の表札が掲げられている。


 ここがヒメさんの家で間違いない。


 僕は深く深呼吸してから門にあるインターホンを鳴らす。

 そして暫くしてから、インターホン越しに男性の声で反応が返ってくる。


『……はい。どなたでしょうか』


「こんにちは。僕はヒメさんの友人でムノと言います。ヒメさんはいらっしゃいますか?」


『……今娘は外出しています』


「本当ですか?ヒメさんに来るようにと言われたのですが……」


『……少々お待ち下さい』


 全て出任せだが、どうやらヒメさんは中に居るようだ。


『……娘が話したいそうです。中へどうぞ』


「失礼します」


 僕はそう告げると敷地内に入り、玄関のドアを開いた。



 玄関を開けると——そこにはヒメさんの父親と思われる男性と、ヒメさんの姿があった。


 ヒメさんの表情は暗く、俯いている。



「初めまして、ムノと言います。出来たらヒメさんと二人きりで話したいのですが……」


「……私がいると困るような話なのかね?」


 父親らしき男性が返してくる。

 隣に立つヒメさんは黙ったまま何も話そうとはしない。


「いえ、ではこのままでも」


 僕は一呼吸置いてから話始める。


「ヒメさん。僕とパーティーを組みましょう」


 その一言で、二人はピクリと反応する。


「……君は何を言ってるんだ?娘はもうDHを引退した」


「それは……彼女の意思ででしょうか?」


「勿論だ。既に娘は結婚を見据えて見合いを行う予定だ。ダンジョンに潜る暇などもう無いのだよ」



 僕がグンセさんから貰った紙には夜叉神家について様々な情報が載っていた。

 特にヒメさんの父親の情報はこと細かく記載されており、どうやら出世のためなら手段を選ばない性格で、ヒメさんの見合いの件についても父親の仕事が関わっているようだ。



 恐らくヒメさんはそれらから逃げるために、DHを続けて結果を残そうとしていたんじゃないだろうか。



「その結婚とやらは、ヒメさんの為ですか?それとも——あなたの出世のためですか?」


 その一言に父親らしき男性の様子が一変する。


「君は何を言ってるんだ!娘の幸せの為に決まっているだろうが!」


 激怒した様子で、僕に対して怒鳴りつけてくる。


「……間違っていたなら謝ります。ですが、ヒメさんはそれが嫌で家を出たのではないですか?」


「それは君が関与する事では無い!我が家の問題だ!」


「なら、何故DHをなるように仕向けたんですか?結婚が幸せだと言うのなら、DHなんかになる必要無いですよね?」


「それは娘に魔法の才能が有ったからだ!才能が有るならそれで生きていくなんて事は当たり前だろう!素材がドロップしないなんて事さえなければ、今頃ッ!」


「……そうやって親に振り回される子供の気持ちを、考えた事は有りますか?娘さんがどう思っているか意見を聞いた事は?」


「な、何を……ッ!」


「夜叉神さん、あなたはDH向けの装備品売買の会社に勤めているそうですね。そういったDH関連の会社に勤めていて、もし子供が有名なDHになった場合……あなたの評価はうなぎ登りでしょう」


「……」


「本当に、娘さんの為にやった事ですか?小さな頃にやりたい事を我慢させて英才教育をし、それがダメだと分かると次は取引先で偉い人の息子さんとお見合いですか……」


 夜叉神さんは苦虫を噛みしめたような表情をする。

 ヒメさんは浮かない表情のままだ。



「——ふざけんなよ。 ヒメさんはお前の道具じゃ無い」



 僕は夜叉神さんを睨み付ける。

 


「くっ……子供の貴様に何が分かる!」


「才能一つで左右される事なんて、僕は誰よりもよく分かってるんですよ。そして、それで選択肢が狭まる世界が異常なんだ。それでもヒメさんはDHとして生きる事を望んだ」

 

 僕はまた一呼吸置く。


「その子供の希望を、親が踏みにじっても良いんでしょうか?……もう一度聞きましょう。それは、本当にヒメさんを思っての行動ですか?」


「うるさい!黙れ!これ以上何か言うのなら警察を呼ぶぞ!」


「……分かりました。あなたが変えるつもりが無いのなら、僕も強硬策に出ます」


「はっ子供に何が出来る」


「なら、次に言う言葉をあなたの真偽を見破るスキルを発動した上で聞いて下さい」


 夜叉神さんは驚き、目を見開く。


「何故スキルの件を……!」



「あなたがヒメさんに対する態度を改めないのなら、僕はあなたが子供よりも大事にしている会社を潰します。——僕には、それを出来るだけの力が有る」



 僕は夜叉神さんと目を合わせながらそう言い放った。

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