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才能に縛られた世界の『無能』でも、『運』が良ければ成り上がれるはずだ  作者: 飛楽季 【兵器創造 コミカライズ配信!】
2章 少年と不運の少女

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少年と不運の少女 5

 ——翌日、いつもの時間に歌舞伎町ダンジョンへと向かう。


 ヒメさんに会えたなら、僕は全てを打ち明ける事に決めている。

 もし、それでも受け入れてくれるなら、仮となるがパーティーを組もうと思っていた。


 だが、今日は彼女は現れなかった。


 流石に、毎日付き纏うほど暇ではないのだろう。

 僕はそう思い、ダンジョンへと足を運んだ。



 ——その次の日も、ヒメさんは現れなかった。



 スタドに入って彼女の姿を探してみるが、やはり姿は無い。


 一週間も適当にあしらっていた事で、愛想でも尽かされたのかもしれない。それなら……仕方ない。


 僕は少し心のどこかに引っ掛かりを覚えながら、ダンジョンへと足を運んだ。



 ——また次の日も、やはりヒメさんは現れなかった。



 何故かダンジョンに行く気になれず、そのまま帰った。

 そして、グンセさんの店のカウンターで突っ伏したままため息をつく。


 

「はあ……」


「どうした?あの嬢ちゃんの事か?」


「ええ。話そうと決めた途端、急に現れなくなってしまって」


「そりゃ、タイミングが悪かったな」


「そうですね……」


 グンセさんが不意に真面目な顔になる。


「ムノ、嬢ちゃんと……もう一度話したいか?」


「え?話したいですけど……でも、何処にいるかなんて分からないですよ」


「悪い意味でだが、あれだけ有名なDHなら調べようが有る。ムノ、どうするか決めろ」


「……」


 僕はどうしたいのだろう。

 彼女は、僕を受け入れてくれるかもしれない、初めての同世代の人だった。今となってみれば、全てを話して拒否されるのが……怖かった。


 だから——僕はヒメさんから逃げた。


 なら、今の気持ちは?


 ——拒否されるのは怖いけど、全てを話してみたい。


「彼女ともう一度話がしたいです」


「……そうか。やっぱりそういうと思ったぜ。ほら、これ見てみろ」


 そういうと、グンセさんは僕に数枚の紙を見せてくる。


「これは……?」


「嬢ちゃんの家の住所だ。それに、これ見てみろ」


「……っ!」


 数枚の紙に全てに目を通した後、僕のした事が、彼女をとても傷つけていたことを知った。


 ——僕は、彼女、ヒメさんに会わなければならない。


「ハッ。その顔、ムノにしちゃカッコいいぜ?」


「一言余計ですよ。でも……ありがとうございました。僕行ってきます」


「おう。青春だな」


 グンセさんが茶化すように笑う。


「何言ってんですか……青春とかじゃないですよ。彼女は、僕のパーティーメンバーです」


「ハッまあ良い。じゃあ、その大事なパーティーメンバーを連れ帰って来い」


「ええ——行ってきます」


 ——そして、僕はグンセさんの店を飛び出した。




 

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