少年と不運の少女 5
——翌日、いつもの時間に歌舞伎町ダンジョンへと向かう。
ヒメさんに会えたなら、僕は全てを打ち明ける事に決めている。
もし、それでも受け入れてくれるなら、仮となるがパーティーを組もうと思っていた。
だが、今日は彼女は現れなかった。
流石に、毎日付き纏うほど暇ではないのだろう。
僕はそう思い、ダンジョンへと足を運んだ。
——その次の日も、ヒメさんは現れなかった。
スタドに入って彼女の姿を探してみるが、やはり姿は無い。
一週間も適当にあしらっていた事で、愛想でも尽かされたのかもしれない。それなら……仕方ない。
僕は少し心のどこかに引っ掛かりを覚えながら、ダンジョンへと足を運んだ。
——また次の日も、やはりヒメさんは現れなかった。
何故かダンジョンに行く気になれず、そのまま帰った。
そして、グンセさんの店のカウンターで突っ伏したままため息をつく。
「はあ……」
「どうした?あの嬢ちゃんの事か?」
「ええ。話そうと決めた途端、急に現れなくなってしまって」
「そりゃ、タイミングが悪かったな」
「そうですね……」
グンセさんが不意に真面目な顔になる。
「ムノ、嬢ちゃんと……もう一度話したいか?」
「え?話したいですけど……でも、何処にいるかなんて分からないですよ」
「悪い意味でだが、あれだけ有名なDHなら調べようが有る。ムノ、どうするか決めろ」
「……」
僕はどうしたいのだろう。
彼女は、僕を受け入れてくれるかもしれない、初めての同世代の人だった。今となってみれば、全てを話して拒否されるのが……怖かった。
だから——僕はヒメさんから逃げた。
なら、今の気持ちは?
——拒否されるのは怖いけど、全てを話してみたい。
「彼女ともう一度話がしたいです」
「……そうか。やっぱりそういうと思ったぜ。ほら、これ見てみろ」
そういうと、グンセさんは僕に数枚の紙を見せてくる。
「これは……?」
「嬢ちゃんの家の住所だ。それに、これ見てみろ」
「……っ!」
数枚の紙に全てに目を通した後、僕のした事が、彼女をとても傷つけていたことを知った。
——僕は、彼女、ヒメさんに会わなければならない。
「ハッ。その顔、ムノにしちゃカッコいいぜ?」
「一言余計ですよ。でも……ありがとうございました。僕行ってきます」
「おう。青春だな」
グンセさんが茶化すように笑う。
「何言ってんですか……青春とかじゃないですよ。彼女は、僕のパーティーメンバーです」
「ハッまあ良い。じゃあ、その大事なパーティーメンバーを連れ帰って来い」
「ええ——行ってきます」
——そして、僕はグンセさんの店を飛び出した。




