第1章 到着
山を無事に降りることに成功した3人は、休みもせずに最初の目的である村へと歩き始めた。
疲労を感じるよりも強く、心を休めることを想って優先して動き始める。
しばらく歩くと狩人の家らしきものをみつけた3人はそこで悲惨な光景を目にする。
家の横腹はえぐれ、屋根は半分ほど落ち、もう家としての役割を果たすことはできないであろう状態になっていた。
「こりゃ、ひでえな」
「確かに、ありがたいね」
当たり前のように彼女は言った。
「そうだけど、聞かれたらまじいこと口走るのはやめろよ」
「村に泊まるにしろ、町を行き来するにしろ、お金がいる。こんな風になってるなら、きっと困ってるはず。 私たちで対処すれば、お金も寝床もご飯だって用意してくれる。解決してあげるんだ、聞かれたって問題ない」
「だからって、言っていい事と悪い事があるよ」
僕がそういうと、小声で「そうだね、ごめん」と一言言ってから
「でも、人助けになるし。私たちに必要なのも手に入る。早く調べよ」
そういって彼女は家だったものに近づいていった。
正直こんなに大きく家を破壊するような、大きな魔物と戦う準備なんて整えてないし、こんな辺境の村だ
頼めばきっと泊めてくれるだろうに。それにお金だって弱い魔物を退治すればいいのに。
「そうだな、いっちょやるか!」
この二人はそんなこと考えてないみたいだな......
いちおうどんな魔物か調べてから二人を止めるなら止めるか。
こうして、兄妹と僕は考えることは違うが家を調べることになった。
3人で壊れた家に近づき各々調べていくのだった。
さて、じゃあ始めますか。
家は大きくえぐれてる。これは大きな体で突進したか、強い力で壊したかの2択だ。強い力で壊したにしては、人間の使う道具の跡などはなく、爪痕もない。おそらくかなりの大きさ横幅は大人が手を広げたようなサイズ、高さは....壊れてる位置から推測するに12才くらいの子供の高さだろう。
中は....人の姿はない。だけど血痕がある、色、見た目、臭いから推測するに人間のものだろう。怪我はしたが生きてはいるみたいだ、寝床が壊された箇所から遠く、魔物に襲われた傷ではなく建物が壊れたときに傷ついたんだな。
壊れた部分をみるか。これは酒だな、それに少し時間が経ってる獣の血だ。かなり大きな猪を狩ったはいいが、小規模の村で解体が間に合わず、疲れていたこともあって解体し長期保存できるようにする前に狩人の仲間と祝いの酒を飲み、最低限の処置しかしてない猪の匂いを追ってここに来た。
そんな感じか。襲った魔物の一部は見つからないところを見るとかなり硬い皮膚を持ってるみたいだ。
まずいな僕たちは武器を持ってるとはいえ、自分のつかっていたものじゃない。あそこに保管してあった、ろくに手入れもされてない武器だ。
僕と彼女に至っては使っていた武器と形状さえ違う。こんな大物と戦える状態じゃないな。
「よし、無理だ。やめよう」
僕は高らかに宣言してこう続けた。
「もっと簡単に狩れる獲物を狩って部位を売ろう。そうすれば路銀くらいならすぐ稼げるさ」
「だめ、私はこいつを狩りたい」
そう言うと思った。こうなると止めれないんだよな。
僕は助けを求めて男の方をみるが男は目を逸らし、「やるしかねーだろ」っと半ばあきらめて言った。
「決まり、村は近くにある。村長を探して、私が交渉する。兄ナイフ貸して」
そう言ってナイフを借りると、いきなり肩まである長い薄いピンクの髪をバサッと切り落とし「いこう」と言って走り出した。僕たち二人も彼女を追いかける。
「おい!いきなりどうした。つかナイフ返せ」
「交渉するときに女だって舐められたくないから」そう言ってナイフを投げて返す。
右眼の下に少し大きな切り傷があるだけで、顔は紛れもなくかわいい女の子だし、騙すのは無理だと思うけど本人がそれでいいならいいか。
走ると5分ほどで村に着いた。抜けてきた森のような、鬱蒼とした木々はなくのどかな村だ。
近くには川があり、村の規模もそこそこ大きく農業や放牧もしているらしい。
ただやはり辺境の村らしく、よそ者が来たことを奇異の目で見られる。あまり気分のいいものでもないので3人は急いで村長の家らしき家を見つけ、交渉をしに行こうとするのだった。
3人はまだ名前を決めてないことに気付いていません。




