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もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第3章:魔物達の街

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第41話:クロネちゃん、クランに入りたい?

本日四本目です。

「今日もいっぱい案内しよう!」


「まだあるの?」


「あるよ!」


 シフォンちゃんが少しだけ遠い目をした。


「じゃあ次はこっち!」


「ユズちゃん」


「なに?」


「一応聞くけど」


 シフォンちゃんが妙に真面目な顔をする。


「この先、何かとんでもないものいたりしないよね?」


「いないよ?」


 《その返事怖い》


 《昨日も似たようなこと言ってた気がする》


 《ユズ様の「普通」「大丈夫」「いない」は信用するな》


「ほんとだよ!」


 《本当かなあ》


「もう!」


 私は頬を膨らませながら歩き出す。


 その後ろを。


 シフォンちゃんたち。


 クロネちゃん。


 それから今日は人の姿のコハクたちがついてくる。


「クロネちゃん、こっち!」


「うん」


「ここから先は、最近できた場所なんだよ!」


「へえ」


 昨日とは違って。


 クロネちゃんもすっかり普通に街を歩いていた。


 ……昨日は森の中からものすごい速度で突っ込んできたけど。



 ◇



「ここは倉庫!」


「大きい」


「いっぱい住むようになったからね!」


 新しく増設された倉庫。


 食べ物。


 布。


 木材。


 薬草。


 いろんなものが種類ごとに置かれている。


 最初の頃は、みんなが好きなところへ好きなものを置いていたけど。


 クロエたちが整理してくれたおかげで、今はかなり使いやすくなった。


「ここに食材」


「うん」


「こっちが日用品」


「うん!」


「奥が素材?」


「そう!」


 クロネちゃんが倉庫の中を見回す。


「ちゃんとしてる」


「でしょ!」


「ユズが作ったの?」


「ううん!」


「即答」


「クロエたち!」


「やっぱり」


「なんで!?」


 《草》


 《ユズ様の建築実績:最初の家崩壊》


 《そこ掘り返すなw》


「今はちゃんとした家あるもん!」


 《作ったの誰?》


「クロエたち!」


 《ですよね》


「むー!」


 そんな感じで。


 今日は本当に平和に街を案内していった。


 新しく作っている畑。


 水路。


 物置。


 休憩所。


 これから広げる予定の場所。


 途中。


 小さな魔物たちが走っていけば。


「かわいい!」


 私は立ち止まる。


「わふ!」


 シロも追いかけようとする。


「シロ待って!」


「わふ!」


 そして。


「…………」


 クロネちゃんも。


 少しだけそっちを見ていた。


「クロネちゃん」


「何?」


「今見てた?」


「見てない」


「見てたよ!」


「気のせい」


「昨日シロもいっぱい撫でてたよね?」


「それは昨日」


「今日は?」


「……」


 クロネちゃんがシロを見る。


「わふ?」


「……あとで」


「やっぱり触るんじゃん!」


 《完全にもふもふ好きで草》


 《もう隠せてない》


 《魔の森RTAする戦闘狂の弱点:もふもふ》


「弱点じゃない」


 《反応したw》


「クロネちゃん、コメントちゃんと見てるね!」


「たまに」


「私もいっぱい見てるよ!」


「知ってる」


「なんで?」


「全部反応するから」


「そうかな?」


「うん」


 隣でシフォンちゃんが頷いた。


「ユズちゃん、かなり反応するよ」


「そうなんだ」


 《自覚なかったのか》


 《ユズ様コメント拾いすぎ問題》


「でも楽しいよ?」


 《それならヨシ》


 《ヨシ》


「よし!」


「何が?」


「みんながいいって!」


「そう……」


 クロネちゃんが少しだけ笑った。



 ◇



 しばらくして。


 街の案内も一段落した。


「ふぅー!」


 私は伸びをする。


「今日はいっぱい見せられた!」


「昨日よりは平和だったね」


 シフォンちゃんが言う。


「だからそう言ったでしょ!?」


「そういえば」


 シフォンちゃんがクロネちゃんを見る。


「クロネ、今日はどうするの?」


「何が?」


「帰るの?」


「……たぶん」


「帰っちゃうの?」


 私は思わず聞く。


「一回」


「また来る?」


「来る」


 すぐだった。


「やった!」


 《即答》


 《また来るんだw》


 《目的は?》


 《古龍》


 《コハク》


 《シロ》


 《全部では》


「全部」


 クロネちゃんが普通に答えた。


「全部なんだ!?」


「うん」


 まずい。


 ちょっと嬉しい。


「じゃあ、またみんなで遊ぼう!」


「うん」


「グラちゃんとは戦っちゃダメだよ?」


「それはまだ諦めてない」


「ダメだよ!」


 少し離れたところから。


『我は今後も断るぞ』


 グラちゃんの声。


「まだ何も言ってない」


『言う前に断っておる』


「いつか」


『ない』


「いつか」


『ない』


 《強い》


 《グラちゃんガード固すぎ》


 《クロネVS古龍、永遠に始まらない》


「じゃあ」


 クロネちゃんがコハクを見る。


「またそっち」


「妾を代わりにするでない」


「昨日楽しかった」


「……」


 コハクが少しだけ黙る。


「コハクも楽しかった?」


「さてのう」


「楽しかったんだ!」


「何故そうなる!」


 絶対そうだと思う。


 二人、昨日からすごく仲良くなってるし。


「じゃあ帰る時、気をつけてね!」


 私が言うと。


 クロネちゃんが首を傾げた。


「うん」


「昨日みたいに走るの?」


「たぶん」


「大変じゃない?」


「行きより楽」


「そうなの?」


「道分かるから」


「でも魔物いっぱいいるよ?」


「避ける」


「あ、そっか!」


「納得しないでユズちゃん」


 シフォンちゃんがすぐに止めてくる。


「え?」


「普通はそれで解決しないから」


「でもクロネちゃんできたよ?」


「クロネだからね」


 《クロネだから》


 《便利な言葉》


 《一般化してはいけない》


 クロネちゃんは少し考えるように森の方を見る。


「でも」


「うん?」


「毎回は面倒」


「やっぱり大変なんじゃん!」


「面倒なだけ」


「同じじゃない?」


「違う」


「そうなの?」


「うん」


 よく分からない。


「また来たいけど」


 クロネちゃんが町を見る。


 シロ。


 コハク。


 それから。


 少し離れたところにいるグラちゃん。


「毎回走るのは面倒」


「じゃあ転移する?」


「ユズの?」


「うん!」


 一度行った場所なら。


 私は《転移》で移動できる。


「連れていこうか?」


「ユズがいる時しか使えない」


「あ」


 そうだった。


「じゃあ」


 クロネちゃんがシフォンちゃんを見る。


「クランハウス」


「え?」


「《暁ノ華嵐》って、クランハウスへの転移使えるよね」


「使えるけど」


 シフォンちゃんが少しだけ不思議そうな顔をする。


「急にどうしたの?」


「確認」


「うん。クランメンバーなら、登録してあるクランハウスへの帰還や、条件を満たした拠点間の転移は使えるよ」


「便利」


「まあね」


「魔の森の攻略でもかなり助かったし」


 ライラちゃんが続ける。


「ここまで来る間に作った拠点も、あれがあったから維持できた部分は大きいかな」


「なるほど」


 クロネちゃんが頷く。


「……?」


 なんだろう。


 急に真面目に聞いてる。


 《ん?》


 《クロネがクラン機能気にしてる》


 《珍しい》


 《こいつクラン興味なかったよな》


 《前に暁ノ華嵐から誘われて断ってなかった?》


「あ」


 シフォンちゃんもコメントを見て思い出したみたい。


「そういえばクロネ」


「何?」


「前に私たち、クラン誘ったよね?」


「うん」


「断ったよね?」


「うん」


「理由覚えてる?」


「群れるの興味ないから」


「そこまでしっかり覚えてるんだ……」


 ハルカちゃんが笑う。


「今も?」


「興味ない」


「変わってない!」


 《草》


 《ブレない》


 《じゃあ何でクランハウス聞いた》


「でも」


 クロネちゃんは少し考えてから。


「ここにはまた来たい」


「……」


 私は。


 ちょっと嬉しくなった。


「ほんと?」


「うん」


「シロいるし」


「わふ?」


「コハクもいる」


「妾を勝手に理由へ入れるでない」


「古龍もいる」


『我は戦わぬぞ』


「まだ何も言ってない」


『念のためだ』


「あと」


 クロネちゃんが私を見る。


「ユズもいる」


「私も?」


「うん」


「やった!」


「そこ喜ぶんだ」


 シフォンちゃんが笑う。


「だってまた来てくれるんだよ?」


「そうだね」


「じゃあ何回でも来ていいよ!」


「そのつもり」


 《完全に気に入ってる》


 《昨日来たばっかだよな?》


 《馴染むの早い》


 《来襲者から常連候補へ》


 でも。


 クロネちゃんはまだ何か考えているみたいだった。


「……毎回」


「うん?」


「森を走る」


「うん」


「面倒」


「うん」


「クランハウスなら転移」


「うん」


「メンバーなら使える」


「そうだね」


「……」


 シフォンちゃんの返事を聞いて。


 クロネちゃんは少しだけ黙った。


 そして。


「シフォン」


「なに?」


「《暁ノ華嵐》」


「うん」


「入れて」


「…………」


「…………」


「…………」


 みんなが止まった。


 私も。


 シフォンちゃんも。


 ハルカちゃんも。


 アカネちゃんも。


 エリスちゃんも。


 ライラちゃんも。


 モモカちゃんも。


 セレナちゃんも。


 ミオちゃんだけは。


「いいよ」


 すぐに答えた。


「ミオ!?」


「増えると楽しい」


「いや、それはそうなんだけど!」


 コメント欄も。


 一瞬遅れて。


 大変なことになった。


 《は??????》


 《今なんて》


 《クロネ!?》


 《クラン入るって言った!?》


 《あのクロネが!?》


 《前に断ってたじゃん!》


 《「群れるの興味ない」って本人さっき言ったぞw》


 《何があった》


「何も変わってない」


 クロネちゃんが言う。


「群れるのは今も興味ない」


「じゃあなんで!?」


 シフォンちゃんが聞く。


「転移」


「…………」


 《理由wwwww》


 《加入理由:交通手段》


 《クランをファストトラベル機能として見るな》


 《暁ノ華嵐に入りたい理由が転移w》


「だって」


 クロネちゃんは普通の顔で続ける。


「ここまで毎回走るの面倒」


「だからうちに入るの!?」


「うん」


「そんな理由で!?」


「ダメ?」


「いや、ダメとは言ってないけど……!」


 《シフォン困ってるw》


 《そりゃ困る》


 《日本トップクラスのプレイヤーが交通手段目当てで加入希望》


 《字面が強すぎる》


 クロネちゃんは。


 本当に何が問題なのか分かっていないみたいだった。


「それに」


「まだあるの?」


「ここ、気に入った」


「……」


 シフォンちゃんが止まる。


「また来たい」


 クロネちゃんはシロを見る。


 シロが首を傾げる。


「わふ?」


 コハクを見る。


「何じゃ」


 グラちゃんを見る。


『見るな』


 最後に。


 私たちを見る。


「だから」


 クロネちゃんはもう一度言った。


「入れて」


「…………」


 シフォンちゃんが。


 しばらく。


 本当にしばらく黙った。


 《シフォンフリーズ中》


 《処理落ち》


 《そりゃそうなる》


 《前に断られた相手から突然加入希望》


 《しかも理由が転移+また来たい》


「……クロネ」


「何?」


 ようやくシフォンちゃんが口を開く。


「一応確認するけど」


「うん」


「本気?」


「本気」


「クランって、転移使うだけの場所じゃないよ?」


「知ってる」


「最低限のルールとかもあるし、メンバーとして動いてもらうこともあるよ?」


「必要ならやる」


「一人で好きに動きたい時もあるでしょ?」


「それもやる」


「……両方やるんだ」


「うん」


 クロネちゃんは少しも迷わない。


「だから」


 もう一度。


「入れて」


 シフォンちゃんは。


 そんなクロネちゃんを見つめたまま。


「…………」


 また。


 考え込んでしまった。


「クロネちゃんも《暁ノ華嵐》になるの?」


 私が聞く。


「たぶん」


「じゃあみんな一緒だね!」


「クランが同じなだけ」


「同じじゃないの?」


「ちょっと違う」


「そうなの?」


「うん」


「でも仲間でしょ?」


「……」


 クロネちゃんが少しだけ考える。


「まあ」


 そして。


「それでもいい」


「やった!」


「まだ決まってないからね!?」


 シフォンちゃんの声が響いた。


 《草》


 《ユズ様もう加入決定扱い》


 《シフォン頑張れ》


 《これ加入したら暁ノ華嵐さらにやばくなるぞ》


 《クロネ加入とか日本鯖ざわつくだろ》


 《でも本人の目的は魔の森への交通手段》


 《温度差ひどいw》


「じゃあ」


 私はシフォンちゃんを見る。


「入れてあげる?」


「ユズちゃんが決めることじゃないよ!」


「あ、そっか!」


「もう……」


 シフォンちゃんは頭を押さえながら。


 もう一度クロネちゃんを見る。


「分かった」


「うん」


「ちゃんとみんなで話して決めよう」


「分かった」


「少し待ってて」


「待つ」


 クロネちゃんは。


 そのまま近くに座った。


 そして。


 当然みたいに。


「シロ」


「わふ?」


「こっち」


「わふ!」


 シロがクロネちゃんのところへ行く。


 クロネちゃんはその頭を撫で始めた。


「待ってる間にもふるんだ!」


「暇だから」


 《絶対それだけじゃない》


 《加入理由一個増えた》


 《転移》


 《古龍》


 《コハク》


 《もふもふ》


 《もう十分馴染んでるだろ》


「クロネちゃん!」


「何?」


「私も!」


「何が?」


「シロもふる!」


「……どうぞ」


「やった!」


 私はクロネちゃんの隣に座る。


「わふー!」


 シロのふわふわを二人で撫でる。


 その向こうでは。


 シフォンちゃんたちが集まって。


 本当にクロネちゃんをクランに入れるのか。


 真面目に話し合いを始めていた。


 でも。


 たぶん。


 大丈夫な気がする。


 だって。


「クロネちゃん」


「何?」


「またいっぱい遊ぼうね!」


「うん」


 クロネちゃんは。


 少しだけ笑った。


 どうやら。


 この街が気に入ったっていうのは。


 本当みたいだった。

面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。

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