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もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第3章:魔物達の街

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第38話:クロネ来襲

 ランキングに乗っているうちに、書き溜めているやつを全部投稿した方が良いと思ったので、今日と明日で三章の内容を全部公開します。四章はまだ全部は書けていないので、三章投稿し終えたら、次の投稿まで間が空くかもしれませんが、ご了承ください。


 今日はキリの良いところまで、16時から21時まで一時間ごとに六本投稿します。


 まずは一本目です。

 翌日。


 私がログインすると、昨日と同じように《暁ノ華嵐》のみんなはすでに町に来ていた。


「ユズちゃん、おはよー」


「おはよう!」


「わふ!」


 シロも元気よく鳴く。


 ユキは私の隣で小さく手を振って、コハクはいつものように尻尾を揺らしている。


『今日はどこを案内するつもりじゃ?』


「うーん……」


 昨日は工房とか蜂蜜とか、グラちゃんとか。


 いろいろあった。


 まだ見せたい場所は残っている。


「昨日の続き!」


「それは分かってるよ」


 シフォンちゃんが笑う。


「ただ、その前に」


「ん?」


「昨日の配信が終わった後に聞いたことで、ちょっとみんなにも話しておきたいことがあるんだけど」


「昨日?」


「うん」


 何だろう。


 昨日の配信が終わった後。


 みんなでお茶を飲みながら、いろんな話をした。


 邪神のこととか。


 グラちゃんが何か知ってそうだったこととか。


 ……結局、何を聞いても『知らぬ』って言われたけど。


「ユズちゃん、配信で話しても大丈夫?」


「いいよ!」


「じゃあ先にその話だけしよっか」


「うん!」


 少しして。


 シフォンちゃんが配信を開始する。


 目の前にコメントが流れ始めた。


「みんな、おはよー!」


 《きた!》


 《待ってた!》


 《昨日の続きだ》


 《今日も街案内?》


 《まだ案内するところあるのか》


 《昨日だけで情報量限界だったんだけど》


 《今日は平和で頼む》


「今日は昨日の続きで街を案内してもらう予定なんだけど」


 シフォンちゃんが言う。


「その前に、昨日配信を切った後にユズちゃんと少し話したことがあって」


 《ん?》


 《まだ情報あるの?》


 《やめて》


 《昨日分まだ整理できてない》


「そんな大した話じゃないよ!」


 私が言う。


 《ユズ様のその言葉は信用できない》


 《昨日それで古龍とか魔王出てきたんだぞ》


「今回はほんと!」


「たぶん大丈夫だと思う」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「昨日ね。ユズちゃんに、このゲームで何を目標にしてるのか聞いてみたの」


 《目標?》


 《そういや聞いたことないな》


 《召喚士だし魔物集め?》


 《国づくり》


「国じゃないよ!」


 《まだ言ってる》


「それで」


 シフォンちゃんが私を見る。


「ユズちゃん、もう一回言ってもらってもいい?」


「うん!」


 ゲームでやりたいこと。


 昨日も答えた。


「可愛い魔物にいっぱい会いたい!」


 《知ってた》


 《でしょうね》


 《一切の迷いがない》


「あと!」


 私は周りの町を見る。


 昨日より。


 ほんの少しだけ。


 また新しい建物が増えている。


「みんなが安心して暮らせる場所を、もっと大きくしたい!」


 《こっちは普通に大目標》


 《魔王の発言なんよ》


 《本人は国じゃないって言ってます》


「だから魔王は称号だから!」


 《称号《魔王》さん》


「もう!」


 コメントが楽しそうに流れていく。


 その中で。


 シフォンちゃんが本題を口にした。


「で、邪神討伐は?」


「目指さないよ?」


 《…………》


 《え》


 《即答》


 《邪神は?》


「だから、目指さない!」


 《マジで!?》


 《Lv121なのに!?》


 《古龍と契約してるのに!?》


 《称号魔王なのに!?》


 《攻略組じゃなかったwww》


「だって」


 私は首を傾げる。


「邪神を倒すより、可愛い魔物に会う方が楽しそうだし」


 《強い》


 《ブレねえ》


 《知ってた》


 《いや知ってたけど本当に言うとは思わなかった》


 《世界中が邪神攻略競争してるのに》


 《ユズ様だけ目的違う》


「みんな、そんなに邪神倒したいの?」


 《最終目標です》


 《一応このゲーム最大の目的なんですが》


 《世界初討伐で願い一つだぞ》


「あー」


 《今思い出した顔》


「覚えてるよ!」


 《怪しい》


「でも、今でも十分楽しいし」


 シロを見る。


「わふ?」


 ユキ。


 コハク。


 それから。


 町のみんな。


「まだ会ったことない魔物もいっぱいいると思うから、私はそっちがいいかな!」


 《この子だけ別のゲームしてない?》


 《またこの結論》


 《Lv121魔王「攻略興味ないです」》


 《攻略勢泣いていいぞ》


「それに」


「ん?」


 シフォンちゃんが私を見る。


「昨日グランヴェルさんも、ちょっと気になること言ってたよね」


「あ」


 《グランヴェル?》


 《古龍が何か言ったの?》


 私はグラちゃんを見る。


 少し離れたところで寝ていたグラちゃんが。


 片方の黄金色の目だけ開いた。


「グラちゃん、昨日言ってたよね?」


『何をだ』


「邪神のこと!」


『知らぬ』


「まだ何も聞いてないよ!?」


 《草》


 《先制知らぬ》


 《絶対何かあるだろw》


「昨日ね」


 私はコメントに説明する。


「邪神討伐の話してたら、グラちゃんが」


 思い出す。


『あれは、人の手で討伐を目指すような存在ではない』


「って言ったの!」


 《は????》


 《待て》


 《今さらっと何言った》


 《古龍がそれ言うの!?》


 《意味深すぎる》


 《邪神について知ってるじゃん》


「それで私たちも聞いたんだけど」


「何を聞いても」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「『知らぬ』しか言わなくなったんだよね」


「そう!」


「グランヴェルさん」


 ハルカちゃんが振り返る。


「本当に知らないの?」


『知らぬ』


「昨日と同じ!」


 《wwwww》


 《絶対知ってる》


 《口堅すぎる古龍》


 《古龍ですら警戒する邪神って何なんだよ》


 でも。


 グラちゃんが話したくないなら。


 無理に聞いても仕方ない。


「だから」


 私は言う。


「グラちゃんもこう言ってるし、私は邪神討伐は目指さないかな!」


「そこに戻るんだ……」


 シフォンちゃんが笑う。


「うん!」


「怖いとかじゃなくて?」


「それもあるけど」


 少し考えて。


「私は今やりたいことの方が大事!」


 《ユズ様らしい》


 《まあこれはこれで正しい遊び方》


 《ゲームなんだから好きに遊べばいいしな》


 《攻略勢じゃないLv121》


 《何度見ても意味分からん》


 《アメリカトップクラン平均80前後だぞ》


 《本人はステ振りすら昨日まで忘れてました》


「レベルは関係ないよ?」


 《関係なくLv121になるのおかしいんだよ》


「そうなの?」


 《そうだよ》


 よく分からない。


 でも。


 これで昨日話したことは説明できたみたい。


「じゃあ」


 シフォンちゃんが気を取り直す。


「邪神の話はいったんここまでにして」


「うん!」


「今日は昨日に引き続き、ユズちゃんに街の案内を――」


「ユズ様!」


「え?」


 大きな声がした。


 振り返る。


 町の外側から、何人かのアラクネたちがこちらへ走ってきていた。


 その先頭にいるのは、ゼルフィナ。


 普段は落ち着いている彼女が、今日は明らかに慌てている。


「ゼルフィナ?」


 《ん?》


 《なんだ》


 《護衛の人だ》


 《走ってきたぞ》


 《何かあった?》


 《事件?》


 《おい》


 《今日も平和じゃないのか》


 《邪神の話終わった瞬間これ》


「ユズ様」


 ゼルフィナが私の前で止まる。


「どうしたの?」


「人間が一人、こちらへ向かっています」


「人間?」


 シフォンちゃんたちの表情が少し変わった。


「プレイヤー?」


「分かりません」


 ゼルフィナは首を横に振る。


「ただ」


「ただ?」


「かなりの速度で接近しています」


「かなり?」


「ものすごく、です」


 《は?》


 《ものすごく?》


 《どれくらい》


 《敵襲?》


 《人間一人?》


 《ここ魔の森中心だぞ》


 《どうやって来た》


「止まる様子は?」


 ライラちゃんが聞く。


「ありません」


「こっちに一直線?」


「はい」


「……」


 《暁ノ華嵐》のみんなが顔を見合わせた。


「そんなはずないよね」


 シフォンちゃんが呟く。


「私たち以外で、ここまでのルートを知ってる人なんて……」


「昨日かなり配信で映したけど」


 ハルカちゃんが言う。


「だからって、一日で来られる距離じゃないでしょ」


「普通はね」


 ライラちゃんの声も真面目だった。


 《怖》


 《配信切った方がいい?》


 《何が来てるんだ》


 《プレイヤーだったら誰だよ》


 《魔の森中心まで単独で来る人間とか嫌すぎる》


「見に行こう!」


「ユズちゃん!?」


「だってお客さんかもしれないよ?」


「その速度で突っ込んでくるお客さん嫌だなあ……」


「でも来てるんでしょ?」


「そうだけど」


「じゃあ行こう!」


「……まあ、放っておくわけにもいかないか」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「配信は?」


「とりあえず続けるよ。何か危なそうなら切る」


 《了解》


 《無理だけはするな》


 《でも気になる》


 《めちゃくちゃ気になる》


 私たちはゼルフィナたちについて町の外側へ向かった。



 ◇



 町の外周。


 森との境目。


 そこには何人もの護衛役の魔物たちが集まっていた。


「どっち?」


「あちらです」


 ゼルフィナが森の奥を指す。


 私は目を凝らす。


 木々の間。


 茂み。


 今のところ、何も見えない。


「いないよ?」


「来ます」


「え?」


 その直後。


 ガサッ!


 ずっと奥の茂みが大きく揺れた。


 《来た?》


 《なんか動いた》


 《速っ》


 《え》


 《何かいる》


 次の瞬間。


 森の奥を、一つの影が横切った。


「え?」


 もう一度。


 今度はさっきより近い。


「速っ!」


 私が声を上げる。


 《画面追いついてないw》


 《人影だ》


 《本当に一人》


 《速すぎる》


 《何だあれ》


 木を蹴って。


 地面を蹴って。


 枝の隙間を縫うように。


 ものすごい勢いで、こっちへ近づいてくる。


 そして。


 最後に大きく跳んだ。


「わっ!」


 私たちの少し前。


 地面へ軽く着地する。


 土が少し舞った。


「……着いた」


 女の子だった。


 長い髪は淡いピンク色。


 毛先にかけて少し紫が混じっていて、背中の辺りまでふわっと広がっている。


 黒を基調にした大きなフード付きの上着。


 内側には紫。


 ところどころにリボンや金具、星やハートみたいな飾り。


 短い黒のパンツと、ベルトの多い大きなブーツ。


 可愛い。


 でも。


 それ以上に目についたのは。


「角……」


 フードの上から、黒紫色の大きな角が二本、しっかりと外へ出ていた。


 飾りじゃない。


 フードの形が、最初から角を通せるようになっているみたいだった。


 その下から覗く耳も、人間より少し長く尖っている。


 魔族。


 たぶん。


 そんな感じ。


 女の子が顔を上げる。


 紫色の瞳。


 ちょっと眠そうにも見えるのに、目だけは妙に鋭い。


「……いた」


「え?」


 その子が私を見る。


「ユズ」


「私?」


「うん」


「知ってるの?」


「知ってる」


「なんで?」


「配信見てたから」


「おお!」


「おお、じゃないよ!」


 隣でシフォンちゃんが叫んだ。


「クロネ!?」


「ん」


「え?」


 私はシフォンちゃんを見る。


「知り合い?」


「知り合いっていうか……」


「クロネだよ」


 女の子が自分を指す。


「クロネ」


 《は??????》


 《クロネ!?》


 《なんで!?》


 《マジでクロネ!?》


 《嘘だろwww》


 《昨日の魔の森RTA》


 《本当にやったの!?》


 《前スレで言ってた奴出てこい》


「すごい!」


 私が言うと、クロネちゃんは少しだけ首を傾げた。


「何が?」


「ここまで来たこと!」


「道あったから」


「道?」


 シフォンちゃんが聞き返す。


「どうやって来たの?」


「配信」


「配信?」


「昨日、かなり道映ってたでしょ」


「……」


「簡易拠点の位置も見えたし、進む方向も分かった」


「それで?」


「来た」


「来たって……」


 シフォンちゃんが額を押さえる。


「道が分かってても、魔物がいるんだけど?」


「いた」


「いたよね!?」


「うん」


「どうしたの?」


「避けた」


「……全部?」


「だいたい」


「倒してないの?」


「なんで?」


「なんでって」


 クロネちゃんは本当に不思議そうな顔をした。


「倒す必要なくない?」


「……」


「……」


「……」


 《出たwwww》


 《本当に言ったw》


 《掲示板予言者いて草》


 《魔物倒す必要なくない?》


 《それを実行できる奴が何人いると思ってる》


 《公開ルートをRTAチャートに変換するな》


 《暁ノ華嵐が何ヶ月もかけて見つけた道を高速道路扱いするなw》


「ちょっと待って」


 シフォンちゃんがクロネちゃんを見る。


「それ、私たちがルート見つけてなかったら無理だったでしょ?」


「たぶん」


 クロネちゃんはあっさり頷いた。


「道探すの面倒だから助かった」


「そこはちゃんと認めるんだ……」


「探索するより、分かってる道走る方が楽」


「普通はその『走る』ができないんだけどね」


「そう?」


「そうだよ!」


 クロネちゃんはあまり納得していないみたいだった。


「でも」


 私は少し感心する。


「クロネちゃん、すっごく速いね!」


「そう?」


「うん! 途中ほとんど見えなかった!」


「AGI高いから」


「えーじーあい?」


「ユズちゃん」


 エリスちゃんが疲れたように言う。


「昨日見たよね?」


「あ」


 そういえば。


 ステータスにあった。


「速さのやつ!」


「そう」


「クロネはかなりAGI寄り」


 シフォンちゃんが説明してくれる。


「日本サーバーでもトップクラスの戦闘系プレイヤーだよ」


「すごい!」


「Lv80超えてるしね」


「高い!」


「ユズちゃんの方がレベルは高いけど」


「でも私、走るの遅いよ?」


「比較する場所そこなんだ」


 クロネちゃんが私を見る。


「Lv121」


「うん!」


「INT630」


「うん!」


「他10」


「うん!」


「……面白い」


「そう?」


「かなり」


 《クロネに面白がられたw》


 《戦闘狂に目つけられるな》


 《でも本人戦わないぞ》


 《INT630他10はそりゃ気になる》


「それで」


 私は聞く。


「クロネちゃん、ここに何しに来たの?」


「古龍」


「グラちゃん?」


「それ」


「グラちゃんに会いに来たんだ!」


「うん」


 クロネちゃんの目が、さっきより少しだけ楽しそうになった。


「戦いたい」


「やっぱり!」


 シフォンちゃんが叫ぶ。


「絶対それだと思った!」


「ダメだよ?」


「なんで?」


「グラちゃん、そういうの嫌がるから」


「聞くだけ」


「昨日ミオちゃんも断られてたよ?」


「知ってる」


「配信見てたんだ……」


「うん」


 すると。


 少し後ろにいたミオちゃんが、クロネちゃんの隣へ来た。


「私も戦いたい」


「分かる」


「分からなくていい!」


 ハルカちゃんがすぐに突っ込む。


 クロネちゃんとミオちゃんが顔を見合わせる。


「強そうなの見ると戦いたくなるよね」


「なる」


「ならない!」


「普通はならないから!」


 シフォンちゃんまで止めに入る。


 《戦闘狂が増えた》


 《ミオとクロネ混ぜるな危険》


 《意気投合する場所そこかよ》


 《グラちゃん逃げて》


 《いや逃げる必要ないだろ》


「じゃあ」


 クロネちゃんが私を見る。


「案内して」


「いいよ!」


「ユズちゃん!?」


「だって会いに来たんでしょ?」


「そうだけど!」


「戦うのはグラちゃんがいいって言ったらね!」


「それでいい」


「絶対言わないと思う」


「一応聞く」


「じゃあ行こ!」


 私は先頭に立つ。


 なんだか。


 予定してた街案内と違う気がするけど。


 まあ。


 いっか!



 ◇



「グラちゃーん!」


『……今度は何だ』


 町の奥。


 いつもの場所で休んでいたグラちゃんが、面倒そうに顔を上げた。


 その黄金色の目が、私、シフォンちゃんたち、そしてクロネちゃんへ向く。


『……また人が増えたのか』


「この子クロネちゃん!」


「クロネ」


『そうか』


 クロネちゃんはグラちゃんを見上げる。


 じーっと。


 本当に。


 すごく嬉しそうに。


「あなたが古龍?」


『そうだ』


「強い?」


『……』


「戦って」


『断る』


「早い」


『貴様も昨日の小娘と同じ目をしている』


「分かる?」


『分かる』


「一回だけ」


『断る』


「少しだけ」


『断る』


「手加減していいよ」


『断る』


「私が?」


『我がだ』


「それならいい」


『よくない』


「……残念」


 ミオちゃんが隣から言う。


「私も同じこと言われた」


「仲間」


「仲間」


「仲間になるな!」


 《wwwwww》


 《昨日と同じ流れ》


 《グラちゃん慣れてる》


 《戦闘狂判定が速い》


 《ミオとクロネ仲良くなってて草》


「本当にダメ?」


『ダメだ』


「なんで?」


『面倒だからだ』


「強い相手と戦うの楽しいよ?」


『我は楽しくない』


「そっか」


 意外とあっさり。


 クロネちゃんは引いた。


「諦めるんだ?」


「嫌がってるなら仕方ない」


「おお!」


「でも」


「でも?」


 クロネちゃんの視線が、ゆっくり横へ動いた。


「他に」


 そして。


 止まる。


「強いのいる?」


「強い?」


「うん」


 その視線の先。


 そこには。


 白い狐姿のコハクがいた。


『……何じゃ?』


 コハクもクロネちゃんを見る。


「……」


「……」


 少しだけ。


 二人の間に変な空気が流れた。


 クロネちゃんが、ほんの少し笑う。


「……あれ」


「ん?」


「強そう」


『ほう』


「コハク?」


『何でもないぞ、お主』


「?」


 《ん?》


 《クロネ反応した》


 《狐?》


 《やっぱあの喋る狐何かあるだろ》


 《昨日から怪しいって言われてたやつ》


 《待て勝手に決めつけるな》


 《でもクロネが反応したぞ》


 《嫌な予感》


 私はコハクを見る。


「コハク強いの?」


『さてのう』


「知らないの?」


『どうじゃろうな』


「えー」


 クロネちゃんは、まだコハクを見ている。


 コハクも、どこか面白そうにクロネちゃんを見返していた。


 なんだろう。


 また何か起こりそうな気がする。


「まあいっか!」


「よくない気がする」


 シフォンちゃんが小さく呟いた。


「え?」


「なんでもない」


 そんなこんなで。


 昨日の続きの街案内配信は。


 邪神討伐に興味がないことを話した直後。


 知らない魔族の女の子が魔の森を走り抜けてやってくるという。


 まったく予定になかった展開になってしまった。


 でも。


「クロネちゃんも一緒に街見る?」


「見る」


「やった!」


 お客さんが増えたなら。


 それはそれで楽しいかもしれない。


 ……シフォンちゃんたちは。


 なぜか今日も。


 疲れたような顔をしていたけど。

挿絵(By みてみん)

↑クロネの立ち絵


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