↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第3章:魔物達の街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/57

第35話:そういえばステータス、見てなかった

本日5本目です。

 目の前に、ものすごく久しぶりのステータス画面が開く。


 最初に目に入ったのは、一番上に表示された数字だった。


 《ユズ Lv.121》


 《HP:1300》

 《MP:700》

 《SP:700》


「……あれ?」


 私はもう一度、一番上を見る。


 見間違いじゃない。


「121?」


「…………」


 シフォンちゃんたちが黙った。


 さっきまで勢いよく流れていたコメントまで、一瞬だけ止まったような気がする。


「結構上がってる!」


 《結構!?》


 《Lv121!?》


 《ファーーーーwwww》


 《待て待て待て》


 《121って何》


 《ユズ様いつの間にそんなレベルに》


 《古龍との契約経験値やばすぎない?》


 《日本鯖のトップ層より上じゃねえか》


「ユズちゃん」


「なに?」


 シフォンちゃんが、ものすごく真剣な顔で私を見ている。


「本当に今まで気づいてなかったの?」


「うん?」


「レベル121だよ?」


「表示されてるね!」


「そうじゃなくて……」


 ハルカちゃんが頭を抱えた。


「自分のレベルがそんなに上がってたら、普通どこかで気づかない?」


「でも、さっき言った通りステータス見てなかったし」


 通知も、シロと契約した頃に全部切ったまま。


 だから、いつレベルが上がったのかも全然分からない。


「シロと契約した時は、まだこんなレベルじゃなかったよ?」


「それはそうだろうね……」


 《通知OFFの弊害がでかすぎる》


 《Lv121まで気づかず来れるものなのか》


 《ユズ様だから来れたんだろ》


 《この子だけ別のゲームしてない?》


「でも」


 私は改めてステータスを見る。


 HPが1300。


 MPが700。


 SPも700。


「いっぱいあるね」


「そりゃLv121だからね」


 エリスちゃんが答える。


「レベルが上がるだけでも、HPとMPとSPは自動で増えるから」


「あ」


 そういえば。


 ゲームを始めた時、システムさんがそんな説明をしていた気がする。


 一レベル上がるごとに、HPは十。


 MPとSPは五ずつ。


「そっか」


 私は特にMPの数字を見る。


 七百。


 思っていたより、ずっと多い。


「だから転移をいっぱい使っても、あんまり疲れなかったんだ」


「…………」


 また。


 みんなが止まった。


「ん?」


 シフォンちゃんが、ゆっくりこちらを向く。


「ユズちゃん」


「なに?」


「今、何て言った?」


「だから、転移をいっぱい使っても――」


「そこ」


「え?」


「転移って何?」


「転移?」


 何を聞かれているのか分からなくて、首を傾げる。


「転移は転移だよ?」


「それじゃ何も分からない」


 エリスちゃんに言われた。


 《転移???》


 《今さらっと言ったぞ》


 《また知らない情報出てきた》


 《場所移動系のスキル?》


 《ユズ様そんなの持ってたの?》


「えっとね」


 私はちゃんと説明することにした。


「自分が一回行ったことのある場所に、ぱって移動できるスキル!」


「……」


「近くにいる子も、一緒に行きたいって思ってたら連れていけるよ!」


「……他の人も?」


「うん!」


 シフォンちゃんたちの表情が、また変わった。


「何人くらい?」


「分かんない」


「分かんないんだ……」


「でも、クロエたちのお引っ越しの時は何回も使ったよ!」


「何回も?」


「うん。みんな一回じゃ運べなかったから」


 あの時は、アリさんたちを何度も往復して運んだ。


 結構たくさん転移したけど、倒れたりするほど疲れた覚えはない。


 今なら理由が分かる。


「MPが七百もあったからだったんだね!」


 《複数人転移!?》


 《待て普通にヤバいスキルじゃない?》


 《拠点間移動できるってこと?》


 《それを引っ越しに使ってたのかw》


 《ユズ様にとって転移=引っ越し手段》


 《MP700で何回も往復してたのね》


「ユズちゃん」


 エリスちゃんが額に手を当てる。


「そのスキル、どこで覚えたの?」


「ノアちゃんにもらった!」


「…………」


 また止まった。


「あれ?」


 今度はコメントの方が先に動いた。


 《ノア???》


 《さっきのノアちゃん!?》


 《古龍を小竜って教えたあの子!?》


 《あの悪戯好きそうな友達かw》


 《……いや待て》


 《転移スキル渡してるの???》


 《ノアって何者だよwww》


 《さっきまで面白い友達だと思ってた俺らが間違ってた》


 《ユズ様の友達なら普通だろって思ってた俺が馬鹿だった》


 《古龍を小竜って言って遊んでる場合じゃねえぞノア》


「なんで!?」


 さっきよりノアちゃんへの扱いが悪くなってる。


「ノアちゃんは普通だよ!」


 《ユズ様の「普通」はもう信用できない》


 《蜘蛛糸と蜂蜜を見た後にそれ言われてもな》


 《普通の友達は転移スキルくれないんよ》


「普通だもん!」


 ノアちゃんはちょっと不思議なところはあるけど。


 優しいし。


 可愛いし。


 友達だし。


「でも」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「転移のスキルをもらったって、どうやって?」


「本でもらったよ?」


「本?」


「うん。スキルブック!」


「……転移の?」


「そう!」


 《転移スキルのスキルブック渡してくる友達》


 《ますます何者だよ》


 《ノアちゃん急に正体が気になってきた》


 《さっきまで小竜って教える愉快な友達だと思ってたのに》


「愉快な友達じゃないよ!」


 失礼だ。


「どんな子なの?」


 ハルカちゃんが聞く。


「ピンクの髪の女の子!」


「うん」


「すごく物知り!」


「うん」


「よく急に現れる!」


「……うん?」


「あと、自分でも転移できるよ!」


「…………」


 ハルカちゃんがシフォンちゃんを見る。


 シフォンちゃんがエリスちゃんを見る。


 エリスちゃんは静かに首を振った。


「何?」


「情報が増えるたびに普通から遠ざかってる」


「なんで!?」


 《草》


 《やっぱり絶対普通じゃない》


 《急に現れて転移できて転移スキルくれる》


 《ユズ様の交友関係どうなってるんだ》


 《古龍からも何か察されてたしな》


「ノアちゃん優しいよ?」


「そこは疑ってないよ」


「じゃあ普通!」


「それとこれとは別かな」


「えー」


 納得いかない。



 ◇



「まあ」


 シフォンちゃんが一度手を叩く。


「ノアちゃんについては、すごく気になるけど今は置いておこう」


「気になるの?」


「かなり」


「紹介しようか?」


「できるの?」


「分かんない!」


「じゃあ今はいいかな……」


 そう言って、シフォンちゃんが私のステータス画面を見る。


「それより、まだ途中だから」


「あ、そうだった」


 レベルとHPとMPとSPしか見てなかった。


「次は……」


 その下に並んでいる数字を見る。


 《STR:10》

 《VIT:10》

 《INT:10》

 《MND:10》

 《AGI:10》

 《DEX:10》


「……」


 うん。


 六つとも十。


 ゲームを始めた時も、こんな数字だった気がする。


「…………」


「あれ?」


 また静かになった。


「どうしたの?」


 エリスちゃんが、ゆっくり私を見る。


「ユズちゃん」


「うん?」


「この六つ」


「うん」


「全部10だよね」


「そうだね?」


「初期値だよ?」


「……そうなの?」


「そうなの!? じゃないよ!」


 《全部10wwww》


 《初期値じゃねーかw》


 《Lv121で全ステ10!?》


 《嘘だろw》


 《ステ振りしてない???》


 《レベルだけ121でステータスLv1なの草》


「でもレベルは121だよ?」


「だから余計におかしいんだって!」


 ハルカちゃんが言う。


「普通、レベル上がったらステータスポイント振るでしょ!」


「ポイント?」


「ステータスポイント!」


「あ」


 それなら聞いたことがある。


「そういえばあったね!」


「そういえば!?」


 シフォンちゃんまで大きな声を出した。


「最初に二十ポイントもらって、レベルが上がるたびに五ポイント増えるやつ!」


「うん。多分それ」


「多分じゃなくて……」


 エリスちゃんがステータス画面の下を指差す。


「未使用ポイントのところ見て」


「これ?」


 言われた場所を見る。


 《未使用ステータスポイント:620》


「……」


 今度は私もちょっと止まった。


「いっぱいある」


「いっぱいどころじゃない!」


 《620!?》


 《六百二十wwww》


 《120レベル分全部残ってる》


 《初期20+120×5=620》


 《綺麗に一回も使ってねえw》


 《本当にLv1から放置してたのか》


「何で!?」


 シフォンちゃんが聞いてくる。


「どうして一回も振ってないの!?」


「えっと……」


 ちょっとだけ思い出す。


 ゲームを始めたばっかりの時。


 STR。


 VIT。


 INT。


 MND。


 AGI。


 DEX。


 知らない英語がいっぱい並んでいて。


 どれに振ったらいいのか分からなかった。


「後で決めようと思って」


「うん」


「そのまま忘れてた!」


「…………」


 《知ってた》


 《ユズ様ならそうだと思った》


 《「後でやる」で120レベル放置》


 《忘れすぎwww》


「だって困らなかったし」


「それが一番おかしいんだよ……」


 エリスちゃんがため息をつく。


「普通なら、ステータスを初期値のまま高レベル帯で活動するのは相当厳しいよ」


「そうなの?」


「そう」


「でも、シロたちがいるし」


 私はシロを見る。


「わふ?」


 隣には、人の姿になっているユキ。


 その近くにはコハクもいる。


『何じゃ?』


 そして、少し離れたところには。


『……我を見るな』


 グラちゃん。


「みんないるから大丈夫だったよ?」


「それ……」


 アカネちゃんが苦笑する。


「召喚士としては正しいっちゃ正しいんだけどな」


「でも極端」


 ミオちゃんがぼそっと言った。


 《本人が戦わなくても召喚獣が強すぎる》


 《ステータス初期値でも古龍連れてるから問題ないの草》


 《召喚士として正しいのか間違ってるのか分からん》


 《ユズ様本人より召喚獣が全部解決してる》


「あと」


 エリスちゃんが、さらに下を指差した。


「こっち」


「ん?」


 《未使用スキルポイント:125》


「……」


 私は数字を見る。


「こっちもいっぱいある!」


「なんで嬉しそうなの?」


「いっぱいあるから!」


「貯金じゃないんだよ」


 《125www》


 《スキルポイントまで全部残してる》


 《ポイントというポイント全部貯めてる》


 《使うという発想がない》


「でもスキルは増えてるよ?」


「自然習得したやつ?」


「多分!」


「転移は?」


「ノアちゃんにもらった本!」


「つまり、それもポイントを使ってない」


「うん!」


「……なるほど」


 エリスちゃんが遠い目をした。


「一応、筋は通ってる」


「でしょ?」


「褒めてない」


「えー」



 ◇



「じゃあ」


 シフォンちゃんが言う。


「せっかくだし、今ステータスポイント振っちゃう?」


「今?」


「620もあるんだよ?」


「使わずに置いておく方がもったいない」


 エリスちゃんも頷く。


「そっか」


 私はもう一度、六つのステータスを見る。


 STR。


 VIT。


 INT。


 MND。


 AGI。


 DEX。


「……」


 やっぱり分からない。


「召喚士って、何に振ればいいの?」


「そこから!?」


 ハルカちゃんが叫んだ。


「だって分かんないんだもん」


「Lv121の人がする質問じゃないよ!」


 《草》


 《今さら初心者質問w》


 《レベルだけ見たら大ベテラン》


 《本人の知識がゲーム開始時から進んでない》


「普通の召喚士なら」


 エリスちゃんが説明してくれる。


「契約した魔物への支援とか、魔法系のスキルを使うことを考えると、INTを中心に上げる人が多いと思う」


「INT?」


「知力」


「あー!」


 それなら覚えてる。


 魔法とかに関係するやつ。


「もちろん、全部INTってわけじゃないよ」


 セレナちゃんも説明してくれる。


「MNDを上げたり、本人が倒されないようにVITへ回したり、その人の戦い方によって変わります」


「なるほど」


 つまり。


「INTが大事なんだね!」


「まあ、基本的には――」


「じゃあ全部入れちゃえ!」


「待って」


「え?」


「待って待って待って!」


 今度はハルカちゃんまで止めてきた。


「何?」


 《待てユズ様》


 《全部!?》


 《620全部!?》


 《今の説明聞いてた?w》


 《相談の意味www》


 《いきなり極振りしようとしてる》


 私はINTの横にある割り振り画面を見る。


 今は10。


 残っているポイントが620。


 全部入れたら。


「630になるね!」


「計算は合ってる!」


 シフォンちゃんが珍しく大きな声を出した。


「でも、ちょっと待とう?」


「なんで?」


「なんでって……」


 シフォンちゃんが言葉に詰まる。


 それからエリスちゃんを見る。


「エリス?」


「……いや」


 エリスちゃんも少し考え込んだ。


「何?」


「召喚士で、自分はほとんど前に出ない。しかも今までステータス初期値でも困らなかったなら……INTに大きく振ること自体は、別におかしくない」


「でしょ!」


「ただし」


 エリスちゃんが強調する。


「だからって、620ポイント全部を何も考えず一気に入れる人は普通いない」


「いるよ!」


「誰?」


「私!」


「そういう意味じゃない!」


 《草》


 《本人が実例になろうとするなw》


 《説得力があるようでない》


 《ユズ様なら本当にやるから怖い》


 私はもう一度画面を見る。


 《INT:10》


 その横に、割り振るポイントを入力する。


 《+620》


 全部。


 あとは確定するだけ。


「じゃあ――」


「待って!」


「まだ押してないよ?」


「その指下ろして!」


「えー?」


 みんなが止めるから、確定ボタンの上で指を止める。


「そんなに悩むこと?」


「普通は悩む!」


 《絶対そのまま全部入れる気だろw》


 《ユズ様その手を止めろ》


 《一回考えてから押そう?》


 《いやこの顔は押す》


 《誰かユズ様からメニュー取り上げろw》


 《止められる気がしない》


 シフォンちゃんたちの声と、大量のコメント。


 その両方に止められながら。


 私は《+620》と表示されたINTを見つめた。


「……全部でいいと思うんだけどなあ」

面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。