↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第3章:魔物達の街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/57

第36話:魔王って何?

本日6本目です。

「……全部でいいと思うんだけどなあ」


 私が《+620》と表示されたINTを見つめていると、シフォンちゃんがものすごく不安そうな顔をした。


「ユズちゃん」


「なに?」


「本当に全部入れるの?」


「うん!」


「即答なんだ……」


「だって、召喚士はINTが大事なんでしょ?」


「大事ではあるけど」


 シフォンちゃんがエリスちゃんを見る。


 エリスちゃんも、まだ少し考えているみたいだった。


「……一応、理屈としては間違ってない」


「ほら!」


「ただし」


 すぐに続けられた。


「普通はVITとかMNDにも多少は回す」


「なんで?」


「本人が倒されにくくするため」


「でも」


 私はシロを見る。


「わふ?」


 ユキを見る。


 コハクを見る。


『何じゃ?』


 それから、少し離れたところにいるグラちゃんを見る。


『……だから我を見るな』


「みんないるよ?」


「そこなんだよなあ……」


 アカネちゃんが苦笑する。


 《正論なのが困る》


 《護衛が強すぎる》


 《VIT10でも本人まで攻撃届かなそう》


 《いや普通は古龍を護衛に数えないんよ》


「それに」


 エリスちゃんが続ける。


「今まで全ステータス10で困ってないなら、ユズちゃん本人が前に出る戦い方じゃないのは確か」


「うん!」


「INTに大きく寄せること自体は、あり」


「じゃあ全部!」


「大きく寄せると全部は同じじゃない!」


 《草》


 《そこは別問題w》


 《ユズ様0か100しかない》


 でも。


 少しだけ考えてみる。


 VIT。


 MND。


 STR。


 AGI。


 DEX。


「…………」


 よく分からない。


 だったら。


「やっぱり全部INTでいいや!」


「決断が早い!」


「押すね!」


「待っ――」


 ぽち。


 《ステータスポイントを割り振りました》


 《INT:630》


 《未使用ステータスポイント:0》


「おおー!」


 十だった数字が、一気に六百三十になった。


「すごく増えた!」


「…………」


 《押したwwww》


 《本当に全部入れた》


 《INT630!?》


 《10→630は草》


 《他全部10》


 《INTだけ630》


 《尖りすぎだろw》


 《ユズ様らしい》


「ユズちゃん……」


 シフォンちゃんが頭を押さえている。


「何?」


「もう少し悩んでもよかったと思う」


「いっぱい悩んだよ?」


「どこで?」


「みんなが止めてる間!」


「それは悩んでたんじゃなくて待ってただけ!」


「そうなの?」


 《草》


 《待機時間を思考時間扱いするなw》


 私はもう一度ステータスを見る。


 《STR:10》

 《VIT:10》

 《INT:630》

 《MND:10》

 《AGI:10》

 《DEX:10》


「なんか一個だけすごい!」


「自分でやったんだよ」


 エリスちゃんに言われた。



 ◇



「次は」


 エリスちゃんが、その下へ視線を向ける。


「スキルポイント」


「あ」


 《未使用スキルポイント:125》


「これも使う?」


「待って」


 今度はシフォンちゃんだけじゃなかった。


 エリスちゃん。


 ハルカちゃん。


 セレナちゃん。


 何人かに同時に止められた。


「まだ何もしてないよ?」


「する顔だった」


「どんな顔?」


「全部使おうとしてる顔」


「えー」


 《止めろw》


 《今度こそ止めろ》


 《125全部適当に突っ込む未来が見える》


「スキルはステータスより選択肢が多いから」


 エリスちゃんが真面目な顔で言う。


「これはちゃんと見てから決めた方がいい」


「でも自然に覚えることもあるよ?」


「ある」


「じゃあ困った時でよくない?」


「…………」


 エリスちゃんが黙った。


「エリスちゃん?」


「その考え方で転移まで持ってるのが納得いかない」


「なんで!?」


 《わかる》


 《ポイント使ってないのにスキル充実してるの草》


 《ノア案件が強すぎる》


「とりあえず」


 シフォンちゃんが言う。


「スキルポイントは今日は保留にしよっか」


「はーい」


 別に急いでないし。


 また今度でいい。


「じゃあ終わり?」


「……いや」


 エリスちゃんがステータス画面のさらに下を見る。


「ユズちゃん」


「うん?」


「称号は?」


「称号?」


「そこ」


 指差されたところを見る。


「あー」


 そういえば。


 そんなのもあった気がする。


「これ?」


「そう」


 私は《称号》の欄を開く。


 いくつか名前が並ぶ。


 見覚えがあるような。


 ないような。


 その中に。


 一つだけ。


「……ん?」


 知らないものがあった。


 《魔王》


「……魔王?」


「…………」


 また。


 全員が止まった。


 《は?》


 《魔王!?》


 《ユズ様????》


 《ちょっと待てwww》


 《称号まで王になってる》


 《国じゃないって言ってたよな!?》


 《本人だけ知らないの草》


「え?」


 私はもう一度見る。


 やっぱりある。


 《魔王》


「……なんで?」


「それはこっちが聞きたい」


 ハルカちゃんが言った。


「ユズちゃん、魔王だったの?」


「知らないよ!」


「本人が一番驚いてる……」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「でも」


 私は少し不安になった。


「魔王って、悪いやつじゃないの?」


「まず説明を見てみよう」


 エリスちゃんに言われて、《魔王》を選ぶ。


 説明が開く。


 《魔王》

 《多数の魔物から、その中心となる存在として認められた者に与えられる称号》


 《効果》

 《魔物との友好・交渉判定に補正》

 《自身を慕う魔物との意思疎通が容易になる》


「…………」


「…………」


 私は一番上から。


 もう一度読む。


「悪いって書いてない!」


「そこが一番気になってたんだ」


 シフォンちゃんが笑う。


「よかった!」


 《安心するとこそこなのかw》


 《悪の王って意味じゃないのね》


 《魔物の王って感じか》


 《いやそれユズ様そのままじゃん》


 《効果までユズ様向けで草》


 《魔物との友好補正》


 《これ以上仲良くなってどうするんだ》


「しかも」


 エリスちゃんが説明欄を見ながら呟く。


「かなりユズちゃん向きの効果だね」


「そう?」


「魔物との友好や交渉に補正。それに、ユズちゃんを慕ってる魔物との意思疎通も補助される」


「便利そう!」


「便利そう、で済ませるんだ……」


 《ユズ様専用称号みたいになってる》


 《そりゃ付くわ》


 《取得条件からしてユズ様そのもの》


「でも」


 私は首を傾げる。


「じゃあ、この称号があったから、みんなと仲良くなれたの?」


「たぶん逆」


「逆?」


 エリスちゃんが頷く。


「説明を見る限り、この称号を取ったから魔物に慕われたんじゃなくて」


 そのまま周囲へ視線を向ける。


「たくさんの魔物に慕われて、その中心として認められたから《魔王》を取得したんだと思う」


「おお!」


「称号を得た後に、その関係を補助する効果が付いたって考える方が自然かな」


「じゃあ」


 私はもう一度《魔王》を見る。


「みんなと仲良くしてたら、いつの間にか魔王になってたってこと?」


「ものすごく簡単に言えば、そう」


 《草》


 《称号で魔王になったんじゃない》


 《魔王みたいなことしてたから称号が付いた》


 《本人だけ自覚なし》


 《一番面白いやつ》


 《いつの間にか魔王》


「魔王みたいなことなんてしてないよ?」


「そこは一旦置いとこうか」


「なんで!?」


 私は周りを見る。


 クロエ。


 ネフィエラ。


 メリエル。


 シロ。


 ユキ。


 コハク。


 グラちゃん。


 それから。


 町に住んでいる、たくさんの魔物たち。


「でも」


 やっぱり。


 よく分からない。


「王様になった覚えないよ?」


「ユズ様」


 クロエが静かに口を開いた。


「少なくとも、皆がユズ様を慕っていることに間違いはありません」


「そうですわね」


 ネフィエラも微笑む。


「称号というものも、存外よく見ておりますのね」


「ユズ様、魔王だったんだー!」


 メリエルが楽しそうに言った。


「メリエルまで!?」


 《そりゃ付くわ》


 《女王三人がユズ様呼びだぞ》


 《住民からもユズ様》


 《古龍までいるし》


 《これもう魔物国家の王だろ》


 《本人「国じゃないよ?」》


 《本人だけ最後まで否定してるの草》


「国じゃないよ!」


 思わずコメントに答える。


「みんなで住んでるだけ!」


 《魔王のいるみんなで住んでるだけの場所》


 《説得力が消えたw》


 《国じゃない(魔王はいる)》


「もう!」


 なんで誰も信じてくれないんだろう。



 ◇



「……ちょっと待って」


 しばらくして、シフォンちゃんが急に言った。


「なに?」


「一回、整理していい?」


「何を?」


「今日分かったこと」


「今日?」


「うん」


 シフォンちゃんが指を折り始める。


「まず、蜘蛛糸」


「あったね」


「ユズちゃんの服が、普通に王都で買える防具より防御力高かった」


「服なのにね」


「そこ」


 二本目。


「蜂蜜」


「おいしかった!」


「上位のものは万能回復薬に近い効果があった」


「便利だったね!」


「そこでもない」


 三本目。


「グランヴェルさん」


「グラちゃん!」


「古龍」


「小竜じゃなかった」


「ようやく理解したんだね」


 四本目。


「その古龍と召喚契約してる」


「うん!」


 五本目。


「レベル121」


「結構上がってた!」


「結構じゃない」


 六本目。


「転移スキル持ち」


「便利だよ!」


「しかもノアちゃんにもらった」


「友達だからね!」


「そこも気になるんだけど……」


 シフォンちゃんが少しだけ遠い目をした。


 そして七本目。


「今日確認するまで、全基礎ステータス初期値」


「だったね!」


 八本目。


「未使用ステータスポイント620」


「全部使った!」


「INTに」


「630!」


 九本目。


「未使用スキルポイント125」


「まだあるよ!」


 十本目。


「称号《魔王》」


「知らなかった!」


「しかも」


 エリスちゃんが付け加える。


「魔物との友好・交渉に補正。慕っている魔物との意思疎通も補助」


「便利!」


「うん。それはもう聞いた」


「…………」


 シフォンちゃんが黙った。


 ハルカちゃんも。


 エリスちゃんも。


 みんな。


 なんか疲れた顔をしている。


 《それ》


 《情報量多すぎる》


 《まとめても意味分からん》


 《蜘蛛糸がもう遠い昔に感じる》


 《蜂蜜の時点で十分ヤバかった》


 《古龍だけで一回終われた》


 《そこからLv121→転移→INT630→魔王》


 《魔王の効果まで追加されたぞ》


 《こっちも整理する時間くれw》


「そんなに多い?」


「多い」


 シフォンちゃんが即答した。


「すごく多い」


「でも、まだ案内するところあるよ?」


「あるの!?」


「うん!」


「…………」


 シフォンちゃんが配信画面を見る。


 それから、少し悩んで。


「ごめん」


 視聴者に向かって言った。


「一回ここで配信区切るね」


 《了解》


 《助かる》


 《一回整理させて》


 《頭追いついてない》


 《俺まだ蜂蜜の処理終わってない》


 《古龍から後が濃すぎる》


「私たちもちょっと整理したいし」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「ユズちゃんに聞きたいことも増えすぎたから」


「そんなに?」


「そんなに」


 ハルカちゃんも頷く。


「このまま続けたら、何に驚いてたのか分からなくなりそう」


「えー」


 《それはそう》


 《今日だけで情報が濃すぎる》


 《一回休憩しよう》


 《ユズ様も休んで》


「私は疲れてないよ?」


 《知ってる》


 《疲れてるの俺ら》


 《視聴者が先に限界》


「むー」


 せっかくまだ案内できるのに。


 でも。


「じゃあ休憩したら続き?」


「うん」


 シフォンちゃんが笑う。


「また見せてもらっていい?」


「もちろん!」


「じゃあ、一旦ここまで」


 シフォンちゃんが配信に向かって手を振る。


「見てくれてありがとー。またね!」


 《おつ!》


 《おつかれ!》


 《ユズ様もおつ》


 《整理してくる》


 《掲示板行ってくるわ》


 《今日の情報まとめ誰か頼む》


 《無理》


「ばいばーい!」


 私も手を振る。


 少しして。


 ずっと目の前に流れていたコメントが消えた。


「……静かになった」


「そうだね」


 シフォンちゃんが大きく息を吐く。


 みんなも少しだけ肩の力を抜いていた。


「そんなに疲れた?」


「精神的にね」


「?」


 よく分からない。


 私は町の奥を見る。


 まだ見せたいところはある。


 案内したい場所もある。


「じゃあ休憩したら、次どこから行こうかな」


「……ユズちゃん元気だね」


「うん!」


 今日はまだまだ時間もある。


 せっかく来てくれたんだから、いっぱい案内したい。


 なのに。


 シフォンちゃんたちは、なぜか全員そろって深いため息をついた。


「?」


 どうやら。


 みんなには、少し休憩が必要らしい。


 私はそんなに疲れてないんだけどなあ。

面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。