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もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第3章:魔物達の街

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第31話:街を案内しよう!

なんかいつの間にかランキングに乗ってました。これは夢ですか?つまり明日学校があるのも夢?

夢記念に、今日は書き溜めていたものを区切りのいい所まで16時から22時まで1時間ごとに7本投稿します。

その代わり明日の投稿はないかもしれないです。

まずは一本目です。主人公視点に戻ります。

 クロエたちが仲間になってから、私たちの居場所は一気に変わった。


 最初は、私がみんなと一緒に住めたらいいなと思って見つけた場所。


 そこに小さな魔物たちが増えて、クロエたち蟻族が来て、ネフィエラたち蜘蛛族が来て、メリエルたち蜂族も来た。


 気づけば家が建って、道ができて、水路までできている。


 服も作ってもらえるようになったし、果物や蜂蜜もたくさんある。


 この前はみんなで大鍋パーティーもした。


 最初に来た時は、グラちゃんが寝ているだけの広い場所だったのに、今ではどこを見ても誰かが何かをしている。


 クロエは朝から働いてるし、ネフィエラは工房の様子を見に行ったり、みんなに仕事を任せたりしている。


 メリエルは花畑でのんびりしているように見えて、気づいたら果物とか蜂蜜とかが増えている。


 三人とも全然違うけど、なんだかんだうまくやっている。


 そして昨日。


 そんな私たちのところに、初めてプレイヤーのお客さんが来た。


 《暁ノ華嵐》。


 日本サーバーではかなり有名な人たちらしい。


 私は知らなかったけど。


 しかも、その人たちはこの森を攻略する様子をずっと配信していたらしく、私たちのところに来てからも、許可を取った上で配信を続けている。


 今もシフォンちゃんの横には半透明の配信画面が浮かんでいて、そこにはものすごい勢いでコメントが流れていた。


 《ユズ様だ》


 《今日もユズ様》


 《街案内始まる?》


 《シロ映して》


 《もふもふをよこせ》


 ……なんで?


 昨日からずっと思ってるんだけど。


 なんで私、知らない人たちからまで《ユズ様》って呼ばれてるんだろう。


「ユズちゃん?」


「ん?」


 呼ばれて振り向く。


 そこにいたのは、《暁ノ華嵐》の八人。


 シフォンちゃん。


 ミオちゃん。


 ハルカちゃん。


 アカネちゃん。


 セレナちゃん。


 ライラちゃん。


 エリスちゃん。


 モモカちゃん。


 ……昨日名前を教えてもらったばかりなのに、ちゃんと覚えられた。


 えらい。


「どうしたの?」


「いや、さっきからすごい見られてる気がしたから」


「あ」


 ばれた。


「ごめん」


「別にいいけど……何見てたの?」


「耳」


「耳?」


 シフォンちゃんが、自分の大きな兎耳に触れる。


 その横で、ハルカちゃんも兎耳をぴくっと動かした。


 ライラちゃんには狼耳。


 ミオちゃんは猫耳っぽいフード。


 モモカちゃんも兎耳。


 昨日からずっと気になっていた。


 すごく。


 気になっていた。


「……触ってみたいなって」


 《知ってた》


 《ユズ様ぶれない》


 《やっぱり耳見てたのか》


 《シフォン逃げて》


「やっぱりそれか」


 アカネちゃんが笑った。


「ユズちゃん、もふもふ好きなんだっけ?」


「好き!」


 即答。


『お主』


 私の足元にいたコハクが、呆れたようにこっちを見る。


『初対面に近い相手へ、いきなり耳を触らせろと言うでない』


「まだ言ってないよ!」


『顔に出ておった』


「そんなに?」


『かなりのう』


「むぅ……」


 《狐に止められてるw》


 《この狐喋るの!?》


 《昨日映ってた狐だ》


 《ユズ様より常識ありそう》


「コハク、コメントで常識人って言われてるよ」


『当然じゃ』


「私より?」


『当然じゃ』


「即答!?」


 隣ではユキも少しだけ笑っている。


 人の姿だから、ちゃんと笑っているのが分かる。


 シロはというと、私の横で尻尾をぱたぱた振っていた。


「まあ、私は別にいいよ?」


 シフォンちゃんが言う。


「えっ」


「そんな顔されると断りにくいし」


「ほんと!?」


「あとでね」


「やった!」


 《シフォン許可出したw》


 《ユズ様大勝利》


 《耳触る配信まだ?》


『……よかったのう』


 コハク。


 なんでそんなに呆れてるの。



 ◇



「それでさ」


 シフォンちゃんが周囲を見回した。


「せっかく中まで入れてもらったし、もしよかったら、もう少しここを案内してもらってもいい?」


「案内?」


「うん。この場所、まだちゃんと見られてないから」


 シフォンちゃんがそう言うと、配信のコメントも一気に流れ始めた。


 《きた》


 《街案内!》


 《待ってた》


 《蜘蛛工房見たい》


 《蜂蜜》


 《住民見せて》


 《ユズ様の召喚獣も》


 ……みんな、そんなに見たいんだ。


「あー」


 そういえば昨日は、ほとんど自己紹介とか話して終わった気がする。


「いいよ!」


 《即答》


 《やったぜ》


 《ユズ様ありがとう》


「ほんと?」


「うん!」


 ……とは言ったけど。


「どこから見たい?」


「え?」


「家とか?」


 私は周りを見る。


「畑とか?」


「うん」


「あと、お鍋した広場もあるよ!」


「鍋?」


 シフォンちゃんが少し首を傾げる。


「この前みんなで大鍋パーティーしたの!」


 《鍋?》


 《魔物の町で鍋パ》


 《平和すぎる》


「それはちょっと気になる」


 モモカちゃんがすぐ反応した。


「鍋、何入れたの?」


「お肉とか、お魚とか、野菜とか、蜂蜜とか!」


「蜂蜜?」


「うん!」


「鍋に?」


「うん!」


 《蜂蜜鍋!?》


 《モモカの顔w》


 《料理人が反応した》


 モモカちゃんが少し考える。


「あとで詳しく聞いていい?」


「いいよ!」


 なんでそんなに真剣なんだろう。


「じゃあ」


 シフォンちゃんが笑った。


「まずはユズちゃんのおすすめからで」


「おすすめ……」


 私は少し考える。


 おすすめ。


 おすすめか。


 どこだろう。


「クロエのところ!」


「クロエ?」


「うん!」


 ちょうどいい。


 だって、今のここを一番変えたのは、多分クロエたちだから。


「クロエたち、すごいんだよ!」


 私はそう言って、みんなを連れて歩き始めた。


 シフォンちゃんも配信画面をこちらへ向けたまま、一緒についてくる。



 ◇



「ユズ様?」


 少し歩くと、すぐにクロエを見つけた。


 相変わらず働いている。


 今日は何人かの蟻たちと一緒に、新しい建物の土台を確認していた。


「クロエー!」


「どうされました?」


「街を案内してるの!」


「街……」


「あ」


 まただ。


 《本人が街って言った》


 《言ったぞ》


 《証拠取れた》


「みんなで住んでる場所を案内してるの!」


 《訂正早いw》


「……承知しました」


 クロエが一瞬だけ何か言いたそうな顔をしたけど、気にしない。


「でしたら、現在の建築状況からご説明しましょう」


「お願い!」


 クロエは仕事の手を止めると、《暁ノ華嵐》のみんなへ向き直った。


「現在、この周辺では住居の増築と、倉庫の拡張、それから水路の整備を進めています」


「まだ増やすんだ」


 ハルカちゃんが驚いたように周囲を見る。


「住民が増えていますので」


「そんなに?」


「少しずつですが」


 そう。


 最近、知らない魔物が増えている。


 最初は十匹くらいだったのに、今ではもっとたくさんいる。


 朝起きたら増えてる時もある。


 《勝手に住民増えるのすごい》


 《移住先として認知され始めてる?》


 《やっぱ国では?》


 国じゃないよ?


「こっちが新しい家?」


 ライラちゃんが建築中の建物を見る。


「はい」


 クロエが答える。


「小型種が共同で使えるよう、少し広めにしています」


「へえ……」


 シフォンちゃんたちが、また感心したように見ている。


「クロエたち、本当にすごいよ!」


「ユズ様」


「私が家作った時なんて、すぐ崩れたのに!」


「……」


 クロエ。


 無言。


 《は?》


 《ユズ様も建築したの?》


「え?」


 ハルカちゃんがこっちを見る。


「ユズちゃんも家作ったの?」


「うん!」


「どうだった?」


「崩れた!」


 《草》


 《即答w》


「屋根も落ちた!」


「何作ったの!?」


「家!」


「家じゃない何かになってるじゃん!」


「でも、頑張ったんだよ?」


『頑張ればよいというものでもなかろう』


 コハクが横から言う。


 《正論》


 《狐が強い》


「コハクまで!」


「……その結果」


 クロエが静かに続けた。


「私たちが建築を担当することになりました」


「なるほど」


 エリスちゃんが納得したように頷く。


「すごく納得した」


 《適材適所》


 《クロエ有能》


 《ユズ様は建築から離れてください》


「なんで!?」


 みんな笑ってる。


 コメントまで笑ってる。


 失礼な。



 ◇



 そこからクロエが、いろいろ見せてくれた。


 新しく広げている道。


 雨が降っても水が溜まりにくいように作っている排水路。


 生活用の水を引くための水路。


 食料や素材を保管する倉庫。


 住民が増えた時のための新しい区画。


 シフォンちゃんは時々足を止めながら、その様子を配信に映している。


 《道路ちゃんとしてる》


 《排水まで考えてるのか》


 《これもう村の造成じゃん》


 《蟻族土木強すぎ》


「……かなり本格的だね」


 シフォンちゃんが感心したように言う。


「これ、全部最近作ったんだよね?」


「はい」


 クロエが頷く。


「まだ不十分な点も多いですが」


「これで?」


 ハルカちゃんが驚いている。


「十分じゃない?」


「今後さらに住民が増える可能性がありますので」


「増える前提なんだ」


「ユズ様のもとには、今後も集まってくるでしょう」


「え?」


 私を見る。


「なんで?」


「……」


 クロエが黙る。


「クロエ?」


「そのうち分かります」


「またそれ!」


 《クロエ絶対何か知ってる》


 《本人だけ知らないやつ》


 《ユズ様、外堀埋まってます》


 ネフィエラもそう言ってた。


 最近みんな、私に何か隠してる気がする。


「でも本当に」


 セレナちゃんが周囲を見ながら言った。


「ユズちゃんがログアウトしている間も、これだけ作業が進むんですね」


「うん!」


 私は頷く。


「次の日来たら、知らない建物できてる時あるよ!」


「それ、ちょっと楽しそう」


「楽しいよ!」


 昨日まで何もなかったところに家ができていたり、花が増えていたり、小さな魔物が住み着いていたり。


 ログインするたびに何か変わっている。


 それを見るのは、結構好き。


「このゲーム、ログアウトしててもみんな普通に生活してるからね」


「そうなんだけど」


 シフォンちゃんが苦笑する。


「ここまで目に見えて変わる場所も珍しいと思う」


「そうなの?」


「多分ね」


「へえー」


 《反応軽い》


 《ユズ様基準》


「やっぱり反応軽い」


 アカネちゃんがコメントとほぼ同じことを言って笑った。



 ◇



「それでは」


 いつの間にか来ていたネフィエラが、にこやかに口を挟んだ。


「次は、わたくしたちの工房をご覧になります?」


「工房!」


 シフォンちゃんが配信画面へ視線を向ける。


 《蜘蛛工房きた》


 《見たい》


 《糸》


 《エリスのターン》


「ちょうどいいね」


 シフォンちゃんが頷く。


「さっきからエリスが気にしてるし」


「……」


 エリスちゃんが一瞬黙った。


「気にしてる?」


「ずっと蜘蛛糸見てる」


「見てない」


「見てるよ」


「見てる」


 ミオちゃんまで。


 《全員にバレてるw》


「……見てる」


 エリスちゃんが認めた。


「だって、あの糸……かなり変だから」


「変?」


 私は首を傾げる。


「普通の糸じゃないの?」


 《普通ではない予感》


「その確認をしたい」


「じゃあ行こ!」


「軽いなあ」


 ネフィエラに案内されて、私たちは蜘蛛族の工房へ向かった。



 ◇



 工房では、今日もたくさんの蜘蛛たちが働いていた。


 糸を紡ぐ子。


 布を織る子。


 染める子。


 服を縫う子。


 小物を作る子。


 初めて見るらしい配信の人たちも、興味津々で工房を眺めている。


 《すげえ》


 《普通に工房》


 《蜘蛛が職人してる》


 《布めっちゃ綺麗》


「あ、ユズ様!」


 最初に気づいたのはミレルナだった。


 その視線が私からシロへ移る。


 ぴたっ。


「……シロ様」


「わふ?」


 ミレルナの目が輝く。


「今日も、すごく……もふもふです」


「分かる!」


「ですよね!」


 思わず手を取り合う。


 《同類いたw》


 《ユズ様陣営にももふもふ勢》


『何を意気投合しておる』


 コハクが呆れてる。


「だってシロだよ?」


『意味が分からぬ』


「シロは可愛い!」


「わふ!」


 シロも嬉しそう。


 《かわいい》


 《シロもっと映して》


 《もふもふ》


「……触ってもいいですか?」


 ミレルナがそっと聞く。


「シロがいいなら!」


「わふ!」


「やった……!」


 ミレルナが嬉しそうにシロを撫で始める。


「……仲間いた」


 私が呟くと、シフォンちゃんが笑っていた。


「ユズちゃん、完全に同類だね」


「うん!」


 《本人も認めた》


 いいことだ。



 ◇



「ユズ様」


 今度はルヴェリアがやってきた。


「先日のお召し物ですが、袖口の調整は問題ありませんでしたか?」


「うん! すごく着やすいよ!」


「それは何よりです」


「服もここで作ってるの?」


 モモカちゃんが聞く。


「はい」


 ルヴェリアは頷く。


「衣類だけでなく、寝具や生活用の布類もこちらで」


 《生活用品まで自給してるのか》


 《衣担当ガチ》


「へえ……」


 その横で。


「……ちょっと待って」


 エリスちゃんの声がした。


 《来た》


 《エリスが何か見つけた》


「どうしたの?」


 見ると、エリスちゃんが作業台に置かれていた糸束をじっと見ている。


 白銀色で、少し光沢がある。


 私には、いつもの糸。


「これ」


 エリスちゃんが指差す。


「さっき外で見たのと同じ?」


「そうですわ」


 ネフィエラが答える。


「普段使っている糸ですもの」


「普段……」


 エリスちゃんが糸に触れる。


「……やっぱり」


 《研究者の顔になった》


 《何が違うんだ》


「何か変なの?」


 私も近づく。


「ユズちゃん」


「うん?」


「これ、本当に普通に使ってるの?」


「普通に?」


「例えば」


「服とか?」


「うん」


「布団とか?」


「うん」


「カーテンとか?」


「うん」


「荷物縛ったり?」


「うん」


 《荷物w》


 《高級素材っぽいのにw》


「……」


「?」


 エリスちゃんが黙った。


「どうしたの?」


「いや……」


 まだ糸を見ている。


「これ、私が知ってる魔蜘蛛糸とかなり違う」


「そうなの?」


「少なくとも、浅瀬で採れるものとは全然違う」


 《やっぱり》


 《浅瀬産でも高いだろ》


 《それを荷物縛るのに使ってるの?》


「へえー」


「……ユズちゃん」


「なに?」


「その反応でいいの?」


「だって糸でしょ?」


「糸だけど」


「服作れるよ?」


「そうだけど」


 《温度差すごい》


 《ユズ様に素材相場を教えてやれ》


 なんだろう。


 さっきからエリスちゃんがすごく難しい顔をしている。


「ちなみに」


 ルヴェリアが何気なく言った。


「ユズ様がお召しになっている服も、こちらで仕立てたものです」


「……」


 エリスちゃんの視線が、すっと私へ向いた。


 同時に、配信コメントの流れも一気に速くなる。


 《待て》


 《その服も?》


 《鑑定して》


 《エリス頼む》


「え?」


「……ユズちゃん」


「なに?」


「その服も?」


「うん!」


 私は自分の袖を持ち上げる。


「可愛いでしょ!」


 《可愛い》


 《そこじゃない》


 《可愛いけど違うw》


「いや、可愛いけど」


 エリスちゃんが少し近づいてくる。


「ちょっと見せてもらっていい?」


「いいよ?」


「鑑定しても?」


「うん!」


 《きた》


 《鑑定》


 《結果はよ》


 何をそんなに気にしてるんだろう。


 エリスちゃんが私の服へ手をかざす。


 そして。


「…………」


 止まった。


 《止まった》


 《エリス?》


 《また何かヤバいやつ?》


「エリスちゃん?」


「…………え?」


「どうしたの?」


 返事がない。


 代わりに、エリスちゃんはもう一度表示された情報を確認してから、私の服を見た。


 私を見る。


 また服を見る。


 《二度見してる》


 《三度見した》


 《怖い》


「……これ」


 ようやく口を開く。


「普段着、だよね?」


「そうだよ?」


 《その質問何》


 《嫌な予感》


「…………」


 また止まった。


「エリスちゃん?」


「……ちょっと待って」


 なんだろう。


 服って、そんなにじっくり見るものだったっけ?

面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。

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