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もふもふ召喚士の自由気ままなVRMMO冒険記 ~可愛い魔物を集めていたら、いつの間にか最強の魔物国家ができていました~  作者: 黒海苔
第2章:魔物達の居場所

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第28話:森の中の文明

引き続きシフォン視点

 道の先には。


 大量の魔物の気配がある。


 ライラがそう告げてから。


 《暁ノ華嵐》の八人は。


 さらに慎重に。


 その道を進んでいた。


「……数、増えてる」


 先頭のライラが小さく言う。


「まだ増えてる?」


「うん」


 狼耳が。


 絶えず周囲の音を拾っている。


「近い?」


「前より」


「種類は?」


「……多い」


 その答えに。


 シフォンは少しだけ眉を寄せた。


 《多いって何》


 《怖い言い方するな》


 《何種類いるんだ》


 《集落説かなり濃くない?》


「私もそれ気になってるんだよねー」


 シフォンはコメントへそう返しながら。


 道の先を見る。


 まだ。


 深い森。


 巨大な木。


 葉。


 枝。


 少なくとも。


 視界の中に。


 街らしきものは見えない。


 だが。


 この道だけでも。


 すでに十分すぎるほどおかしかった。



 ◇



「……また分岐」


 エリスが足を止める。


「ほんとだ」


 シフォンも。


 地面を見る。


 一本だった道。


 それが。


 少し先で。


 三方向へ分かれている。


「右」


 ライラ。


「何か運んだ跡」


「左も」


 ミオがしゃがむ。


 土。


 そこには。


 いくつもの。


 巨大な蟻の脚跡。


 小型魔物の足跡。


 蜘蛛系らしい痕跡。


 そして。


 何か重いものを。


 地面へ引きながら運んだ跡。


「……これ」


 エリス。


「一本だけじゃない」


「道が?」


「うん」


「たまたま整えた道じゃない」


 分岐。


 さらに。


 少し先。


 木の幹に。


 簡単な目印のようなもの。


「これも」


「……標識?」


 ハルカ。


「文字はないけど」


「方向を示してるようには見える」


 エリス。


 枝を組み。


 色の違う布らしきものを結んでいる。


 右。


 左。


 直進。


「……交通網?」


 シフォンが呟いた。


 《交通網!?》


 《魔物が道路整備してるのか》


 《村レベル超えてない?》


 《どこまで作ってんだ》


「さすがに」


 セレナが周囲を見る。


「ただの巣ではなさそうですね」


「だよな」


 アカネ。


「巣に排水溝まで作るか?」


「作る種類がいないとは言い切れないけど」


 エリス。


「複数方向へ道を分けて、物資の運搬ルートまで作るとなると」


「かなり話は変わる」


「……文明?」


 ハルカ。


「それに近いかも」


 誰も。


 すぐには否定しなかった。



 ◇



「……あ」


 しばらく進んだところで。


 シフォンが。


 小さく声を上げた。


「どうした?」


 アカネ。


「前」


 道の脇。


 そこに。


 一匹の。


 小さな獣型魔物がいた。


「……何あれ」


 ハルカ。


「リス……?」


「たぶん」


 ライラ。


 小柄。


 茶色。


 ふわふわした尻尾。


 危険そうには。


 まるで見えない。


 それだけなら。


 別に。


 この森でも。


 珍しくはない。


 問題は。


「……首」


 ミオ。


「布?」


 セレナ。


 小型魔物の首元。


 そこには。


 明らかに。


 自然物ではない。


 淡い色の布が巻かれていた。


「……服?」


 ハルカ。


「首飾りに近いかも」


 エリス。


「でも」


 近づいてくる彼女たちへ。


 小型魔物は。


 逃げなかった。


 襲わなかった。


 少しだけ。


 こちらを見る。


 そして。


 また。


 道端に置かれた果実らしきものを。


 かじり始める。


「……普通にご飯食べてる」


 モモカ。


 《かわいい》


 《急に平和》


 《布つけてない?》


 《誰が巻いたんだ》


 《住民っぽい》


「住民って言葉が」


 シフォン。


「だんだん冗談じゃなくなってきたね」


 すると。


 道の向こうから。


 一匹の巨大蟻が。


 木材を運びながら歩いてくる。


 小型魔物が。


 軽く。


「きゅ」


 と鳴く。


 巨大蟻は。


 ほんの少し。


 触角を動かした。


 そのまま。


 通り過ぎる。


「…………」


 八人。


 しばらく。


 その光景を見る。


「今」


 セレナ。


「挨拶、しました?」


「したように見えた」


 シフォン。


「少なくとも」


 エリス。


「お互いを敵だとは思ってない」


 《完全に共存してる》


 《魔物同士ってこんな仲良かった?》


 《人間より文明的説》


 《いや待て》


 《これ普通に生活してるだろ》


 その言葉が。


 妙に。


 しっくりきた。



 ◇



 道は。


 さらに。


 森の奥へ続く。


 進むほど。


 見えるものが増えた。


 まず。


 蟻。


 何匹も。


 石材。


 木材。


 土。


 運んでいる。


「……工事してる」


 アカネ。


「だね」


 シフォン。


 少し先。


 地面を掘る蟻。


 別の蟻が。


 そこへ石を並べる。


 さらに。


 その上から。


 土を固めている。


「道の補修?」


 ハルカ。


「たぶん」


 エリス。


「完全に役割分担してる」


 その隣。


 蜘蛛型魔物。


 数匹。


 糸を張る。


 だが。


 巣ではない。


 木材。


 石材。


 荷物。


 それらを。


 固定している。


「さっきの糸」


 エリス。


「やっぱり運搬用だ」


「蜘蛛も建築手伝ってる?」


 シフォン。


「そう見える」


 さらに。


 上空。


 羽音。


「蜂」


 ライラ。


 複数の蜂型魔物が。


 果物。


 花。


 壺。


 運んでいる。


「すご」


 モモカが。


 目を輝かせる。


「完全に物流だ」


 《役割分担してるじゃん》


 《組織化されてる》


 《誰が指示してるんだ》


 《魔物社会ってレベルじゃね》


「組織化」


 エリスが。


 その言葉を繰り返す。


「それが一番近い」


「ただ一緒に住んでるだけじゃない」


「目的を持って」


「役割を分けてる」


「……誰かがまとめてる?」


 セレナ。


「可能性は高い」


 エリス。


「これだけの種族を」


「一つの場所で」


「衝突させずに」


「同じ方向へ動かしてる」


「じゃあ」


 ハルカ。


「やっぱボスみたいなのいる?」


「ボスって言い方は雑すぎ」


 シフォン。


「王様とか?」


「もっと雑になった」


 セレナが。


 小さくため息をついた。



 ◇



「……あれ」


 今度。


 モモカが。


 足を止める。


「なに?」


 シフォン。


「向こう」


 道脇。


 木々の間。


 そこに。


 細い水路。


「水」


「人工だね」


 エリス。


 幅。


 一定。


 流れ。


 緩やか。


 石。


 綺麗に組まれている。


「これ」


 アカネ。


「普通に用水路じゃね?」


「そう見える」


 さらに。


 その先。


「……花?」


 ハルカ。


 森の中に。


 不自然なくらい。


 整えられた。


 花の区画。


 色とりどり。


 同じ種類ごと。


 ある程度。


 まとまって植えられている。


 その周囲を。


 蜂たちが。


 飛び回っている。


「育ててる」


 モモカ。


「自然じゃない?」


「自然にしては」


 エリス。


「配置が綺麗すぎる」


「それに」


「種類もまとめてある」


 少し先。


 若い果樹。


 さらに。


 薬草らしい植物。


「……農業?」


 シフォン。


 《農業までしてる》


 《文明確定》


 《魔物の国じゃん》


 《まだ国って決まってないだろw》


 《でも町はあるだろ》


「町」


 シフォンが。


 その言葉に。


 少し反応する。


「……あるのかな」


「ここまで来ると」


 セレナ。


「無い方が不自然かもしれません」


「ですよね」


「食料生産」


「運搬」


「道路」


「水路」


「衣類らしきもの」


「建築資材」


 エリスが。


 一つずつ。


 数える。


「生活に必要なものが」


「ほぼ揃ってる」


「……村?」


 ハルカ。


「村にしては」


 アカネ。


「規模でかくね?」


「まだ全体が見えてない」


 ライラ。


「この先」


 狼耳が。


 また動く。


「もっといる」


「魔物?」


「うん」


「かなり」


 《本当に町あるんじゃ》


 《日本鯖限定イベント?》


 《アメリカ鯖には無かったんだよな?》


 《歴史分岐で何か起きた説》


「それ」


 シフォン。


「かなりありそう」


「アメリカサーバーの中心部には」


「少なくとも、こんな報告はなかった」


「同じ森でも」


「日本サーバーだけ」


「何かが起きてる」


「……何か」


 ミオ。


「じゃなくて」


「誰か」


「かも」


「……誰か?」


 シフォンが。


 そちらを見る。


「これだけまとまってるなら」


 ミオ。


「中心がいる」


「……なるほど」


 誰か。


 あるいは。


 何か。


 この場所の。


 中心。


 それがいる。


 そう考えた方が。


 自然だった。



 ◇



「……見えた」


 ライラ。


「何が?」


 シフォン。


「前」


 全員。


 見る。


 木々。


 その向こう。


 ほんの少し。


 茶色。


「……屋根?」


 ハルカ。


「建物」


 エリス。


「間違いない」


 《きた》


 《家!?》


 《うわ本当にある》


 《町確定》


 《魔物の町!?》


 近づく。


 少しずつ。


 見える。


 木造。


 石。


 簡素。


 だが。


 明確な。


 建造物。


 さらに。


 煙。


「煙もある」


 セレナ。


「火使ってる?」


 アカネ。


「生活してるなら」


 モモカ。


「普通に使ってそう」


「……すご」


 シフォンは。


 思わず。


 そう呟いた。


 今まで。


 この森を。


 何ヶ月も。


 攻略してきた。


 危険。


 魔物。


 死。


 そればかり。


 中心には。


 さらに強大な何かがいる。


 そう思っていた。


 けれど。


 今。


 見えているものは。


 それとは。


 まったく違う。


「……ほんとに」


「住んでるんだ」


 シフォンが。


 ぽつりと。


 言った。



 ◇



 さらに。


 進む。


 すると。


 こちらを見る。


 魔物が増えた。


 小型。


 中型。


 様々。


 道端。


 木の上。


 水路のそば。


 作業中。


 食事中。


 皆。


 暁ノ華嵐を見る。


「……見られてる」


 ライラ。


「敵意は?」


 シフォン。


「薄い」


「でも」


 ミオ。


「警戒してる」


「そりゃそうだよね」


 セレナ。


「知らない人間が八人も来たら」


「むしろ今まで誰も襲ってこない方が」


 アカネ。


「怖いくらいだな」


 《住民の視線じゃん》


 《完全に不審者扱い》


 《そりゃそう》


 《お前ら向こうから見たら侵入者だぞ》


「それは」


 シフォンが。


 苦笑する。


「本当にそう」


「だから」


 少し。


 声を落とす。


「ここからは」


「勝手に動かない方がいいかもね」


「同意」


 エリス。


「明確に生活圏」


「争いを起こす理由はない」


「むしろ」


 セレナ。


「話せる相手がいるなら」


「先に交渉するべきです」


「……話せるかな」


 ハルカ。


「蜘蛛とか?」


「さあ」


「NPCなら可能性はあります」


「でも」


 その時。


「……止まって」


 ミオ。


 声。


 低い。


 全員。


 即座に。


 止まる。


「何?」


 シフォン。


「足元」


 ミオ。


 視線。


 下。


「……何も」


 ハルカ。


「ある」


 ライラ。


 狼耳。


 張る。


「細い」


「糸」


「……糸?」


 シフォンが。


 目を凝らす。


 そこ。


 道。


 木。


 枝。


 石。


 光の角度で。


 ほんの一瞬。


 きらり。


「……あ」


 シフォン。


「見えた」


 細い。


 細い。


 蜘蛛糸。


 それが。


 何本も。


 張られている。


「荷物用じゃない」


 エリス。


 声が変わる。


「配置が」


「違う」


「罠?」


 ハルカ。


「かも」


「動かないで」


 ミオ。


 全員。


 完全停止。


 《何?》


 《糸?》


 《罠?》


 《誰か見張ってる?》


 《急に空気変わった》


「……囲まれてる」


 ライラ。


「どれくらい?」


 シフォン。


「前」


「横」


「上も」


「上?」


 アカネ。


 その瞬間。


 全員が。


 気配を感じた。


 視線。


 上。


 木々の間。


 高い枝。


 そこから。



「そこで止まれ」



 女の声。


「!」


 アカネの手が。


 刀へ。


 ミオ。


 低く。


 姿勢を落とす。


 セレナ。


 杖。


 シフォン。


「待って」


 短く制止。


 そして。


 上を見る。


 枝。


 そこに。


 一人。


 いや。


 一体。


 立っていた。


 上半身は。


 人間の女性。


 下半身は。


 巨大な蜘蛛。


 黒。


 紫。


 戦闘用と思われる装備。


 指先。


 何本もの。


 細い糸。


 それらが。


 周囲へ。


 張り巡らされている。


 《アラクネ!?》


 《喋った!》


 《門番?》


 《護衛っぽい》


 《糸これ全部あの子の?》


 女。


 ゼルフィナは。


 静かに。


 八人を見下ろす。


「それ以上」


「進むな」


 声。


 冷静。


 敵意。


 ある。


 だが。


 すぐに殺すつもりではない。


 それだけは。


 分かる。


 ゼルフィナの目が。


 一人。


 一人。


 確認するように。


 暁ノ華嵐を見ていく。


「……人間か」


 その一言。


 そして。


 少し。


 目を細める。



「何の目的で」


「ここへ来た」



 《うおおおお》


 《会話できる!》


 《交渉パートきた》


 《戦うなよ絶対》


 《ここで戦闘始めたら終わるぞ》


 シフォンは。


 コメントを。


 一瞬だけ見る。


 そして。


 両手を。


 ゆっくり。


 見える位置へ出した。


「……まず」


 笑顔。


 いつもの。


 軽いものではない。


 相手を。


 刺激しない。


 穏やかな。


 笑顔。



「話を」


「させてもらってもいい?」



 魔の森。


 その中心近く。


 人間。


 魔物。


 初めて。


 言葉が。


 交わされようとしていた。

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