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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第一章 【予言】
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予言

二人の死体は国の北にある教会へと送られた。

死後十二時間が経っていたため他殺だとしても回生魔法は効かず、そのまま焼かれることになった。

自殺なのか、他殺なのか。犯人を探そうとも探しようがなかった為、この件は一旦保留になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小雨とクレア、二人は宿に戻り小雨はロビーの椅子に座り、クレアはいつも通り受付で仕事をしていた。


「……悲しいの?」


「…そりゃ当たり前だろ」


重い空気が宿を支配したが、クレアは二人が死んで特に動揺する様子は見せなかったことに違和感を感じた。


「クレアの方こそ悲しくないのか?」


「……えぇ」


そこで会話は途切れ、再び重い空気が宿を支配する。

クレアはひたすら仕事をしていた、紙にペンを走らせ、時々深いため息をついたがすぐに深呼吸して仕事に取り組んだ。


「あのさ」


「…なに?」


「クレアは俺より早く起きるはずだ…だけど二人を探すのを始めたのは俺が起きてからだよな?クレアはその間何をしてたんだ?」


小雨は質問をした。

普通に考えてみればあの二人が居なくなった時点でどうしてクレアはすぐに二人を探しに行かなかったのか小雨には分からなかった。


「はぁ?何、私を疑ってるわけ?」


「いやいや別に!そうじゃないって言ったら嘘か…」


「言っとくけど私がわざわざあいつらを探しに行く人だと思う?正直あいつらがいなくたってこの宿は経営できるから逃げたら逃げたでそれでも全然いいの」


クレアの説明に納得してしまった。

事実、クレアは元々あまり人と関わるのが好きじゃなく、シャトンをバイトに雇ったのは他の人達がシャトンたちの受け入れを断って仕方なくクレアが雇っただけだった。


「な、なるほど!」


「理解してくれたかしら?」


「はい!」


「あはっ、なにそれ。急に元気になるわね」


クレアはふふっと笑った。こうやって人前で笑うのはクレアにとっては珍しい行動で、そんなクレアを見ることができて小雨まで嬉しくなりクレアと一緒に笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お昼時、小雨は自分の部屋でクレアと面を向かってお昼ご飯を食べていた。今日のお昼ご飯は新鮮な野菜が使われたサンドウィッチで、小雨が美味しそうに食べている所をアランが宿に訪れた。


「おーい!コサメ居るか〜?」


「……タイミングが悪すぎるわね」


クレアは部屋を出て一度一階に降りた。一階からはクレアの怒る声が聞こえたがすぐにそれは無くなり、クレアがユーリを連れて二階に上がってきた。


「よ、相棒!」


「アラン!」


「アランが街を案内してくれるそうよ」


「あぁ、今日はファミリーの目的を追いながら街について教えてあげようと思ってな」


突然現れたアランは小雨に街を案内してくれるらしい。

小雨と目が合ったアランは小雨に向かってニコッと笑ってくれた。

小雨はアランの提案に乗り、朝ごはんを終えるとアランと共に宿を出て行った。


「シャトンとユーリの件、聞いたよ。大変だったな」


「まぁ…うん。まだ現実味がないよ」


アランは宿から離れた所にある北の教会へ小雨を連れて行った。本日休みの教会は丁寧に掃除され、見た感じ年季を感じなかった。

アランは周りを見渡して人が居ないと確認したあと、教会の

中庭のベンチに小雨を連れて行き、隣同士に座った。


「ごめん、街を案内するのは嘘で…正直今は街を案内してる暇なんてないんだ」


「じゃあ、本当の要件ってなんだ?」


「シャトンの死体のポケットから、シャトンの日記を見つけたんだ」


「…!」


アランはそう言ってからズボンのポケットから血のついた革のカバーがされたメモ帳を取り出し、小雨に見せた。

中を開いてみるとシャトンがファミリーに加入してから毎日記した日記だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


△月✕日 「初任務!!ユーリと一緒に猫を探すよ〜♪」


今日はユーリと一緒にサイン家の猫ちゃんを一緒に探したよ〜。お庭に洗濯物を干している時に白くて目が青い猫ちゃんがいなくなっちゃったんだって〜。その日は一日中探したんだけど猫は見つからなくって〜、もう諦めようた家の人に謝ろうとした時にまさか自分から帰って来たんだよ〜?猫って自分の家覚えてるんだね〜。

毎日こんな平和が続くといいな〜

ファミリーに加入して良かったよ〜♪


〜〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


○月△日 「最近ピリついてる〜?」


ファミリーの様子が最近おかしい?

ジャンとユインが書斎に籠ってずっと何かを話してて〜、声の出し方的にすっごくす〜っごく真剣な声だったから話を盗み聞きしようとしたんだけどエミルちゃんに止められたよ〜

いくらNo.一とNo.二だからって内緒事はダメだと思うな〜?

そもそもNo.五からその上ってどんな人か見た事ないな〜?

気になってユーリに聞いてみたんだけど、ユーリも見た事がないんだって〜


○月△日 「予言って何〜?」


エミルちゃんから聞いたんだけど〜、最近予言?ってものがファミリーの中で囁かれてるんだって〜。


来る日。異人が決断を下した時。世の常識が覆される。

異人は世界に厄災をもたらす存在になるだろう。


この予言はどこから来たんだろうね〜?

エミルちゃんに聞いてもわかんないんだって



○月△日 「今までのファミリーはどこに?」


予言の話が出てからみんな大パニックだよ〜。

今までの平和なファミリーは一体どこに行っちゃったのかな〜?みんな異人を探すのに必死で任務どころじゃないみたい。


〜〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


✕月○日 「異人見つけたよ」


クレアちゃんが言ってたよ、異人はコサメくんだって〜!

だから今日の深夜にユーリと協力して寝ているコサメくんを倒して予言を回避しようと一緒に計画を立てたんだ〜。

深夜までまだまだ時間があるから今のうちにユーリと計画を固めておかないとね〜

早く予言を無かったことにして、早く昔のファミリーに戻って欲しいな〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


日記はここで終わっていた。シャトンはこの日、何者かの手によって殺されたのだろう。

日記を閉じた後、二人の間でしばらく無言が続いた。


「ファミリーは予言を回避するために独自で異人を見つけ出そうとしてたってことか……」


「なぁ、アラン。この事、クレアに話すのか?」


「……いいや、これは二人だけの秘密にしよう。下手に事情を色んな人に話すと混乱を招かねない」


「…わかった、これは二人だけの秘密だ」


二人は誰もいない静かな教会の広場で約束を交わした。

しかしファミリーについてわかったのはいいものの、一つ問題があった。

極端に考えたら異人は異世界から来た小雨だと言うことだ。


「相棒、異人…についてなんだが」


「普通に考えたら異人って、俺だよな…?」


「それのことなんだが……お前は魔法も何も持たないただの人だ…どうも厄災を起こすような人には見えない」


「……でも、予言には」


「俺は信じるよ、コサメの事。世界が敵に回ろうとも、俺は小雨の味方だ…約束する」


「アラン…!」


「そういえば最近、コサメの近くに居ると身体が軽くなるんだ…もしかして俺たち相性がいいのかもな?」


「相棒同士だから当たり前だろ?」


「ははっ、それもそうだな。」


時刻は朝の9時。二つ目の約束を交わした後もしばらくご飯の事や昨日のクレアに叱られるシャトンの話など、雑談をしてから二人は一緒に教会を去った。

アランはこれから家の用事があると言い、小雨を宿の前まで送って急ぎ足で帰って行った。

宿に入って行った小雨は、受付のカウンターで書類を書いているクレアと目が合った。


「……、思ってたより早いわね」


「あ…あぁ、アランが家の用事があるから早めに解散しようって」


「…そうなのね」


クレアは視線を紙に向け、再び何かを書き始めた。

小雨は特にすることも無く、クレアの書いているものの内容を見ようとカウンターに近づく。


「暇なの?」


「うん、暇だからクレアが作業してる所を見ようと思って」


「……そう?別に大したものじゃないけど…じゃあお使い頼んでいいかしら?」


「おつかい?」


「えぇ、ちょうど切らしてた物があるのよ。メモを渡すから買ってきてちょうだい」


「わかった、任せてくれ」


見られたくないのか。書いていた紙をひっくり返して棚に入れていたメモ帳の1枚をちぎり、買い出しのメモを書いた。

クレアから渡されたメモにはパン、胡椒、リンゴ、生姜など様々な食材の名前が書かれていた。メモの裏を見ると丁寧にお店の場所までの地図まで描かれていた。


「じゃあ今から行ってくるな」


「気をつけて行ってらっしゃい」


宿を出ていくのを見送ったクレアは紙をひっくり返し、再び何かを書き始めた。クレアが書いていたものは手紙で、宛名にはジャン・エイメルと書かれていた。

ちょうど手紙を書き終わる頃、クレアは気に入らなかったのか、手紙を破ってゴミ箱に捨てた。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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