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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第二章 【オルド国の神隠し】
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告白

夕方、ギルドを屋敷へ招き入れた後にエースと小雨は昼に使った剣の手入れをしに召使いの共有部屋へ行った。


「まぁまぁだな」


エースが扉を周りを見渡すと他の召使いがちょこちょこ居るた。それぞれが休憩時間を使ってそれぞれ好きなことをして時間を潰していた。


向こうを指さして

「奥の方でやるか?」


「あ〜……」


エースの提案に小雨は頭を悩ませた。小雨はどうもさっきの事が気になったため、できることなら二人になりたい。そのためダメ元で交渉に出る。


「俺の部屋とかどうだ?」


顔を歪ませて

「ガキの部屋ー?」


「なんだよ、文句あんのかよ」


「ありまくりだわ」


「……」


言い返しできなくなった小雨は黙り込む。そんな小雨を見てエースはため息をつき、ポケットからトランプを取り出した。


シャッフルしながら

「ハイアンドロー、ルール分かるな?」


首を傾げて

「ハイアンドロー……?」


「うっそ、お前ハイアンドロー知らないのかよ」


首を横に振って

「知らん知らん」


「まぁ、ハイアンドローっていうのはまぁつまり……ほら、カード一枚引け。あ、表は見るなよ」


エースは小雨にシャッフルしたカードを手で広げて小雨の方へ向けた。いきなりのことで少々驚いたが、言われた通りに一枚引き、表に向けずに待機した。


「そのカードは次俺がめくるカードより大きい数字、つまりハイか、小さい数字のローか選べ。お前が勝ったらお前の言う事を聞く」


「ふ〜ん、なるほどな〜」


小雨は自分が引いたトランプをまじまじと見て答えを導き出そうとする。小雨が固まってから少し時間が経った時、小雨が口を開いた。


「じゃあハイで」


「じゃあ答え合わせな。せーのっ」


エースと小雨が同時にトランプを表に向けた。小雨の引いたトランプはハートの三。エースが持っていたのはダイヤの八だった。


「よっしゃ俺の勝ちー!」


その場で小雨は嬉しそうにガッツポーズをする。その間にエースはトランプを片付けて小雨の部屋へと歩き出した。


「お前運いいな?ギャンブルやってみたらどうだ?」


「誰がやるかそんなこと」


「お前」


「やらねぇわ!!」


その言葉と同時に二人は眉を下げて笑う。こんなくだらない会話が思っていた以上に楽しかった。


(まぁ、今のは運じゃなくて魔法だけど……)


小雨の右手の親指の腹から少し血が出ていた。あの時、どうしてもゲームに負けたくなかった小雨は少し時間がかかってしまったがトランプの紙でバレないように慎重に親指の腹を切って魔法を発動させていた。


二人がしばらく歩くとやっと小雨の部屋が見えてきた。普段より疲れているのか、小雨の部屋までの道のりが果てしなく遠く感じられ、お互い部屋に入るとその場で倒れ込んだ。


ソファーのクッションに顔を埋め

「つーかーれーたー」


「ガキ、体力ねぇな」


「お前に言われたくねぇわ!」


床で寝転びながら小雨に向かって文句を言うエースだったが、その言葉は小雨に何一つ響いていなかった。リリー家の召使いのこんな姿をアテナが見たらきっとキレ散らかすだろう。


「ジジイ」


目だけ小雨に向けて

「あ?」


少し黙ってから体を起こして

「条件」


「条件?」


「ほらあれ、俺の特異魔法の詳細教えたらってやつ」


「あ〜……」


この言葉を最後にエースは口を閉じてしまった。何か考え事をしているかのように目を泳がせてからエースも小雨同様に起き上がり、ズカズカとソファーに座りに行った。


「他言無用、OK?」


「お……おけ」


ソファーから勢いよく立ち上がり

「いよ〜し!じゃあ改めて自己紹介しよう!!!」


「わ、わ〜い!」


いきなり何をしたかと思えばソファーから勢いよく立ち上がり小雨の方を向いた。小雨は何が何だか分からずとりあえずノリについて行く。


「俺の名前はエース・アレクサンダー」


「……あれくさんだー……アレク……あれ?どこかで聞いたような……」


・ ・ ・


立ち上がってエースを指さしながら

「あああああーー!!!!!」


「うるっせぇええ!!!」


口を抑えながら

「お前あのアレクサンダー?」


大きく頷いて

「そうだそうだ」


「……でもなんでナクライアじゃなくてオルドに?」


「家出だ家出!!」


「どのくらい?」


首を傾げて

「……十?」


エースの顔を覗き込むように首を傾げて

「十?」


頷きながら

「うんうん」


「お前何したんだよ……!!!」


驚きと困惑で震える小雨。そんな小雨を見てエースは思わず吹き出してしまった。


「ぷっ……思ってた以上にいい反応するなお前」


「でも本当に帰らなくて大丈夫なのか?」


俯いて

「あ〜、まぁ……大丈夫だと思う」


再びソファーに座って隣をポンポンと叩いた

「ま、座って喋ろーぜ」


小雨の隣に座って

「そうだな」


「で、なんだ。お前実はちょー偉いさんの息子だったんだな」


「いずれはお前に言う予定だったからな。ナクライアに帰ったら絶対兄ちゃんに言うなよ?」


悪い顔をして

「……え〜?」


「いやいやいや、本当に頼む」


手を合わせて小雨に懇願するエース。エースがこんなにも必死な顔をするところを見るのは初めてで小雨は少しびっくりした。


「わかったわかった。言わない」


「本当に頼んだぞ?本当に言うなよ?」


「わかった、わかったって!」


「はぁ〜。お前は信用ならねぇんだよ」


ソファーに深く腰掛け、足をめいいっぱい伸ばすエース。初めてあった時は警戒心の塊だったのに今は素、丸出しだった。小雨はそんなエースを見て思わず頬を綻ばせてしまった。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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