本番はここから
森の奥へと進んで行く二人。進んでいくにつれ辺りは仄暗くなっていく。
小雨の方に振り向いて
「お〜、雰囲気出てきたな!」
半歩後ろを歩く小雨の方を振り返って顔を輝かせながら言った。その様子に小雨は一瞬、呆れたようにため息を吐いて視線を逸らした。
「無視すんなガキ」
「黙れジジイ」
二人が睨み合っていると、前方から光がキラッと見えた。
「……ん?」
エースと小雨は目を凝らしてよく見る。しかし二人は見えずにさらに目を細めてじっと向こうを見る。するとーー
「っ……!!」
「おっ……おい!」
いきなり小雨がエースの身体を押して二人同時に転んだ。小雨の肩は何かで斬られたような傷があり、傷口からは血が滲み出ていた。
「おいバカ!」
前方を指さしながら
「仕方ないだろ!」
戸惑うエースはつい小雨に向かって大声をあげた。それに対して大声で言い返す小雨。小雨はエースに覆い被さる形になったがすぐに離れ、立ち上がった。
立ち上がりながら
「痛ってぇな急に……」
立ち上がって小雨が指さした方を見る。そこにはーー
腰に手を当てて
「うわ〜……でっけぇ魔物。こりゃ倒しがいがありそうだ」
「俺に感謝しろよ!」
伸びしながら
「へいへい」
「何だよその返事は」
その返事に小雨は納得していない様子だった。しかし今は目の前の相手をどうにかしなければならない。二人は気持ちを切り替えて剣を鞘から抜いた。
エースの方を向いて
「じゃあさっきと同じ感じでいいか?」
頷いて
「そーゆーこと」
二人は見つめあって頷く。前方のすぐそこには先程見た魔物より更に一回り大きい魔物が立ちはだかっていた。
一歩後ずさって
「おいおい、これを倒せって?」
「俺たちなら余裕だろ!」
「えぇ……」
先程より遥かに強そうな敵に戦うことを躊躇う小雨を置いてエースは先に走り出していた。
振り返らずに手を振りながら
「お先な〜!」
「ちょ……おい!」
置いていかれた小雨は走って追いかけた。ここで一人になればロクなものがないと何となく感じていた。ホラーゲームでも強がって一人になった人が一番最初に死ぬ。という定番のルールを小雨は知っていた。
剣を振り上げながら
「お前みたいなデカブツは久しぶりだ!」
デカイものを見てテンションが上がるエース。後ろからやっと追いついた小雨は息を吐いてから覚悟を決めたように自分の左手のてのひらを剣の先で軽く切った。切れたところから血がポタポタと滴る。
顔をしかめて
「いっ……」
小雨は痛みで顔をしかめたが次の瞬間、瞳に再び輝きが現れる。それと同時に痛みも無くなりいつもの何十倍も動けるようになる。前線で戦っているエースの援護をした。
「うおっと!!」
怪物は犬のような首が三つあり、ファンタジーに存在するケルベロスそのままだった。真ん中の首が口から紫の光線を出し、空から二人に向かって雷を降らせ、右の首が水の刃を飛ばしてくる。
援護しながら
「本当に勝てるのかよこれ!」
「魔物の多くの弱点は首、俺が引き寄せるからお前は後ろから首を狙え!」
「……あぁ!」
文句をいいつつも小雨は何だかんだエースに協力する事にした。自分の為にここまでやってくれていざとなったら断るなど到底できない。
「……ん」
「どいうした?」
エースが小雨の方を向いた時、次は小雨から拳を突き出した。それを見たエースは笑って拳を当てる。その次の瞬間、小雨の能力がエースにも付与されエースの瞳にもほんのり赤く、白い輝きが現れる。
「じゃ……やりますか」
「足引っ張んなよ?」
「ガキに言われたくねぇよ」
こうして二人のケルベロス戦が始まった。
最後までお読み頂きありがとうございました!
すみません区切りの問題でとても短くなってしまいました……。次回は少し長めになります。




