特異魔法の安定を目指して
魔物がよく現れるという森へやってきた二人。今回の目的は魔物との戦闘で特異魔法を有効的に使い、小雨の特異魔法の安定を目的としたものだ。
「はぁーーー」
エースの三歩後ろをトボトボ歩いている小雨。ここへ来る前アテナから言われた年上の言うことはちゃんと聞いてね。という言葉が気に食わなかったのか不貞腐れていた。
振り返って
「おいガキ、いつまで不貞腐れてるんだ?」
小雨が隣に並ぶまで立ち止まってあげた。小雨が隣に来ると再びエースは歩き始め、どんどん森の奥へと進んで行った。
「……暗いな」
エースが呟く。奥へと進むにつれ、木が増え日光も入ってこなくなり、薄暗くなっていく。その時ーー
「……後ろ!」
いきなり洗われた魔物が後ろ方向から小雨達を襲う。幸いエースの見事な反射神経のおかげで助かった。
魔物を目で追いながら
「おいガキ、不貞腐れてる場合じゃないぞ」
「別に不貞腐れてねぇし」
ツーンとした顔で言い返す。ブツブツ言いながらも小雨も剣を構え、エースの隣に並んだ。
「じゃあ早速特異魔法を使ってみてくれ」
「りょーかい」
小雨が剣で自分の親指の腹を軽く切った。痛みで一瞬顔をしかめるが、次に瞳を開いた時、瞳の中に白い星のような形の輝いたものが浮かび上がっていた。
「で、こっからどうしたらいいんだ?」
魔物に指を指しながら
「そんなの簡単!俺と一緒にあいつを倒す!」
エースは小雨からの問いに自信満々に答えた。指を指した魔物は四足歩行のライオンのような魔物。目は真っ赤で爪は鋭く、小雨が今まで会ってきた魔物の中で一番迫力があった。
親指で自分を指し、次に小雨を人差し指で指す
「じゃあ早速俺は前、お前は援護!」
「あっ、おい!」
先に走って行ったエース。その背を見て小雨はため息を吐き魔物の方へ走って行く。
「っはぁ!」
エースは真正面から魔物に向かって剣を振り上げた。魔物は近づいて来るエースに前足を振り上げる。
「やっぱりそう来るよなっ!!」
エースが持つ剣は青色に光り、水が溢れ出る。そして目に追えない剣さばきで魔物の右前足を斬り刻んだ。切られた右手から紫色の血が噴き出しエースの服にかかった。
「っ……血付けんなよ」
エースは自分の血の付いた服を見て嫌そうな顔をした。そう油断していると、怒った魔物は次の攻撃に後ろ足をあげ、エースに影がかかる。
「……っ!!」
後ろから小雨が魔物の後ろ足を斬る。戦闘経験が浅く、まだ深く斬るというのはできていない。
「助かったコサメ!ありがとう!」
「油断すんなよ、クソジジイ」
「あぁ悪かったな……ガキ」
二人の間に火花が散る。お互いにしばらく睨み合っていると、魔物が再び二人を襲いかかる。
小雨の方を向いて
「今は俺たちは敵じゃない、味方だ。これは訓練じゃなくて実践……だからお互い協力しないか?」
微笑んでから頷く
「……わかった」
拳を出して
「ほら」
「えっ……」
強く突き出す
「ほーら」
「……ははっ、何だよ急に」
小雨がエースの拳に自分の拳を当てた。するとエースの方からピカッと何か光るものが見えた。
「……?」
小雨が気になった頃にはエースは既に動き出しまっていた。小雨もエースを追って襲いかかる魔物と戦いに行く。
魔物を後ろから切りつけながら
「なんか今日すっげー気合い入る!」
魔物の隙をついて攻撃を入れながら
「お前戦うの好きなんだな」
笑顔で
「あぁ!昔兄ちゃんとよく戦っててさ!」
魔物は二人に向かって攻撃をするが、二人の連携プレイで攻撃が入らなかった。ついに怒り狂った魔物は体を一回り大きくさせ、暴走した。
「コサメ!気をつけろ!あいつ暴走してやがる!」
「っ……」
暴走……そう聞くとついクレアの事を思い出してしまった。しかしそれはもう過ぎたこと、小雨は頭を振り気合いを入れ直した。
エースに向かって叫ぶ
「暴走してもやることは同じ……だな?」
「あぁ!前線は俺に任せろ!」
暴走した魔物は斬られた前足を再生させ、口から闇属性の魔法の玉を出していく。
「そんな弱っちい魔法効かねぇぜ!」
エースは魔物の魔法に一切屈しず、交わしていった。一方小雨はスレスレで何とか魔法を避けていく。そしてついに魔物は魔法を使い切り、弱っていく。
「コサメ!」
魔物を挟んだところにいる小雨に聞こえるように声を出した。
「俺は前から首を切る!お前は後ろ!」
「りょーかい!!」
小雨の掛け声と同時に二人は動き出した。小雨は後ろから飛び、エースは前の顎から首を斬る。
力を入れながら
「いっけ!!」
「っ……!」
それぞれが右から左へと剣を振る、太い首はそう簡単に斬れないーー
「……はぁああっ!」
小雨が一気に力を入れた。それと同時に瞳の輝きも増す。そうすると不思議とエースの方も気合いが入ったのか、力を入れ始め、ついにーー
「うっし!」
「はぁ……はぁ……」
魔物の首が斬れ、血を噴き出しながら黒い塵となって消え始めた。辺りの草は血まみれになり、悲惨な光景だった。そして疲労のせいか、地面に倒れ仰向けになった小雨。ふと剣の血を振り払っているエースを見た時、瞳を丸くした。
「お前も俺と一緒で目に浮かび上がるんだな」
「……は?」
間抜けな顔が小雨を見下ろす。次の瞬間驚いて目を触ったりするが当然見えず、最終的に剣の鏡のような反射で自分の目を見た。
「……んん?」
「……ほら、あるだろ?」
小さいが確実にそこには白く輝く星のような光があった。しかし小雨が目をつぶってしばらくした後、開く。それと同時に二人の瞳から星は消えた。
「……よ?」
見上げて
「なんだ?」
「付与……もしかして拳をぶつけた時に付与したんじゃないか?」
目を閉じて
「そんなバカな……」
「……よっと」
エースは自分の剣の先で小雨の腕を少し刺す。
凄まじいスピードで起き上がりながら
「痛って!」
起き上がった小雨を顔を覗く、その瞳にはやはり、あの白い星。エースは小雨の目の前にしゃがんで拳を突き出した。
「ほら、実験」
「……」
納得していないような顔で小雨は拳をぶつけた。その瞬間ーー
目を丸くして
「……えっ」
「見える?」
エースは再び自分の剣で確認した。小雨と拳をぶつけてから瞳に白い星が現れる。エースは何か思い出したような顔をした。
「そういえばーー」
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魔物を後ろから切りつけながら
「なんか今日すっげー気合い入る!」
魔物の隙をついて攻撃を入れながら
「お前戦うの好きなんだな」
笑顔で
「あぁ!昔兄ちゃんとよく戦っててさ!」
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「お前の能力すごいな……」
感心した様子で小雨を見た。
嬉しくもない様子で
「……でもこれは俺の不幸の元で成り立ってるからな」
「あ〜、それは」
その言葉に気まずそうな顔をした。しかしそんな空気を壊すように小雨はエースに向かって口を開いた。
ニヤッとして
「だから絶対やらかすなよ?」
「……あぁ!もちろんだ!」
小雨は立ち上がり、土を払った。二人は準備を整え、次の魔物を探すため、さらに森の奥へと足を運んだ。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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