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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第二章 【オルド国の神隠し】
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たまには休憩も必要①

「ごめん!またせたな〜」


小雨がフランソワの部屋に入るとフランソワはタルトに手をつけていなかった。どうやら小雨が出て行ったきり一口も食べずに小雨のことを待っていたのだろう。


頬を膨らませて

「……」


苦笑いしながら

「えぇ?もしかしてお怒りのご様子……?」


「おーそーいー!」


「だからごめんってば!」


椅子に座った小雨の肩をフランソワはポコポコと叩く。その拳は丁度いい強さの肩たたきレベルで、フランソワがいくら全力で叩こうが、小雨には一切効かなかった。


そこからしばらく時間が経ち、机の上に置かれていた大量のタルトは二人がペロリと完食した。


お腹を擦りながら

「もう食えねぇ……」


床に仰向けになりながら

「私ももう入らないの」


二人は椅子から降りて地べたにそれぞれ座ったり寝転がったりしていた。小雨はふと、アテナの言葉を思い出す。


(もうそろそろ本気で向き合わないと、本当に取り返しがつかなくなる……か)


小雨はフランソワの隣に寝転んで一緒に天井を見た。フランソワは早起きをしたからなのか、あくびが止まらない様子だった。


目を擦りながら

「ふぁ〜……ちょっとお昼寝するの」


フランソワはおぼつかない足でベッドまで向かった。そして布団の中に潜り込み、数分も経たないうちに寝息が聞こえてきた。


「りょーかいです」


小雨は立ち上がり、テーブルの上の食器の片付けを始めた。片付けと言っても二人分だったので本当に少ない量だった。


「これで四人目……犯人はどういう動機があって誘拐なんてしてるんだ……?」


小雨はテーブルを布巾で拭きながらブツブツと呟く。時々その声にフランソワが反応して身動ぎをした。


身を丸めながら

「んん……」


フランソワの方を向いて

「……ほんっと変わったよな、こいつ。最初は仲良くする気なんてないとか言ってたくせに」


小雨はクスッと笑った。まさかここまで懐くとは思いもしなかったからだ。人生というのは何があるのか分からない。


「よ〜し、片付け終わり!」


小雨は食器を高く積み重ねてキッチンへ向かう。フランソワの部屋のドアは何とか肘で開け、お皿を運ぶ。長い廊下を歩いている時、向こうから見覚えのある執事服の男性が見えた。


目を凝らして

「……お?」


目を逸らして

「げっ……」


向こうから来ていたのはエースだった。小雨を見るなり顔を歪めた。


「そんな顔すんなよ〜」


「俺がどんな顔しようがいいだろ、ガキ」


「はぁ?!ガキじゃねぇし!」


小雨が一歩、エースのものへ踏み込んだ瞬間バランスを崩してお皿を落としそうになる。


「おおっととと!」


その事に気がついたエースは舌打ちをしてから小雨に近づき、皿を支える。こういう所、エースは何だかんだ優しいのである。


「皿くらいちゃんと持てよな」


「ごめんって、ちょっと油断してた」


ため息混じりにエースが言った。小雨の返事にエースは更に顔を歪める。


小雨の胸を指先でつつきながら

「だからそんな軽い気持ちが最・悪・に・つ・な・が・る・ん・だ!」


「あぁわかった!わかったから!皿落ちる!」


エースにつつかれることで再びバランスを崩しそうになった小雨。何とか持ちこたえたが次は耐えられるかは分からない。


「……ったく」


エースがため息を吐いた。その後小雨の持っている皿を掻っ攫って小雨が行く予定だったキッチンへと歩いて行った。


目を輝かせながら

「うええぇいいんだ?!」


「お前えにやらせると絶対皿割るだろ」


キッチンへ歩いていくエースについて行く。文句を言いつつ何だかんだやってくれるエースにエースに対しての好感度が少し上がった。


「お兄様〜!ありがとうございます〜!」


「朝からうっせ」


小雨の感激の言葉にエースは頬を赤らめながらも鬱陶しそうにし、小雨が隣に並んで歩いている時には足を伸ばして小雨の足に引っ掛けて転ばせた。


「……いってぇ!!んだよ!性格悪いな!」


小雨は転けた姿勢のまま顔だけあげてエースを睨んだ。しかしエースは小雨に見向きもせずに歩いていく。


「はっはっはー!ガキは大人しく床に這いつくばっとけ」


エースがどんな表情をしているのか何となく予想ができてしまった。小雨は立ち上がり、大股でエースに近づいて左肩を叩く。


「なんだよ」


エースが振り返った時、左頬に指が刺さった。


「……は?」


「引っかかってやんの〜」


(……イラッ)


ニヤッとしながら

「エースったら〜こんなことで怒っちゃうのか〜?」


煽る小雨にエースの額に青筋が浮かび上がる。エースは小雨に近づきながらニコッとわらった。


「……くっ……あっははは。可愛い仕返しの仕方だな、舐めんじゃねぇよガキ!」


胸ぐらを掴まれた小雨の顔に汗が浮かぶ。しかし胸ぐらを掴まれたと同時に廊下にガシャンッ!という高い音が鳴り響いた。


「「ん??」」


二人は顔を見合わせ、その次に下を向くとそこにはーー


「皿割ってんじゃねぇか!!!!」


「……あ」

最後までお読み頂きありがとうございました!

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