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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第二章 【オルド国の神隠し】
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お前はどうしたい?

小雨はフランソワの部屋へと戻る。しかし屋敷が色すぎるため、たまに迷子になりそうだったが何とか辿り着いた。


部屋を三回ノックする

「フランちゃ〜ん、俺だよ!小雨!」


「はーい」


中からフランソワの声が聞こえた。泣いたあとだからか、少し震えているように聞こえた。返事があったため小雨はずかずかとフランソワの部屋に入る。


少し入ったところで立ち止まる

「あれ、これって」


床に白い封筒が落ちているのに気がつく。この封筒は昨日レオがセリシアに渡していた封筒だった。


封筒の宛先を見ながら

「ミッシェル……誰だ?」


背を向けながら

「ミッシェルを知らないの?この国で一番偉い人……」


フランソワが背を向けながら小雨に話しかける。その声には驚きが少し加わっていた。


フランソワの方を向いて自分を指さしながら

「うん、俺ナクライアから来たから」


「ナクライア……」


小雨の言葉を聞いてフランソワは黙り込んでしまった。ナクライアで何かあったのか、それを知るのはフランソワのみ。


目をキョロキョロさせながら

「え?俺なんかした?」


振り返って首を振りながら

「ううん」


「あぁ〜よかった」


フランソワの言葉に小雨は安堵する。大袈裟に胸に手を当てた。


フランソワの隣に座りながら

「てかてか、フランちゃんはお姉ちゃんが居なくなったから部屋に引きこもって部屋もこんな事になっちゃったんだよね?」


「……」


フランソワから目線を外し、正面を向きながら

「なるほど、言いたくないんだ」


二人の間に気まずい空気が流れた。しかし突然小雨が手を叩き、フランソワの方を向いた。それに気がついたらフランソワも小雨の方へ向く。


目を細め、口角を上げながら

「フランちゃん、髪切ろ!髪!」


困惑した表情で

「……髪? 」


「そうそう、前髪見えないとしんどいでしょ?あとそっちの方が可愛い……ね?」


俯きながら

「でも私、髪の毛切ったことなーー」


「俺が切るよ!妹の前髪切ったりしてるし?」


フランソワは再び小雨の方を見る。明るい声、表情をした小雨を見てつい頷いてしまった。


「よーし、じゃあハサミ探さないとな!」


小雨はしばらくフランソワの部屋を見た。引き出しの中、タンスの中など、様々な場所を見ていく。そしてついに見つけた。


床には切り刻まれた写真とその隣にハサミがあった。


「ふーん……よし!じゃあこっち向け!」


小雨の方を向きながら

「本当に切れる?」


ハサミを下ろし、L字型の手に顎を乗せ、自信満々に

「俺こう見えて妹の前髪カット歴5年だから」


少し微笑みながら

「……すごいね」


「だろだろ〜?」


まずはフランソワに自分の顎の下に袋を持たせ、小雨は櫛でフランソワの前髪のクセを解いていく。フランソワの髪は驚くほどサラサラで触り心地が良かった。


「じゃあいくぞ」


小雨がフランソワの前髪にハサミを入れていく。部屋にはシャキシャキと言う音がリズム良く響いた。


ハサミを置いてフランソワを少し離れて見る。


「おっ?結構似合うじゃん」


「ほんと?」

ポカンとした顔をする


フランソワに向けてグッドしながら

「あったり前!俺が嘘つくわけないじゃん」


視界を遮る物が無くなったフランソワは驚きのあまり部屋を見渡す。


部屋のカーテンを思いっきり開けながら

「お前もいつまでも引きこもってないでさ〜、たまには出たら?……外」


日光が部屋の中に差し込む。久しぶりの光、自然の温もりに触れたフランソワは小雨を見て黙り込む。


「……」


黙り込んで指遊びをするフランソワを見た小雨はゆっくりフランソワの前に近づきしゃがんで目線を合わせた。


優しい声で

「無理はしなくていい、自分がしたい事をすればいい……お前はどうしたい?」


フランソワはそんな小雨の言葉に顔を上げる。前髪が短くなったフランソワは瞳が大きく、光が顔に当たり、表情がいつもより明るく見えた。


震える声で

「わ……私は」


小雨は急かさずにじっと待った。フランソワのタイミングというものがある。小雨はそれを知っていて何も言わずに静かに次の言葉を待った。


「……言わない」

目を逸らす


「……わかった、また相談事があったら俺に言ってね」

一瞬驚いた表情をし、すぐに柔らかい表情になる


小雨立ち上がり、フランソワの部屋の片付けを始める。まずは床に散らばっているズタズタのクッションやぬいぐるみを拾って一箇所にまとめる。


少し驚いた様子で

「片付けなくてもいいのに」


手を止めずに作業をしながら

「これは俺の自己満だからね?」


小雨は時間をかけて片付けをしていく。その様子を見たフランソワは罪悪感を感じたのか、小雨と一緒に片付けを始めた。


約一時間程で部屋は片付いた。始めたフランソワの部屋に来た時は床中綿だらけだったり、敗れたクッション、恐らく写真立てのであろうガラスの破片が落ちていたりと悲惨な状態になっていた。しかし今では綺麗さっぱりになって本当の部屋の広さが分かる。


その場で伸びをしながら

「昼飯一緒に食べに行くか?」


少し疲れた様子で

「部屋からは……出たくない」


部屋の外へ出ながら

「ああ……そう?わかった、じゃあこの部屋に持ってくる」


小雨はフランソワの返事を待たずにキッチンへ向かう。


キッチンへ到着するとフランソワのお昼ご飯が既に準備されていた。今日のお昼ご飯はカレー。重くなく、軽くもなく丁度いいお昼ご飯だった。


小雨はカレーが乗ったお盆を持ち、フランソワの部屋へ向かうその途中、廊下の向こうからエースか歩いて来るのが見えた。


目を見開きながら

「お、エースじゃん」


目を細めながら

「一丁前に仕事してるな?で、どうなんだフランソワの方は」


ドヤ顔をしながら

「いやいや〜、こりゃまた上手くいったもんでね〜」


小雨はそう言ってエースの横を通り過ぎ、歩いて行く。

エースも口を開くことなく自分の行くべき場所へ向かった。


小雨はフランソワの部屋の前へ辿り着き、肘でドアを開けた。


お盆のバランスを取りながら

「よいっ……しょ!お待たせ!フランちゃん!」


部屋に入ってきた小雨を見る。フランソワは部屋の真ん中にあるテーブルの所で待機していた。そして小雨が持っているお盆が一つしか無いことに気がつく。


首を傾げながら

「コサメは食べないの?」


お盆をテーブルの上に置きながら

「俺はお腹空いてないからいーの」


フランソワは手を合わせていただきます、と小さく呟いてからスプーンを握ってカレーを食べ始めた。


頬ずえをついて

「この後俺行かないと行けない場所あるからいい子にしてろよ?」


スプーンを持つ手を止めて

「もしかしてミッシェルの所?」


指を鳴らす

「ご名答!」


「でもなんで?」


ポケットから手紙を出してヒラヒラと見せる

「これね、ナクライアのレオから渡しといてだって」


「ふーん」


まるで興味がないように返事をしたフランソワは再びスプーンを動かしてカレーを食べ始めた。


小雨はそんなフランソワを横目に写真立てを見ていた。写真立てに写っているのはフランソワともう一人、ピンク髪の少女。


最近撮ったのだろうか、フランソワも見た目が変わらず七歳くらいの幼い子だった。その二人の隣には召使いが二人、恐らく二人の専属の召使いだろう。


視線をフランソワに戻す

「やっぱり前髪切ってよかったな」


スプーンを止めずに

「……うん」


そこで二人の会話は終わった。丁度フランソワもカレーを食べ終わり、小雨はこれからお盆を片付け、行くべき場所へ行く。


お盆を持ち上げ、部屋の外へと向かいながら

「帰ったらいっぱい遊んでやるからちょっとまっててな〜」


軽い足取りで進んでいく。小雨は再び肘でドアを開け、出て行き、キッチンまでの廊下を歩いているとーー


「ありがとう」


背後からフランソワの声が聞こえた。小雨は驚く。そして立ち止まり、フランソワの方へ振り返った。


小雨に感謝を伝えたフランソワの表情は少しばかり明るく見えた。小雨は部屋の外に出たフランソワの姿を見て笑みをこぼす。そしてーー


片手でお盆を持ち、フランソワにグッドサインを出しながら

「いいってことよ!」


そう言って小雨は背を向けてキッチンへ向かった。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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