番外編③/大事な友達
某日、深夜二時
ローレンス家の一階のとある部屋の窓から光が漏れていた。深夜ということもあり、漏れた光の存在感が強い。その光を放っている部屋はちょうどアランの部屋で、アランは何をしているのかと言うとーー
「……」
アランはラフな姿で部屋の地べたに胡座をかき、お酒を飲みながら読書をしていた。
「あー、目いた」
長時間文字を見ていたせいか、目が痛くなる。目頭をしばらく揉んでいると痛みが落ち着いたのか再び読書を始めた。しかし、一度途切れてしまった集中力は中々戻らずアランは本を閉じた。
「ミステリー系面白いけど気分転換にこういうのもいいな」
アランは自分が読んでいた本をお酒を飲みながら左手で持ち上げまじまじと眺める。あらすじは異世界に来た少年が敵組織の目的を暴いていく物語。
「うーん、俺がこの物語の主人公だったらメンタルズタボロだな」
そう呟くと本を本棚に戻し、結んでいた髪の毛を解いてベッドにダイブした。一人で使うには大きすぎるサイズのベッドに一人で寝ころべるのは少し背徳感がある。
「明日何しよっかなー」
枕に顔を埋めながら呟いた。アランはローレンス家の次男であり、仕事は兄であるレオがやってくれるため全く回って来ない。それはとてもありがたいことだったが逆にやることが無くて暇になってしまう。
「何か暇つぶし……」
売店の手伝い、協会の手伝いなど様々な暇つぶしが思いつくがやはり二度とすることはないクレアの宿での手伝いが脳裏に浮かぶ。小雨がこの世界に来る前アランはちょこちょこクレアの宿の手伝いをしに行っていたのだ。
「うーん、まだ実感湧かないな」
アランは仰向けになり、布団を胸の下くらいまで上げる。そして真っ白の天井を見上げた。クレアが死んでまだ一ヶ月も経っていない、あの出来事がまるで昨日のようだった。
「でもあの時クレアはどう足掻いても俺に殺される運命だったけどな」
アランの言葉が部屋に響く。もちろん部屋にはアラン一人なので返事するものは居ない。そんな中アランは言葉を続けた。
「あの時多分コサメは俺が手加減して浅く切ったって思ったんだろうけど」
あの日アランとクレアは初めて向かい合って戦った。しかしクレアはアランの圧倒的強さに勝てる訳がなく押されてしまい、魔法を爆発させてしまった。最後にはアランの一撃で動きを止め、クレアは最悪の死を遂げることなく静かに亡くなった。しかし本当はーー
「あの時俺が致命傷与えたからクレアは死んだんだよな」
あの時アランはクレアの心臓を胃を斬って致命傷を与えた。この真実を知るものはアランとクレア以外に居ない。本当はアランが致命傷を与えなかったらまだほんの少しだけ可能性はあった。しかしアランはあの時、クレアに対する明確な殺意があった。
「友達を殺そうとしたら誰だって怒るだろ?」
アランにとって小雨は唯一の友達。今までローレンスという名を出すだけで周りから引かれ続けていたアランにようやく心から一緒に居て楽しいと思える友達ができたのだ。その友達を殺されるなんてたまったものではない。
シャトンの時もアランは殺す気ではいたが、回生魔法というものがこの国にはあるため、人生そう上手くはいなかない。
「あ〜あ、あの時クレアが本当のことを口に出さなくて良かった!」
明るいトーンの声で呟くその言葉を最後にアランは眠った。
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