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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第一章 【予言】
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第一章/閉幕

三人が一気にファミリーに向かって地面を蹴り、一気に距離を詰めて3方向から襲いかかった。No.一が三人に向かって指を指すと、次々とファミリーも動き始める。


アランは慣れたように次々と魔物と化したファミリーの首を自分の炎魔法を活かして斬っていく。しかしーー


「なんで復活するんだよ!」


斬られた首がお互いに引き合い、再びくっつく。ファミリーの人数を見ると、さっき斬ったはずのNo.四も首が再びくっついていた。その後も斬っても斬っても再びくっつくファミリーにアランはついつい文句を言った。


「今まで色んな魔物と戦ってきたけどこんな魔物見たことないよ!」


「チッ……しつこいですね」


ケインも特異魔法を使って、斬りつけていくがファミリーは再び復活する。このままだとただ魔力を無駄に消費するだけだ。


「あっ、もしかしたら……!」


リンは何か思いついたようにまずはファミリーの一人に向かって斬った。


「インフェクション!」


その後、すぐに特異魔法を発動するとファミリーの一人は細胞が壊れ、爆発する。

地面に散らばった肉塊を観察すると戻っていく様子もなかった。


「リン!今のは……?」


「特異魔法を使ってみたんだよ!そしたらここまでバラバラになればもう元には戻れないみたい!」


「流石です、リンさん」


「じゃあ二人とも!ある程度の足止めはお願いね!一度に魔法を発動できる人数は決まっているの!」


作戦が切り替わる。最初はただ全員がひたすら斬ることに集中していたが、思いのほかそれが効かず、リンの特異魔法に頼ることになった。


「いい調子だぞ!このまま押せば……!」


三人は協力して戦っていく。ケインとアランはリンが狙ったファミリー意外のファミリーの足止めをし、リンはファミリーを二人ずつ斬って特異魔法を発動し、身体の中の中から壊していく。


残り4人ーー


「よし!二人ともいい調子だ!」


「ローレンスさんに褒められると何だか嬉しいです」


「ケインの言う通りよ!こんな有名人から褒められておまけに一緒に戦えるなんて、これ以上いい事なんてないよ!」


「まぁまぁその話はまた後でな!」


アランは二人の話を聞いて瞳を細めた。嬉しかったのだろうか、それとも単に集中しているのか。残りは四人、さっきと同じように倒していく。


残りのファミリーが二人になった。片方のファミリーのバッジにはNo.一と彫られて、もう一人はバッジすら付いていなかった。リンはさっきと同じように斬りつけて特異魔法を発動したがーー


「おいおいおい!何で生き返ってるんだよ!」


三人はおぞましい物を見てしまったかのように目を見開いた。遠くで見ていた小雨もこの光景には驚きを隠せないでいた。水色の瞳が小刻みに揺れる。


「何であの人だけ復活するんですか……!」


「ええっ?!嘘でしょ!!」


復活した人はNo.一のバッジを付けている。復活したNo.一はしばらくそこに立ち留まった。三人の視線はNo.位置に固定され、それぞれがこの後どう対処するか考えていたその時ーー


「っ!!伏せろ!」


No.一は三人の頭に向けて闇魔法で作り出した漆黒の刃を飛ばした。三人が再びNo.一に向かって構え、攻撃を仕掛けるがーー


「いたっ!」


リンはNo.一がリンに指を指したその瞬間、闇属性の攻撃をもろに受けてしまい、胸に裂傷を作ってしまう。その傷からは鮮血が溢れ、地面に血の水溜まりができる。


「リンさん!」


リンの方に気が取られてしまい、ケインもNo.一の攻撃を受け、腹部にリンと同じような裂傷を作ってしまった。No.一は気が狂ったように闇属性の真っ黒なオーラを体から出し続けていた。


「二人脱落か……」


残されたアランは少々焦りを感じながらもNo.一を倒す為に剣を構える。


「さぁて、どこから来るか……」


アランはNo.一から目を離さなかった。No.一は体からオーラが止まることなく溢れ続けている。No.一が1歩踏み出した瞬間、その場から姿を消した。


「……どこ行っーー」


アランの背後に影が差した。アランは足元に映った影に気が付き、瞬時に振り返る。さすがローレンス家、そこら辺にいる人とは一味違う。


その後、アランはNo.一が撃った魔法を剣で弾きながら何とかNo.一に接近し、剣を振り上げるがーー


No.一は見逃さなかった。アランが剣を振り上げたその時に隙が生まれたことを。


「っ!!……あ……」


アランはNo.一が作り出した闇属性の刃物に腹部を貫かれる。刃物にはアランの血が伝って地面に水たまりを作っていく。その痛みにアランは剣を落としてしまった。アランはそのままファミリーの建物に投げられ、そのまま建物の壁を突き破り、ものすごい音と共にその姿が見えなくなった。


「アラン!!!」


アランを心配した小雨は姿を現す。周りを見渡すとリンとケインは血を流しながら地面にたおれていた。


No.一は小雨の存在に気が付き、再び体からオーラを出した。そのNo.一を見て小雨はつい構えてしまうが、現状は戦う術もなくどうしようもなかった。


「ははっ……俺の人生ロクなことないな。」


小雨は半分諦め気味、No.一は小雨に向かってジリジリと近づいてくる。


(どうして俺ばっかりこんな目に会わないといけないんだろう?何で俺?)


心の中で自分に質問をする。当然返事は帰ってこない。


「……でも」


(俺は決めたんだ。もう護ってもらうだけの……ただ見るだけの自分とはもう決別すると)


小雨の瞳に白い光が走った。

No.一は止まることなく小雨にジリジリと近づいていく。小雨はNo.一の事を見つつ、アランの剣を拾いに行き、No.一に向かって剣を構えた。


「俺は……俺は!!」


今までの人生を振り返る。

あのクソみたいな日々、毎日精神削りながら生きてきた日々。いつも自分は何も出来ずに遠くから見ているだけ。それ以前にボロボロだった自分さえも護ることができていなかった。


(でも俺は変わるよ。この世界に来てからアランの姿を見て思ったんだ、このままじゃ俺はダメだってね。だからーー)


「俺は変わる!!いつまでも護ってもらう弱い俺は嫌だ!!」


その言葉と同時に小雨の瞳に星のような白い光が入った。この前みたいな一瞬ではなく、今回は一目で分かるくらいはっきりしていた。


「……はぁっ!」


小雨の異変に気がついたNo.一焦ったのか小雨に襲いかかるがーー


気が付けば小雨に首を斬られていた。どうしてか、小雨に斬られたNo.一の首は戻ることなくそのまま動かなくなった。


「あ〜あ、もっと楽しませてくれても良かったのに。マリーが頑張って作った薬、すごいでしょ?」


上から声が聞こえた。


「だ、誰だ!」


思わず声を上げる。声が聞こえた上を見上げると先日森に行った際に出会った背の低いマリーが建物の屋上に座って足をぶらぶらさせていた。


「昨日ぶりだね、コサメくん」


しばらく小雨を見下ろしたあと、マリーは屋上から飛び降り、そのまま綺麗に着地をする。


「コサメくんの仲間はみんな脱落しちゃったね。残すところは君だけだよ?……どうするの?」


「どうするって言われても……そもそもお前は誰なんだ?」


「ちゃんとした自己紹介がまだだったよね。マリーは魔女遊戯会の呪いの魔女だよ」


「魔女……遊戯会?」


初めて聞く言葉だった。この世界で生きてきて、まだ一度も聞いた事も見た事もないーー

こともなかった。


クレアが言っていた。予言なんて遊戯会の嘘ーー

その言葉を思い出す。


「遊戯会って……予言のか?」


「よく分かったね、正解だよ」


マリーは内心驚いたように小雨の事を見た。その目は光も何も映しておらず、ただ小雨に視線を向けていただけだった。


「来る日。異人が決断を下した時。世の常識が覆される。

異人は世界に災をもたらす存在になるだろう……この予言、知ってるでしょ?」


「うん、知ってる」


マリーが復唱したのはやはり、死んだシャトンの日記に書かれていた例の予言だった。小雨はその予言を聞いて何か頭にピンと来たーー


「異人って……やっぱり俺の事なのか?決断って……」


小雨は気がついてしまった。恐怖で思わず後ずさり、そのまま岩に足を引っ掛け尻もちを着いてしまったが、今はそんなこと構ってられなかった。


「やっと分かったの?異人は君のことで、決断はさっきのことだろうね。こうして無事に特異魔法を取得してこの世の常識を覆しちゃった。本来魔法はこの地に生まれ育った者しか持たないのに」


「じゃあ……最後の災いをもたらす存在になるだろうってどういうことだ?」


マリーは少し考えた。この事を言っていいのか、それとも言わずにいるべきか……けど結局口を開いていたずらっぽい笑みを浮かべて言う。


「残念だね、君は魔女遊戯会に目をつけられちゃったんだよ……ほんとうに可哀想」


「……嘘……だろ?」


マリーがくすくすと笑う中、小雨は絶望した。


「じゃあこれから頑張ってね……第二章も楽しみにしてるよ、主人公」


「おい、第二章ってーー」


マリーは小雨を見下してスクッと笑ったあと、小雨の言葉を無視して一瞬にしてどこかへ消えてしまった。


「げほっ、げほっ」


小雨は咳をしたと同時に鼻血が垂れ、口からも血が垂れる。それに驚いた小雨はもしかしてら死んでしまうのかもしれないという恐怖心に襲われるが今はそれどころではない、真っ先にファミリーの建物に入り、自分を護っていてくれていたアランの所へ向かう。


「っ……アラン!」


小雨は壁に背を預けて座っているアランを見つけると真っ先に駆け寄った。アランの腹部を見てみると血が止まらず、おまけに息が荒い。服に血が染みて真っ赤に染まってく。


「……コ……サメ?」


小雨がアランを呼ぶ声にアランは微かに意識が浮上した。アランの声は掠れており目は焦点を合わせてない。


「い……今から協会に行けば……!」


「はぁ……シクった……相棒……No.一はどうなったんだ?」


「お、俺が倒した!」


小雨の言葉にアランは微かに目を見開いた。自分では相手が出来なかった敵を小雨は倒してしまったからだ。


「はっ……やるじゃん」


アランは肩手を挙げた。いつものハイタッチだろう。

小雨はなんとも言えない顔でそのハイタッチに応じたその時ーー


「……え?」


アランの腹部の傷が癒えていく。しかしそれ以前に小雨の瞳に再び白い星が宿った。


「あ……え?あ、相棒!生きてたのか!って……は?」


アランは自分の傷が癒えていくのに驚きを隠せていない。しかし他にも驚く事があった。小雨から魔力が感じられる。白い光を宿した目、それに鼻血と吐血、これは魔法を使いすぎた時に出る典型的な症状だ。この状況を見たアランは混乱に陥った。


「え?お前魔法……え?」


「俺にもよくわかんないんだけど」


「……ぷっ……あっははは!お前はいつも俺の予想を超えてくるな!詳しいことは絶対後で聞くからな!」


アランが笑う。その姿を見て小雨は安堵し、そのまましばらくの間アランと笑った。


「そうだリンたちどうにかしないと!……相棒!ついてきてくれ!」


完全復活したアランは立ち上がり、リンとケインの方へ向かう。自分より他人が心配なのだろう。小雨はアランの言葉に勢いよく立ち上がり、アランの元へかけて寄っていくが一度立ち止まる。


「そもそもファミリーの目的って何だ?……さっき第二章って言ってたよな?」


小雨の中に一つの疑問ができた。アランは立ち止まる小雨に気が付かずにリンたちの元へと向かってしまった。


「主人公……それは物語で一番大事な役割を担う役……つまり極端に考えると魔女遊戯会を止められるのは主人公の俺しかいないんじゃないか?」


小雨は顎に右手を添えて考えた。しばらく考えたあと、何か閃く。


「あぁ、なるほど。これは俺が始めた物語なのか……じゃあやってやるさ」


小雨はアランが行った方向へ向かう。ファミリーの正面玄関を潜る時、こう呟いた。



「俺は魔女遊戯会の目的を暴いてこの公演を終わらせてやる……!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふふっ……マリーたちの公演、楽しんでくれたかな……?


予言の通り、コサメくんは弱い自分を捨てると決断を下し、本来ならこの世界に生まれ育った者しか持たない特異魔法を手に入れて世界の常識を覆し、彼はこの世界の生きる災いになってしまった……


ファミリーはあんなに必死で世界を守ろうと頑張っていたのに……ほんと滑稽だね。


今後のコサメくんの活躍に、期待しててあげてね読者さん。


もうそろそろこの楽しい公演も幕を下ろさないと……


じゃあ、またどこかで会おうね……親愛なる観客さんたち。

最後までお読み頂きありがとうございました!

一章完結です!


十月十六日から二章へ入り、一時と十七時の一日二回、毎日投稿する予定です!


それまでの間は間章を三日に一度の頻度で十七時に投稿していきます!内容は作品の裏話などなど……!


では、これからもよろしくお願いいたします!


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