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クソみたいな世界と決別を  作者: いっち
第一章 【予言】
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決着をつけよう

アランと小雨は上空に上がっていく黒煙の方へと足を止めることなく向かう……しかし現実はそう上手くいかないものだ。林道を歩いていると木々の間から先日見た猫のような魔物が出てくる。


「コサメ、お前は下がってろ」


「いや俺も……!」


「お前武器持って来てないくせにー?」


アランは呆れたように小雨を見た。確かに小雨は勢いで来てしまったため、武器の事など考えていなかった。


「……あ、確かーー」


小雨が「確かに」と言いかけた瞬間、魔物が小雨を目掛けて飛び出していく。それに気がついたアランは瞬時に地面を蹴り、魔物に急接近してから自分の剣に炎属性を宿し、魔物の首を斬り落とした。それもリンとケインと比べ物にならないぐらいの速さでーー


「油断すんなよ、コサメ」


「じゃあ俺は応援係しとくわ!」


小雨が胸を張って言った。


「はっ……何だよ応援係って。まぁお前はとりあえず俺の隣に居てればいいから」


「お、いいこと言ってくれんじゃんー?」


二人が楽しそうに会話している間にも二人に魔物はじわじわと近づいてきている。先日リン達と行った時より明らかに量が多い。一体この短期間で何があったのだろうか……

アランは小雨を護りつつ、剣を振り続ける。


「っくそ、キリがない……」


いくら魔物を斬り倒しても続々と湧いてアランと小雨を囲む。これだと無駄に魔力を消費してしまうだけ、そう考えたアランは小雨に提案する。


「コサメ、これ以上いちいち倒していたらキリがない。一、二の三で走る……いいか?」


「おっけー!任せろ!」


小雨の元気な返事にアランは頬を綻ばせてから頷いた。しかしすぐに真剣な顔に戻り、剣を鞘にしまいながら小雨の方を見る。


「一……二の……」


数字を唱えると共に小雨と目配せをして進行ルートを教える。剣が鞘に入り、カチッと音が鳴ったその瞬間ーー


「三!」


二人は一斉に走り出した。唯一魔物と魔物の間が空いており、その間を二人は通る。魔物たちは二人を全速力で追うがしかし小雨は大量が無くまだまだ一般人のため、もちろんアランについていける筈もなく……


「ぐぇっ!」


「はぁあああ?!」


後ろでコケた小雨を見て思わず声をあげた。しかし文句を言っている暇もないため、急いで小雨の元へ駆け寄り肩に担いだ。幸い魔物はまだ近くに来ていない。


「お前走れないなら最初に言えよ!!」


「うぅごめん」


アランは小雨を担いだとて速度は落ちることなく黒煙が登る場所へと走り出続ける。時々魔物が二人に襲いかかるがアランが属性魔法で足止めしていく。


「ああぁキリがねぇ!コサメ、この前行った時こんな量をリン達と相手したのか?」


「いいや、俺が行った時はこんなに多くなかったぞ!」


小雨の否定的な回答にアランの頭はこんがらがった。


「俺もこんな量の魔物見た事無いんだけど?!」


「ていうかこの魔物って、どこから生まれてるんだ?」


疑問が生まれた。アランも小雨の言葉を聞いて今考えてみればこの魔物はどこから現れたのかアランでさえ考えたことがなかった。


「それは俺も知らねぇよ」


「えぇっ?アランでも知らないのか?」


「俺はスーパー何でもできるマンじゃないんだぞ?」


「……だよな」


「いやだよなって何だよ、もっと言い方あるだろ」


小雨の肯定的な返事にアランは思わずツッコミを入れてしまった。アラン自身別に小雨の返事に期待をしていた訳ではなかった。しばらく走っていると向こうに建物が見えてきた。


「よし、小雨降りろ……って何だこれは……」


「……え……は?」


建物の前に到着すると辺りには血が飛び散っていた。建物を見上げると窓は所々割れており、窓から黒煙が立ち上っている。遠くから見えた黒煙はこれで間違いなさそうだった。


一体ここで何があったのか、その光景に目を奪われていたその時、建物からゾロゾロと人が出てきた。出てきた瞬間、その人たちの胸にあるバッジが太陽光に当たってキラッと光った。


「……ファミリー?」


小雨は思わず声が出てしまった。なぜなら胸にはファミリーのバッジがあったから。そうなるとここはファミリーの本部なのかーー


一人一人の様子を見ると、顔色が緑色だったり、紫色だったり、他にも焦点が合っておらず口からは涎を垂らしている人も居た。


「な……なぁアラン。これって……」


「俺に聞かれてもこれに関しては俺にも分からない……ただ一つ分かるのは」


一人が小雨とアランの存在に気が付く。顔は歪み、頬や首、腕には裂傷があった。そしてその男の胸元にはNo.一と彫られたバッジが付けられていた。ということはこの人はファミリーのNo.一 だった 人。


No.一がアランと小雨を睨む……それと同時に他の男たちも小雨とアランを睨んだ……人によっては目が抉れていたり、両目が無い人も居た。


No.一が二人を指さしたその瞬間ーー


「……はぁっ?!」


まずはNo.四がありえない速度で二人に向かって突進してきた。アランはありえないと声を上げながら瞬発的に剣を抜き、男の首を斬る。その後、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


「コサメ!!」


「コサメさん!!」


その声と同時に林道の奥からリンとケインの姿が現れる。


「リン!それにケイン!お前達も来たんだな!」


「そうそう!あの爆発音、見て見ぬふりはできないよ!」


二人も爆発音を聞いて即座にこっちへ向かったのだろうか、他の警備兵は連れていなかった。そしてリンとケインはアランの姿を見ると思わず固まってしまう。


「ろ……ローレンスさん?!」


リンは思わず声を上げた。


「おー、お前は確か……」


「初めまして、ローレンスさん。僕は国家警備兵第二部隊の隊員のケインと申します」


「俺はアラン・ローレンス、よろしくな」


ケインはローレンスに向かって完璧な挨拶を繰り出した。小雨の前では口が悪くなったり扱いが雑になったりするのに。小雨はそれに気がついて不貞腐れた顔をした。


「何ですか、そんな顔をして……もしかして不満でもあります?」


ケインが小雨をニコニコとしながら見た。その顔には余計な事を言ったら殺すと書いているようにも見えた。


「ケイン!自己紹介は後で!まずは今の状況を教えて貰もらっていい?」


「あぁ、俺たちはあの爆発音を聞いてここに来たんだ。お前達も同じか?」


アランはリンとケインに問いかける。


「えぇ、あたしとケインが手合わせしている時に爆発音を聞いたの、そしたら大団長に相談するのも忘れて身体が勝手にここに向かっていたというか……」


「なるほど、じゃあ俺たちは仲間ってことで」


「うん!そういうこと!」


武器を持っていない小雨を抜いた三人がファミリーの前に立ちはだかる。ついさっきNo.四を倒したため、ファミリーの残りは九人……おまけに助っ人も来たためアランはさらに気合を入れた。


「お前らー!!頑張れー!!」


小雨は戦いに巻き込まれない位置で三人を必死に応援した。


「お、応援団長が応援してくれてるぞ」


アランは必死に応援する小雨を見てクスッと笑った。そのアランの仕草で三人の間の空気は和み、リンとケインも頬を綻ばせた。


ファミリーのメンバーが三男に向かって襲いかかった。胸元にバッジは取れたのか、付けられていなかった。

そのため、元の番号は分からず、その人の実力がどのくらいか判断がつかなかったが、目の前に現れたのなら倒す……三人の目標はただそれだけだった。


「戦う前に、二人は特異魔法持ちか?」


「うん、アタシは最後に斬った生き物の身体の細胞を感染させて中から壊していく得意魔法だよ!」


「僕は全元素を自分が扱う光魔法の弱点に変換する特異魔法です」


「結構便利だな、また今度詳しく聞いてもいいか?!」


アランは興味津々な様子で二人に問いかけた。その表情を見ると二人の中のローレンス家に対する偏見が少し変わった。

今まで威厳があったため、近づきがたかったローレンス家。いざこう面と向かって話すと実はそうでは無いのかもしれない。


「うん!もちろんだよ!」


「えぇ、その時は是非茶菓子でも持って行きます」


三人はファミリーに向かって剣を構える。


「じゃあ崩壊したファミリーvs俺達!ひと仕事やりますか!」


アランの掛け声とともに戦闘は始まった。

最後までお読み頂きありがとうございました!

次回、一章完結です!

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