ごめんね
サクとクレアは幸せな日々を送っていたある日ーー
一緒に買い出しに行っていたクレアとサクは殺人事件に巻き込まれてしまう。サクの目の前にいた市民が何者かに刺され、サクは血飛沫を浴びてしまう。
血飛沫を浴びたサクを見た他の市民はサクを一方的に責め立て、冤罪をかけた。そしてサクは警備兵に連れて行かれてしまった。
クレアは必死に叫んだ。
「サクは!本当に何もしてないの!一緒に買い出しに行っただけで……!!」
サクはローレンス家の元で行われた裁判により、サクは牢獄へ入れられ、獄中で自害した。
その情報を知ったクレアはローレンス家の前で一人、絶望した。ローレンス家の庭ではとある兄弟が一緒に遊んでいた。
クレアはこの時、とある案が思いついたーー
未来の王である兄を殺すのではなく、兄が一番大切にしているであろう弟を殺そうと。
早速計画を練ろうとサクとの家に戻った。しかし彼女の身体に異変が起きていた。
魔法を与えてくれた学者が亡くなったことで、魔法が日に日に薄れかけていることに気がつく。
しかしそんなことに構ってる暇はなく、計画を立てながら生活をしていく中、次はお金に困った。今まで生活できていたのは彼が居たからで、クレア一人では何も出来ない。
結局家賃も払えないままクレアは家を追い出され、ご飯を食べられない日が何日も続いた。この時点でクレアの身長は百六十四cmから百五十五cmまで縮んでいた。
飄々と街を歩いていたクレアは国家非公認のファミリーという組織に拾われた。彼女の本当の姿を知らないファミリーはただ小さい子供が迷子になってるとしか思わなかったのだろう。
クレアは簡単な任務をこなせばお金が手に入ると知って、本当の名前を知られたくないクレアは偽名を使ってファミリーに加入。
その後、クレアは一人で膨大な量の仕事をこなし、お金を手に入れた。気づけばその時にはNo.二に上り詰めていたがその肩書きに微塵も興味はない。
稼いだお金を使い、ナクライア王国のとある大きい家を借りた。そこでファミリーに所属しつつ、表向きは宿と出して裏ではローレンス家の次男を殺す計画を立てた。
クレアはまず、小さい身体を利用して迷子になっている振りをしながら目的に近づいた。もちろん見て見ぬふりができない彼はクレアに話しかける。
「ん?お前迷子か?」
「み、道に迷ってしまって」
「じゃあ俺が案内してやるよ!俺の名前はアラン・ローレンス!お前は?」
「…クレアよ」
そこからはと言うと、友達が少ないアランはよくクレアに会いに行った。クレアはアランに優しくすることでまずは信用を得ようとした。
しかしそんな中、魔女遊戯会からファミリーに対してとある予言が囁かれたーー
来る日。異人が決断を下した時。世の常識が覆される。
異人は世界に厄災をもたらす存在になるだろう。
クレアは信じなかった。しかしファミリーはこの予言を利用し、事件を未然に防ぎ、国家に認めてもらおうと必死になった。
クレアは魔女遊戯会を信じなかった。
あの組織は人が苦しむところを見て喜ぶような組織だったからだ。
アランを殺す計画が順調に進んでいる時、小雨が現れた。
今一番邪魔な存在だった。しかしアランのお願いを断れず、つい引き受けてしまった。
そのままずるずる時間が過ぎて、結局は失敗してしまった。
原因は自分だ。いつまでも逡巡していたから。たったそれだけ。殺そうと思えばいつでも殺せた…しかしーー
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夕日に照らされ、ピカピカと光るアランの剣が小雨の目に入る。その先にはピンク髪の少女が、アランの剣で胸を斬られていた。
「うぐっ……」
「もう終いだ…クレア」
その後、クレアは床に横たえられた。クレアを斬ったと同時に結界も無くなった。
クレアが咳をするたび口からは血が溢れ出る。
「……これが魔法を使いすぎた代償?」
「あぁ、おまけにクレアは体が小さいから、限界を迎えるのが早かったのだろう」
「う……うぅ……」
クレアは瞳から涙を流した。今まで必死に立てた計画を壊された上、壊したのは自分の標的だったこと。
「本当は……もっと前に二人を殺そうとしていたの……だけど…だけど……」
クレアは一人で喋り始めた。もう全て終わったこと、せっかくなら全て吐き出そうと思った。
「シャトンとユーリを殺したのも……私で、あの二人…コサメを殺そうとしてたから許せなくて…」
魔法の使いすぎでクレアにかけられていた学者の魔法はゼロになり、おまけに魔法の過剰使用による副作用でクレアの体が壊れ初めた。
実際アランはクレアの魔法の使用を辞めさせるために浅く切っただけで、命には全く関わらないレベルだった。
クレアの体がホログラムのように舞っていくーー
「く、クレア?!」
小雨は驚いてクレアの名前を叫んでしまった。崩れていくクレアを見て小雨とアランは呆然とした。
「殺そうと…思ったんだけど…どうしても楽しかったの。貴方たちと一緒に過ごしてて…特にコサメくんは私のご飯を美味しそうに食べてくれるから…」
クレアは目を抑えて泣き始めた。クレアの涙が目から流れる血と混ざり、頬に垂れた。
「……ひっく……うっ……」
その後もクレアは泣き続けた。
そして小雨とアランを一瞥して泣きながら言ったーー
殺そうとしてごめんね
その言葉を最後に、クレアの体は消えた。ホログラムが夕焼けの太陽光に乱反射してとても綺麗だった。
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誰もいないナクライア王国。
まだ体が崩れていない頃のクレアがただ一人、噴水の近くにあるベンチに座っていた。ピンク色の結ばれていない長い髪。白いワンピース。大きくなるにつれ学者から貰った大切なもの。
「……」
虚ろなクレアの目はただひたすら噴水を見ていた。
その目はなんの感情も無く、全てを諦めた人の目をしていた。
クレアは立ち上がり、その場を去ろうとしたその時ーー
「落としましたよ」
「……」
「……僕の愛しい人」
「……?」
振り返るとそこにはーー
「僕の名前はサク…君の名前は?」
「っ…!わ…私の名前は!」
二人はその場で抱き合った。クレアの瞳は光が入り、感情のある人の目をしていた。
「クレア……私の名前はクレアよ」
「知ってる……僕がクレアの事、忘れるわけないじゃないか」
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某所、天井から豪華なシャンデリアがぶら下がる広いホールの中央にある丸いテーブルを今回は男性が一人、女性が二人。計三人が囲んで雑談をしている。
「魔女遊戯会雑談会〜!今日もやっちゃうよ〜!」
白髪のおさげの女性が場を盛り上げようと椅子に立ち上がり、ほかの二人に向かって明るい声で言った。
その瞳は硝子のように透き通ったピンク色の目をしている。
「いぇ〜い!」
「……」
赤色の長髪で、黄色い瞳が狐のような男性はおさげの女性のノリに乗って拳を上へ突き出す。一方、もう一人の少女は黒髪のツインテールのその白色の瞳に光はなかったが楽しそうに拍手した。
「そういえばマリー、最近どうなの?…その…お遊びの方は?」
「僕も気になっていたところだよ、最近君はよく部屋に篭もりがちだからもしかしたら熱中できるものを見つけたのかと思ってね」
「マリー、いいもの作った」
マリーは自分のワンピースのポケットから蓋がされた試験管を出して二人に見せた。中身は緑色の液体に所々黒いモヤがかかっている。
「これは生きてるものなら何でも魔物に変えちゃう薬ー」
「いやぁ君の発明はいつも素晴らしいよ!」
「ほんと、ヴァノンの言う通りよ!」
二人に褒められた少女は嬉しそうに頬を綻ばせたがそれでも瞳はなんの感情も宿していなかった。ヴァノンはおさげの女性にこっそり耳打ちする。
「で、この薬の開発でどれだけの人が犠牲になったんだろうねぇ?」
「確かに、考えただけで恐ろしいわ」
マリーは二人の様子を見ても特に何も思わなかった。マリーにとって、二人の会話はどうでもよかったのだろう。床につかない足をぶらぶらさせながら机に突っ伏す。
「ところでマリー、最近君が作った魔物やらが森をよく徘徊するのを見てね。魔物を作るのはいいが、そこら辺に放ったらかにしするのはできるだけ控えてくれるかい?」
「だって飽きちゃったんだもん」
「確かにヴァノンの言う通り、遊んだものはちゃんと片付けないと」
「……はーい」
ヴァノンとおさげの女性に注意されたマリーは棒読みで返事をした。
「そういえばファミリーは今どうなっているんだい?」
「どうやら内部はかなり荒れてるみたい、No.二が死んだからかな?」
「ファミリーはもう時期崩壊するんじゃない?さっきNo.二が死んだってルシアから聞いたよ。ほんと可哀想だね…魔女遊戯会に見つかったのが運の尽き」
マリーが顔を上げて言った。
「運の尽き……ねぇ。でもそのおかげで面白いショーを観られているのは事実じゃないかい?哀れむ必要は無いと思うよ」
「ヴァノンったら、慈悲の心がないの?」
「なんだい?僕にも心くらいはあるさこの前だってコサメくんを助けたんだし」
「コサメ?」
マリーがヴァノンに問いかける。どうやらマリーは小雨の存在を知らなかったようだ。ヴァノンを見つめるマリーの瞳が好奇心に満ち溢れる。
「あれ?君は知らないのかい?例の予言の子だよ」
「……ふーん。コサメくんって言うんだ…会ってみたいな」
「マリーったら絶対悪いこと考えてるでしょ」
「ははっ、さすがマリーだよ」
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ファミリー本部
洋風の広いホールに細長いテーブルを囲むように十人の構成員が座っている。そこにはローレンスにボコされたエミルもいた。そして五つの空席を確認してから中央にいる帽子を胸元にNo.一のバッジを付けた男が言う。
「ファミリーの構成員が次々と謎の死を遂げる。あのユインでさえ、死んでしまった」
「……あの予言のせいですか」
No.三のバッジを胸元に付けた男性がNo.一に向かって言った。
「あぁ、未だに異人は見つからない…このままだとこの世界はどうなってしまうか……お前らも引き続き例の異人を探し続けるように。これは我々の未来のためでもあるんだ」
その言葉が発せられた後、部屋に幹部たちの返事が響く。
次々と構成員が席を立ち上がっていくその時ーー
「ちょっと、ひとついいかしら?」
ローレンスにボコされたエミルが言う。No.十五は組織の中だと最下位であり、その言葉にほかの構成員は仕方なく再び席につき、エミルに耳を傾けた。
「この前、異人らしき人と会ったの」
「……なんだと?」
No.一が驚愕する。ほかの構成員もその姿を見て一緒に驚愕した。部屋の中にざわめきが起きる。
「さぁ、続きを」
「この前ナクライア国に用事があって向かっている時に一人の少年と出会いましたのその少年はいきなりここに来てしまった。とかなり焦った様子でしたわ」
その話を聞いて何か思いついたNo.三はエミルに問いかける。
「……じゃあもしその話が本当だとしたら異人は彼だと…?」
「えぇ、そういうことですわ。」
「……なるほど。ではこれから彼を最優的に狙え……詳細はあるか?」
「はい、もちろんですわ」
エミルは次々と情報をその場にいた構成員全員に言い渡していく。髪の毛が黒く、括っていること。目は水色だということ。服装はこの世界では珍しいシンプルな服装だということ。構成員はその情報を頭に刻み込んでいった。
最後までお読み頂きありがとうございました!
補足説明
Qクレアに特異魔法があったのはなぜ?
A実は特異魔法ではなく、精霊の力を使って半径百m内の人間の体内にある水分子と感覚を共有し、その人の会話などを聴きます。




