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安全第一異世界生活  作者: 笑田
旅と出会いと冒険と
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48話 聖女とトーさんの出会い 6

【冒険者 サト視点】


ギルド内は一瞬にして騒然となった。受付のおじさんは叫ぶ


「ゾイが魔生物に憑依された!浄化可能な聖職者、白魔法使いはいないか!浄化で魔生物を剥がせる!」


アタシはおじさんの言葉に絶句した。だって「ゾイ」ってあの時のナンパ男!!しかも魔生物に取り込まれてるとか!ありえない冗談はやめてよー!!うへーーアタシの魔力、どれくらい回復したかな?でもなんか大惨事になりそうだし、やりますか!!私が膝を付くとアリスが焦って声をかけてくる


「サト様!!まだ魔力が!!」


アタシはアリスと目を合わせ”ダイジョーブ問題ないよ”とニカっと笑う。王宮であんな糞野郎どもに使うくらいならアタシの力はアタシの思う時に使うんだ!!アタシは目をつぶり祈りの言葉を紡ぎだすとナンパ男は叫びだした


『居た!!お前だ!!お前が俺に恥をかかせたんだ!!死んで詫びろ!!お前の血を魔王様に捧げろ!!』


「おい!!嬢ちゃん逃げろ!!」


おじさんの焦った声が聞こえるが、アリスとジャックがアタシを守るために前に出て武器を構える。ナンパ男は剣を振る。


「ガンッ!!ガキン!!」

と、金属同士が激しくぶつかり合う音が、周囲の空気を震わせる。剣が交錯するたび、金属音が重なり合い、緊迫感が高まっているのが分かる。

焦る、もう少し待ってあと少し、あと少しだから!!焦りと恐怖で心臓が早鐘のように鳴り響く。目の前で起こっていることが信じられず、ただ時間が過ぎるのを待つことしかできない。

男の周りに、まるで星屑のような光が螺旋を描きながら集まり、徐々にその輝きを増していく。その時、私は思いっきり腹部に衝撃を受けて後方に飛ばされる。壁に叩きつけられるまで何が起こったのか理解できなかった。


「イタタ」


起き上がろうとしたが何かに捕まって起き上がれない。目を開けみると腹部にはアリスがしがみついていた。視線を這わせた先にあったのは、ナンパ男の剣が深く突き刺さった私がさっき居た場所。その剣の向こう側にはジャックが倒れている!!嘘!!絶体絶命だ!!!!アリスは私のお腹から手を離し、ナンパ男に向き直ろうとした。その時、彼女は私を見て目を見開いた


「サト様!!髪が!元に戻っております」


「え!!嘘マジ!!やばくない!!」


私が焦って自分の髪をつかんでいると視線の先でびっくりするおじさんの顔が見えた。これ、すぐに城に報告されるやつじゃん!!動揺している私たちに、キラキラとした光に包まれたナンパ男が、浄化に抗うように苦しそうに叫ぶ


『その血をささげろ!!魔王様にささげろ!!』


アリスの剣が、稲妻のように振り下ろされた剣を辛うじて受け止めた。しかし、その衝撃は凄まじく、アリスの腕に痺れが走る。間髪入れず、ナンパ男はアリスの剣を力任せに弾き飛ばした。その勢いのまま、体勢を崩し無防備な背中を晒したアリスの身体を捉え、容赦なく回し蹴りを叩き込んだ。


「アリス!!!」


私は叫んだ!!ナンパ男は次はお前だと言わんばかりに口角を上げ


『その血をささげろ!!』


私に向かって下ろされた剣は私の前に躍り出た人によってそらされた。

私に届かなかった剣先は、目の前の少年にあたり少年からは血が飛び散った。次の瞬間、闇が広がりナンパ男を一気に拘束する


「あーーくそ!!下手打った」


少年は血を流しながらこちらに振り向く、額から左目の近くまで続く傷からだらだらと血を流しながら、少年クロトは、


「逃げろ」


と、そう言って笑った。アタシはなぜか本当になぜか腹が立って、


「三つ編み男のくせに、偉そうにしないでよ!!」


「三つ編みにしたのはお前だろ」


クロトは呆れたように笑うと、ジャックとアリスと私を闇でまとめておじさんに放り投げた。おじさんは私たちを抱え受け止めクロトを見る


「オッサン!!そいつらたぶんなかなかの大物だぞ、こんな事に巻き込まれたとあっちゃ大事になる。そいつらはここには居なかった!!連れ出せ!!こっちは俺が抑える!!」


「わっわかった!!」


おじさんはクロトの言葉に大きく頷くと、気絶したジャックとアリスと私を抱え裏に入っていった。おじさんに必死に訴える


「ちょっと待ってよー!待ってってばー!クロトの傷、アタシが治したいんだけどー!あの子、まだ小さいのに、マジかわいそうじゃん!」


「すまん!!それは出来ん!多分あんた教会の上層部の隠し玉だろ。そんな人がこんな辺境で怪我したなんてあっちゃこの街どころかこの国がお叱りを受けるんだ!!」


おじさんは何を言っているの?隠し玉って何?


「あなたたちを聖国の教会に送る。安全な場所だ。決してこの辺境の名前を出さないでくれ、出ないと村もこの街も下手をすると消えちまう」


おじさんの切迫した表情に押され私は悔しいけど頷いた。おじさんとやり取りをしているとアリスが目を開けた。良かった。私はアリスを抱きしめ、おじさんに言う


「ねえねえ、おじさんさー、うちの国じゃ『情けは人のためならず』って言うんだよねー。


人に優しくするってさ、その人のためだけじゃなくて、自分にも良いことが返ってくるって意味のことわざなの。


うちのバーちゃんがいつも言ってたんだー。昔の人って、マジ良いこと言うよねー。


おじさんもさー、もうちょい周り見た方が良いよー。


きっとその優しさが自分を救うから、うちのバーちゃんみたいにね!」


私はアリスを抱きしめたままクロトが居る方向を1度見て、おじさんに向き直り笑顔で言いきった


「クロトはさー、うちにした優しさが、絶対巡り巡って返ってくるよー!クロトにはマジで良いことしか起こらないからー!」


おじさんはフッと柔らかい笑みを見せて、私たち3人を魔法陣に居れるとそのまま魔法陣を起動させて私たちはその場から美しい女神の像の真下に移動した。一瞬の事だった。


突然アタシたちが現れたにもかかわらず、周りはびっくりする事もなく、周りから神官やシスターたちが現れ、ジャックやアリスの傷の手当てを始めてくれた。


女神像を見上げ、手を組み祈った。


”あの子が、クロトが幸せになりますようにと彼に幸福が訪れますように”と、今私に残っている魔力をすべて使い果たす気持ちで祈った。キラキラとあたりは輝きに包まれた。この祈りが彼に届くと良いなと思いを込めて。




【冒険者ギルド 副ギルドマスタースパイク視点】


わしが3人を送り出しクロトの所に戻ると、闇魔法で拘束されたゾイを囲み3人の白魔法使いと僧侶が浄化を行っていた。


「聖なる光よ、穢れを払い清めたまえ」


「「エクス・ピュリフィカティオ」」


嬢ちゃんの浄化と合わせ3人分の浄化の魔法を浴び、ゾイに取りついていた魔生物は、灰になって消え去った。魔生物から解放されたゾイは青い顔をして倒れて伏しているが闇の拘束は解除されずそのまま維持されている。辺りは、騎士団に駆け出すもの、けが人の有無を確認するものなどギルドスタッフなどが冒険者に声をかけ誘導を始める。賑わいを見せるその中で、クロトは額から血を流しながら、わしの方をじっと見てきた。わしは小声で


「安心しろ3人とも治療してくれる安全な所に送った」


「そうか、感謝する」


安堵したクロトの顔を見て、先ほどの嬢ちゃんの言葉を思い出す。


『クロトはさー、うちにした優しさが、絶対巡り巡って返ってくるよー!クロトにはマジで良いことしか起こらないからー!』


この少年はこれからどんなめぐりあわせが待っているのか、わしの退屈な毎日に、楽しみが一つ増えただろう。


その後ゾイは魔族に憑依させらていた点を考慮し、ゾイの師匠に預けられることになり、その師匠のSランク冒険者ガルーダと伴侶のササ殿がこの地に訪れたことで、嬢ちゃんの言っていた巡り合わせだろうなと、ササ殿に追いかけられるクロトを見て感心した

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