321話 失せもの探しトリオ!潜入だ!
青い空を駆け抜けるのはキャメル色のたてがみを揺らす美しい馬
『フフン、フンフンフフフッフン~』
「ターはご機嫌だな?」
『モチのロンよぉ~。可愛い男の子たちと一緒にお出かけ最高じゃない~』
「ははは、ターは持ち上げるのが上手いな」
軽快に話すコーくんとターちゃんをみながら僕は緊張していた。
カナからは”従魔”のコーくん。
『プリン大好きなカナのおとうと』て説明されたんだけど、
メッチャしっかりしているし、まず見た目と中身が違い過ぎると思う。
セリーヌ公国からの帰り道は、トーさんのスキル内の小部屋でみんなでのんびり寝ている間に辺境に着いたから…僕が思うほど、コーくんと関わっていない。
先程"白竜の鱗”と聞いてから彼が宝珠があるという場所を示すのが早かった。
白竜と何か関係がある子なんだろうか?
僕の前方でターちゃんの背に腰掛け、微動だにしないコーくんに、ドキドキしながら声をかけてみた。
「コーくんはどうして宝珠の場所が分かるの?」
僕の問いに、首をぐっと上に向けるコーくんを、後ろに転がるのではないかとハラハラしながら見ていると、コーくんはニヤっと笑った。
「白竜の爺の気配はな、とてもきれいなんだよ。だから分かった」
”白竜の爺”とは…どういう事だろうか?
「―――そんな事が、分かるんだ…」
僕の言葉にターちゃんが嬉しそうに会話に加わる。
『そりゃ同属の気配だもの~わかるわよねぇ~。特にリュウの気配は清々しいモノ』
「ターちゃんも分かるんだ」
『同じ神から産まれた存在ですもの。分かるわよ~』
え?
ターちゃんって…いや神獣って神様から産まれた存在なんだ…
えーーーと、さっきの話からしてまさか…
僕は目の前に座るコーくんの頭を額に汗を滲ませながら見下ろした。
コーくんも神様が作った存在って事?神獣とか?
「我は神は好かん」
『あらあら~、コーは天界に行く事無いからしょうがないわね~』
それってターちゃんは天界に行く事があるって事だよね……僕って凄い方の愛し子になっていたんだな――――遠い目。
「うむ。あそこの広い屋敷だ」
コーくんが前方を指さした。
視線の先には、木々に埋もれるように広い屋敷が建っていた。
人が住んでるようには見えない荒れようになっている。
庭も門も屋敷の扉も破損していて…元貴族の家がこんな荒れ方をしているんだ…
王家預かりになっているはず……
『荒れているわね~』
僕は屋敷や、門扉の蛇を模して作られた家紋を確認して確信する。
「ここはエヴゲニー公爵家の屋敷だった所ですね」
『エウゲニーって……あーーーあの女の家紋ねぇ~』
僕はターちゃんの言葉に息をのんだ…そうか…
「……元王妃様の家紋は…子供の失踪に関わっていたので、取りつぶしになったはずなんですが……」
「童をか…」
静かにコーくんは声に怒りの色を滲ませた。
館の近くの木々の裏に僕たちは降り立ち、邸の中に人が居ないか気配を探り始めた。
僕の見立てでは三人ほど敷地内にいると思うんだけど、どうかな?
『中に人の気配は5人。問題ないわね』
ターちゃんの言葉にコーくんも頷く。
僕の見立てとは……二人も違う…僕まだまだかぁ――
残念。
「ターは今狙われておるのだ。中には我が入る。」
僕はシュタッと手を上げ、
「僕も行くよ」
そう宣言したら、コーくんがこちらをじっとみてから、頷いてくれた。
……認めてくれているのかな…
「我から離れるでないぞ」
そうだったら嬉しいな―――
「任せて」
『あらあら、やっぱり男の子は冒険が好きね~』
ターちゃんのそんな言葉を背後に僕たちは屋敷に侵入したのだった。
足元でパキリとガラスの欠片を踏む音がする。
元テラスだったのだろう、ガラスが張ってあったであろう骨組みが残っている所からゆっくり室内に侵入。
不思議な事に僕の前を行くコーくんは足音すらしない…ホント、コーくんって何者?
屋敷内の気配は地下に集まっている
何か地下に特別な部屋があるのかな…
「一人上がってくる」
え?僕は全く気付かなかった…
神経を研ぎ澄ませて空気の揺らぎを見る…
凄く薄い気配がたしかに上がってきている。ドキドキと心臓が口から出そうなほどの緊張をして、小声でコーくんに問いかけた。
「気づかれた?」
コーくんは動きを止めて、僕を振り返りじっとこちらを見てから頷いた。
「うむ。兄は気配を消すのが下手じゃの」
コーくんの言葉に、僕は冒険者ランクがDに上がったと喜んでいた事が恥ずかしくなった。
上には上が居るんだよな…
精進しよう。
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