317話 幼子達の決意と、神獣達の不敵な笑み
私はターちゃんの言葉を聞いた途端、アイテムボックスから懐かしいアイテムを取り出した。
そしてコーくんと一緒に、すかさずそのアイテムをターちゃんの脚へ嵌める。
私はニッコリと笑う。
「ねぇ~ターちゃん。前は凛々しくて色気がある黒馬になった事あったでしょ。
あの時のターちゃんはかっこよかったな~。
今回は春の日差しみたいな柔らかいキャメル色。きっとターちゃんの体躯を可愛く見せてくれると思うの!どうかな?」
『あら?カナカナったらいきなりなーに?でも良いわね~キャメル色』
そう言った途端、先ほど取り付けたアイテムが光り、ターちゃんの毛並みは柔らかなキャメル色へと変わっていく。
『あら?変わったわ。色替えの魔道具かしら?』
色の変わった肢体に戸惑いながらも確認し始めたターちゃんに、コーくんが笑顔で褒め始める。
「ターはどんな色を纏っても美しいな。
柔らかい色合いが一層ターの内面のやさしさを映し出しているようだな。
……これは惚れ直すな。」
ターちゃんの耳がせわしなく動き、尾がぶんぶんと勢いよく揺れ始めた。
「あらやだ~コーったら、おませさんね~」
ターちゃんの雰囲気が柔らかいものに変わった。私はこっそり後ろ手でガッツポーズを決める。
ただ、ターちゃんの言葉にコーくんが不思議そうに首を傾げ、
「いや、我300歳だが?おませじゃなくなるのはいつだ?」
真顔でそんな事を言うものだから、思わず噴き出してしまった。
暗殺ダメ絶対。
絶対私たちがターちゃんを守るんだから!
コーくんと手を繋ぎながら、私たちは優しいキャメル色へ変わったターちゃんの首を撫でた。
そんな私たちの後ろから優しい声が聞こえてきた。
「ふふふ、素敵なお友達ですね。黄昏様」
『あら、クレイ。貴方達もこちらにいらっしゃい。
猫にはここの空気は居心地がいいでしょう』
『あぁ。空気が澄んでいる。小さい妖精達も多いな』
『ここは小さな先輩が多いのだから猫は言葉を慎みなさいよ~ヒッヒン』
『うっさいなこの無駄に脚の多い糞馬が!』
『あらあら、愛しの姫を守り切れない糞精霊に言われるなんて心外だわ~』
『なんだと!ペ○、パ○夫妻みたいな全身ピンクが……って、なんで色変わってるんだ?』
『あら~今、気づいたの?遅いわね~ヒッヒン。
女の変化には目ざとくなければ、愛しの姫に捨てられるわよ糞猫』
『なっ!?』
そんな二人の応酬をぽかんとしながら見ていると、クレイ嬢のくすくすとした笑い声に、二人の言葉の殴り合いが止まる。
「ふふふ、猫くんと黄昏様の掛け合いは聞いていて楽しいです」
『クレイたん~』
『ヒッヒヒン。良い反応は、糞烏並みね』
「あら、フフフ。黄昏様にかかったらクロト様もかたなしですね」
その言葉で皆の顔が綻んだ。そうかも。
トーさんはターちゃんには常に素で言い合えてるかも。
トーさんの友達だもんね。
私は繋いでいた手に力を入れた。コーくんが不思議そうに私の顔を見上げて来たので、私はコーくんに
「絶対、ターちゃんを守ろうね」
自分の決意を口にした。するとコーくんも真剣にしっかり頷き返事をくれた。
「もちろんだ」
頼もしい返事に私たちはこれからどう動くか考え始めた。私の横でウハハがピョンピョン飛んで主張してくる。
「ウハハ?」
「ぼく、ター、守るよ」
ウハハの言葉に私がしゃがみこみウハハを撫でるとその上にニンジンが降って来た。ウハハの上をピヨン、ポヨヨンと弾んだにんじんは、動きが止まると手を上げて自分もやると主張した。なんともかわいい戦力に私はまた笑ってしまった。
暗殺予告とか笑っている場合ではないけれど、皆で守ればどうにかなると思ってしまう。優しい空気がここにあった。
そんな時だ。
「カナメ様、お客様方、昼食の準備が出来ました。皆さま食堂にお集まりをお願いします」
お屋敷の使用人の方から声がかかって、私たちは皆立ち上がった。
「何はともあれ、ご飯を食べてから考えよう。」
「そうだな」
庭にターちゃんや猫くんを置いて私たちは食堂に向かった。
――――
◇黄昏視点
カナカナたちがアタシ達に手を振って邸内に戻っていくのを見て、この場に残った猫が口を開いた。
『全く、小さいガキどもに心配かけてんじゃねーよ。糞神獣』
『なーに?聞こえていたの』
『上位精霊なめんなよ』
『ヒッヒン。心配性なあの子達の事だからアタシを守るとか考えているんでしょうけど』
『お前が守られる質かよ』
『分かって居るじゃない。』
『そりゃあなぁ。
昔のあの聖女と大陸浄化して暴れまわっていたお前を知っているんだから、分かるだろ。』
『ヒッヒン。あら懐かしい』
『糞神獣に喧嘩売るなんて馬鹿な奴もいたもんだ。そいつらの冥福を祈っておくよ』
『人を呪わば穴二つ……。
覚悟も無しに呪いを振りまくものじゃないわ~ヒッヒン』
アタシ達のやり取りを聞きながら、小さな妖精達はクスクスと庭を飛び回る。
その光景は会話の内容とは程遠い、とても平和であたたかい光景だった。
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