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安全第一異世界生活  作者: 笑田
番外編・それぞれの日々2

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313/325

312話 閑話――とある公爵家の騒動

我が家の愛しい末弟グレードが、権力闘争に巻き込まれかけている。

それを悟った父上と母上は、彼を学友一家の家族旅行へ預けた。


しばらくして騒動が起こった。


年が明け、王宮では様々な夜会があり、その日私は珍しく帰宅していた。


久々に家族と食事をし、母様からグレードが家に居ない事が寂しいと愚痴を聞かされつつ、早めに就寝をと、ベッドに入った時のことだった。

家族用のフロアーのこの部屋に、母上の声が響いてきた。


「あなた!あなた!レドが国を出ました」


「なに?」


「あの子に忍ばせていた位置表示が山を越えているのです」


「今か?」


「今ですわ。辺境に着いたか確認しようと魔法を展開致しましたら、西の方に向かって山を越えていたのですわ」


私も、グレードの名前に不安に思い、母様たちに声を掛けた。


「母様…どうされたのですか?こんな夜半に大きな声を出して」


私の言葉に振り返りつつも困惑気味に焦っている母様の姿がそこにはあった。


「ニコライ!どうされたもこうされたもありませんわ!私のかわいいレドが国を出てしまったのですわ!」


「え?」


私の反応にしびれを切らしたのか魔法を展開させていく。


「レドの位置情報ですわ」


母様の眼前に表示されたのは大きな地図。細かな事は書かれていないある程度の地形がわかる地図になっている。

それを見つつ全体からしてたしかに国外に出ていることは確かなようだ。父上は顎をさすりながら、思案し呟く。


「…どこに向かっているのだ?」


「此処がオーラシアン王国です。今ココ。西に向かっているようですの」


たしかに西に向かっているが…この地図の縮尺にしては移動のスピードがかなり速い事が気になった。


「それよりもこの移動スピード…これはワイバーンでの移動では?」


「ワイバーンと言えば、白狼殿か?」


「おそらくは…もしかしたら辺境のあの冒険者の方かもしれません。」


「あぁ…わしは会った事が無いが、かなりの御仁だそうだな」


「そういえば、聖女様が白狼殿と冒険者の方にも連絡が取れたはずです」


「では今すぐに聖女様にご連絡を!」


「母様落ち着いてください。流石に夜中にはダメです。明日、朝一にお伺いしますので」


その夜ミヤノマエ家一同は徹夜で位置情報座標を見続けることになった。


翌朝、教会本部に馬車を走らせた私達は、祈り前の聖女様を確保した。


「えっと…結局この拉致ってなんなんですか?」


冷静な聖女。


「拉致ではございません」


言い切る父上と母様。


「えーーーでも?いきなり来て、馬車に突っ込まれましたし?」


言い訳出来ない私…傍から見たら完璧に犯罪…

その後、聖女様が拉致されたと教会と市民が騒ぎかなり大事になってしまい、

これは拉致ではないと事情を話し、国にも報告する流れになってしまった。


「父上と母様を押さえきれなかった私の不徳の致すところです。」


宰相閣下とその息子、エドモンド殿の見守る中、私は頭を下げ事情を話すことになった。


「聖女様に連絡を取ってもらい分かった事は、弟のグレードの友人。ストーティオン伯爵家の嫡男ミハイル殿がワイバーンの襲撃により誘拐されたそうです。

その救出に、例の冒険者親子と白狼様の一行となぜか…聖女様の弟子のミホさまと、私の同僚…そして末弟が同行しているみたいです。」


私の話を聞いた途端、エドモンド殿が目をキラキラさせる。


「あぁ、さすが僕の勇者様。今度はどんな英雄伝を奏でられるのか――」


エドモンド殿は両手を祈るように組むと、どこか遠くを見つめながら何かを呟き出し、宰相閣下は頭を押さえながら、机の上を指でトントンと叩き、


「あぁ…なるほど。ストーティオン伯爵家のミハイル子息か。

彼ならばたしかに、あの冒険者が動くな…息子の様に可愛がっていると聞いたな」


「えー彼の息子かぁ~。いいなぁ~」


宰相親子の温度差が酷いな…そんな感想を抱いていると、宰相閣下から話を振られた。


「それで貴殿の同僚の方の腕前は?」


私は”山田”と呼ばれる同僚を頭に思い浮かべながら答える。


「いえ、彼は…転移が使える珍しい人物ではありますが……あまり腕は…

書記官としては優秀ですよ」


「…」


沈黙が部屋の空気を重くする。仕切り直すように宰相閣下が聞いてくる。


「聖女様のお弟子様は?」


「大丈夫悪い子じゃないわと、聖女様がおっしゃっていました。同僚の山田の奥方ですね。」


「「……」」


沈黙が痛い。しんと静まり返った部屋に大きなため息とともに次の質問がやって来た。


「で、結局彼らは今現在どこにいるんだい?」


「――セリーヌ公国で何やら、色々あるらしく、それに関わっているみたいです」


「「色々って…」」


「なにやら…他国から子供を誘拐している一団がいるみたいで、その例の冒険者親子含め皆がその問題を解決しておくと…聖女様に言っておりました」


私の言葉に眉間をもみながら宰相閣下は低い声を部屋に響かせ、指示を始めた。


「はぁ?他国から誘拐…我が国も被害者が出ていたと言う事か…

エドモンド至急情報を」


「はい!父上」


「ミヤノマエ殿は、今後ご家族一同行動に注意を。聖女殿が注意のみで良いと言っておりましたので今回は不問に致しますが、二度と同じ過ちを繰り返さないように」


「はい。浅慮な行い、当主に変わって謝罪いたします。申し訳ありませんでした」


私は深々と頭を下げ、城を出て家に帰ると…


「レドは大丈夫かしら?」


落ち着かない様子で部屋をうろうろする母様


「どうだろうか…」


窓辺に座り新聞を逆さに構え窓の外を見る父上

ソワソワな両親を見て…俺は弟に同情した…


こんなに心配されて…思春期の男の矜持が傷つく…

――――あぁ…あいつ…だから素直じゃないんだな…


色々悟った兄であった。


読んで頂きありがとうございます(❁´ω`❁)

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